第3話 学校①

「茜、今日用事あるから先学校行ってるからな。」


 義理だというのはやはり距離感が掴めない。今のように、しょうもない嘘をついてできるだけ茜と一緒にいないように行動してしまう。


「…なんの用事?」


 茜も、昨日のこともあり怪しく思ったのか少し疑った目でこちらを見る。


「いや、日直。」


「…しょうがないから、私も一緒に行ってあげる。」


「いや、いいよ。そこまでしなくて。」


 本当にしなくていい。一緒にいたくなくて嘘をついているのになんでこんな時だけついてきてくれるんだろう。


(いつもは、一緒に行くのも嫌々だったのに…)


「いや、ついて行く。」


「まだ朝ごはん食べてないだろ?作っておいたから食べてから学校に行ってほしいな」


「うっ、分かった。じゃあ行ってらっしゃい。」


 今日の茜は何故か粘り強かったが、無事1人で登校できて良かった。









「おっ、今日は早いな。どうしたんだ?」


 教室に入るといつも通り、友達である前川が喋りかけてきた。


「いや、今日は妹と来てないからさ。」


「はっ⁉︎どうしたんだ?妹にとうとう嫌われてしまったのか?」


「元から嫌われてんだろ…」


「それはないと思ってたんだけどなぁ…、」


 何の根拠もないことを前川が言い出す。この話になるといつも、ダメージを負うのは俺だからあまりしたくないんだけどなぁ…


「だっていつも、おまえら登下校一緒に来てたじゃねぇか。そんな兄妹ほぼいないぞ。」


「それは、俺が無理やりしているだけだ。」


「それでもついてきてくれてる時点で仲良いと思うけどなぁ…」


「そんなことないんだよ…」









「はい、では今日は貴方達が高校二年生になったということで役員決めをします。まず、生徒会長になりたい人は………」


 今日は、役員決めの日らしい。昨日言ってた気がしなくもないが、あまり聞いていなかったので少し驚いた。


「なぁ、健人。お前役員どうすんだ?」


「できる限り入らない。」


「でも、それじゃあ負けた時最悪なことになってしまうぜ、」


「負けないからいいんだよ…」









「…全て、負けてしまった……」


 全ての役員のじゃんけんで負けてしまい、残りは美化委員しか無くなってしまった。美化委員は、毎日花の手入れ、掃除のチェックまた、それに関する報告書を書くというこの学校独自のクソめんどくさルールがある。


「どんまい。」


 ちなみに、こいつはしっかり全て回避した。


    なんなんだ、この差は。









「おはようございます。」


 早速今日から、今後の委員の活動のやり方についての説明があるらしく残る必要があるらしい。


(それにしても知らない人ばかりだな。俺の交友関係のせいもあるんだが…)



 一通り見渡しても知っている人がいな……いたわ。


 学年の中でも、1番か2番くらいに有名人である一ノ瀬 雪いちのせ ゆき。彼女は、学年で三本の指に入るぐらいの顔の良さを持ちつつ極度の人嫌いということで有名である。


(一応同学年だし挨拶しとくか…)


「これからよろしくお願いします。」


「ん、」


 俺には、一瞥もくれず自身が持っている本を読みながら返事をしてきた。


 まじか、ここまでとは思わなかった。先行きがとても不安だ。


———————————————————————

 ある動画で、日番というのは兵庫だけと聞き覚えがあったので調べてみましたが本当でしたね。普通に、日直のことを日番と書きそうになりました。

これからも、学校関係で兵庫だけのことを書くかもしれませんがご容赦いただけますと幸いです。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る