6 元の世界への戻りかた

その日の夕食後、俺はタカシとヒトミに爺さんと話した結果を伝えた。

「なるほどね。 帰り方は分からないのね。。。」

「ああ」


「でも、その人が僕たちをここに連れてきた、ってことは分かったんだね」

「そうだな。 悪いなタカシ、帰り方見つけられなくて」


「ううん、アキラが謝ることじゃないよ」

「あ〜あ、私一生ここで暮らすのか〜 女優さんとかモデルさんの仕事とかしてみたかったな〜」


「は? ヒトミ、女優になりたいのか? それは元の世界にいたとしても無理だったかもなw」

「なに? もう一度言ってみなさいよ。 雷で丸焦げにしてあげようか?」


「ちょ、ちょっと、そんなことされたら本当に死んじゃうだろう。」

「大丈夫よ、手加減してあげるから」


「なんだと」

「ちょっと、ちょっと二人ともやめなよ」


「は、はい」「はい」

まったく、ヒトミのやろう、かわいくねえな


「まあせっかくなんだからこっちの世界を楽しもうぜ、死なない程度にな」

「そうね。 女優は諦めるわ。」


「そうか!」

「な、なんだよう。 どうしたタカシ、大声出して」


「ね、その魔術師のお爺さん、自分が僕たちをここに呼んだ、って言ったんだよね」

「おお、そうだよ。 自分が召喚魔法? を作ったって」


「だったらそのお爺さんがルールなわけだ」

「ルール?」


「うん、ほらカプモンカードだって、新しいシリーズが発売されると今までのカードが使えなくなったりするじゃん」

「ああ、それな。 確かに俺のお気に入りのナンジャロスなんか、最近使えなくなったよな」


「そうそう」


「で、それがなにか?」

「つまり、ルールを作った人が一番力を持っている。その人がいなくなれば。。。」


「ん? いなくなるとどうなるんだ?」

「そうか。 ルールを作った人がいなくなる。つまり、ルールがなくなるってわけね。」


「そう。 召喚魔法そのものがなかったことになるんじゃないかな」

「つまり、、、わたしたちは帰れる!」


「うん」

「ちょ、ちょっと待て。 そうなのか?」


「分からないけど、可能性はあると思う」

「うーん。 まあ可能性はわかるが、いなくなるって、まだあの爺さん、長生きしそうだぜ」


「そうだね。。。じゃあ、死んでもらう?」

「え! おいおいそれは、もう犯罪だぜ」


「ってか、僕たちすでに何人もの人たちを攻撃しているよね」

「まあな。 大賢者様なんかは魔法バンバンつかってるし」


「そ、それは不可抗力よ。 だってそうしないとこの世界では生けないし」

「そうだな。 実際にタカシだって、死にかけたしな」


「そうだね。ごめん。 でも帰れる可能性があるかは、お爺さんに聞いてみてもいいんじゃないかな」

「まあ、そうだな。 また聞いてみるか」


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