第2話 妹との一日
義理だと言う事実を知った翌日。今日は、日曜なのでいつもならリビングに降りて妹と話している頃だ。
だが、距離感が分からず俺は今も部屋の中にいる。
(もちろん親の言うとおり仲良くしたいのはそうなんだけど…なんか、気まずい…)
「あぁー、まじでどうしよ‼︎」
〜6時間後〜
(6時間前から何も考えが進んでいねぇ…)
まじで、ずっと部屋の中で過ごしてるだけになってる‼︎
コンコン
「開けていい?」
そこに、鈴を転がしたかのような声が聞こえてきた。
気まずい…
「いいよ。どうしたんだ?」
そう言うと、ドアが開き超絶可愛い俺の妹が登場した。
「いや、昼ごはん食べないかなって…」
そう言われて、時計を見ると時刻は2時になっていた。悩んでいて気づかなかったが、もうそんな時間になっていたらしい。
(それにしても、嫌いな兄に昼ごはんを心配してくれるって優しすぎだろ。可愛い…)
そんな、しょうもないことを考えながら昼ごはんを食べようか迷ってしまう。
今、この時間は親たちがどっか出掛けに行ってるので、食べに行けば絶対に妹と2人っきりになってしまう。
そして、俺はあまりお腹は空いていないので今食べる必要もない。
「後で食べに行くから。片付けもしとくから置いといていいよ。」
「…」
無言の時間が続いている。何か、間違ったことを言ってしまったかな?
茜のほっぺたが少し膨らみ私怒ってますよアピールをしてくる。
何を怒ってるのか分からない俺は、どうしようも出来ず少しでも早く話を終わらせようとする。
「えっと、まぁ、そう言うことだから帰って、いいぞ…?」
「うるさい、早く食べに来なさい。今日は、私が作ってあげるから。」
「…え?」
(『私が作ってあげるから』って言ったよな…
え?聞き間違いじゃないよね。明日、調理実習でもあんのか?)
今までは調理実習ある日でも、俺に作ってくれる日なんてなかったのに…
「明日、調理実習でもあるのか?」
「〜ッ、…‼︎そうよ。だから、早く降りてきなさい。」
茜は、顔を真っ赤にしてドアを叩くように閉めて階段を降りて行った。
(調理実習だとしても、あいつの手作りが食べれるのか。少し気まずいけど行くか。)
そう思い俺は、妹がいるリビングに向かった。
♢
「ちょっと待っといて、今作るから。」
「何作るんだ?」
「天ぷら。お兄ちゃん好きでしょ。」
「調理実習に、天ぷらなんかあったか?」
「…ッ‼︎最近変わってできたの‼︎なんも知らないくせに喋んな‼︎」
茜は、顔を真っ赤にして早口でそう言ってきた。いつもに増して当たりがキツくなってきているけど、まぁ、茜の天ぷら食べれると思ったら何されても
でも、今は天ぷらなんかめんどくさい料理を調理実習でやるんだな…
「はい、これ。」
あれから40分くらい経っただろうか。そこには、俺が好きな海老や、さつまいも、かき揚げなど見るからに美味しそうな料理が並んでいた。
「
天ぷらは、どれもサクサクで本当に美味しい。
こんなもの、高校生で作れる人いるのかって思うぐらい美味しかった。
(あっ、茜に感謝伝えてなかった。)
そう思い、茜の方を向くと顔を下に向けながら、ちょくちょくこっちを見ていた。
「茜、めちゃくちゃ美味しかった。ありがとな。」
「ッ!分かったから、食べ終わったら片付けといて‼︎」
茜は、そう言って自分の部屋に猛ダッシュしてしまった。
本当に美味しく、もう一度食べたい味だが作ってもらえないのは分かりきっているので少し悲しい。
俺は食器の片付けをして部屋に戻り、また茜との
関係について悩み出すのであった。
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