第7話 有能令嬢は、立ち向かう
家に帰ると、両親は、家にいるようだった。外交パーティーの話をしたら、どうなるんだろう。食事の時間になった。家族で食事をとっても、会話は少ない。
「お父様」
思い切って伝えてみる。
「わたし、今度、開催される外交パーティーのメンバーに選ばれましたの、ですから……」
父は、厳しい目をした。
「今、我が家がどういう状況か分かっているのか?」
「はい、もちろん」
(わたしは……)
「今、お前の名前を聞けば、いい思いをしない人の方が多いんだ」
(でも……)
母も続ける。
「今回は、欠席しなさ……」
「汚名を、返上してまいります」
本当にそれを自分が望んでいるかはわからなかったが、続けるしかない。
「わたしが、外交パーティーで、活躍した暁には名前もいい意味で広まるはずですわ。それに、外交パーティーのメンバーは皆さん、公爵様や侯爵様、……王太子殿下もいらっしゃいましたわ」
自分がもう何を言っているのか分からなくなりそうだった。だけど……
(自分の意見が、言えた)
「……そうか」
また、静かに、スープをすするだけだった。
「お前がそうしたいなら、やってみなさい」
父がそういう。
「あなた……」
母は不安げだったが、わたしは、はっきりと答えた。
「はい」
◇◇
今日も、ベッドに倒れ込む。
(敵は、世間でも、両親でも、フレデリク様でも、カロリーヌでもない)
「誰なんだろう……」
でも、味方はいる。
「アリス……」
(ううん)
「アリスラン……」
そのまま、眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます