第2話 現実
時刻は6時30分
大きな電子音が鳴り響く。自分の中の意識が覚醒していくのがわかる。
「嫌だ…まだ寝ていたい。」
ボソっと声が出てしまう。
そんな言葉は届かないのか電子音は鳴り響いている。
これ以上は近所迷惑になってしまう。
「仕方ない…起きよう……」
そう決心してスマホを取り電子音を止める。
目を開けると天井が見える。今日も仕事と思うと心がとても暗くなる。
社会に出て4年目の僕は、現在27歳。
今は、半年前に転職した営業会社で働いている。
最近試用期間が終了して正式な正社員になったばかりだ。
試用期間が終わったといっても遅刻だけは許されない。
ふとんから出てとりあえず顔を洗う。
今日も目の下にはクマがあった。
「昨日は、飲み会だったからな…」
転職した企業は機械通信株式会社。
主に、スマホや複合機を主軸として営業を行っている。代理店というものだ。
入社当時は商品に関する説明なんて1時間程度で終わり。そこから100件以上テレアポをした。体育会系の企業で週に2、3回なぜか飲み会がある。
この飲み会のせいで趣味の時間が全く取れないのが最近の悩みだ。
顔をタオルで拭いてパンをオーブンに入れ電気ケトルに水を入れる。
フライパンに火を付けて冷蔵庫を開ける。そこから卵を1つとるとフライパンの上に卵を割る。
ジューっといい音をさせてきたので火を弱火にしてそのままフライパンに蓋をする。
この時間を使ってパジャマを脱いでスーツに着替える。ズボンとYシャツを着たタイミングで火を止め蓋を開ける。
綺麗に目玉焼きができていた。このタイミングでオーブンから「チンッ」と音が鳴ったり、ケトルから「カチッ」と音がしたので朝食の準備を始める。
インスタントコーヒーを袋から開けてお湯を注ぎ、トーストにはマヨネーズをかける。目玉焼きをトーストの上にのせて完成。
「我ながら…慣れたものだな……」
そんなことをつぶやいて机の上に皿とコップを置いて朝食を始める。
この時、タブレットでYouTubeを見る。見るのはいつもゲームやアニメの考察動画ばかりだ。7時になったので皿をシンクに置いてジャケットを羽織り会社へ向かう。
家から最寄り駅まで15分以上掛かるので自転車に乗る。自転車を使えば7分程度に短縮できる。ドンキで最安のママチャリに跨り最寄り駅へ向かう。
今日も現実が始まる。
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