和気藹々（わきあいあい）

笑う門には福来る……だよ！

「ほら、笑ってごらん？」

　私にママがそう言葉を掛ける。

　でもね、私は難しい顔をしてなかなか笑わないの。

　なんでか分かる？

　それはね、「笑う」っていう顔がどんなのか分からないからなの。

　どうしてって？

　だって、「面白い」とか「楽しい」っていうことが良く分からないんだもん。

　私は人と少し感覚がずれているから、お笑い番組を見ても「面白い」って思わないの。

「変わっているね」

　そうよく言われる。

　でも、それが私だから別に笑わなくてもいいやって思ってた。

　私は声をあげて怒ることもないけど、大きな声を出して笑うこともないの。

　表情が乏しいって言われてたんだ。

　そんな私にね、大好きな人ができたの。

　その人がね、私が勉強で頑張った時に私の頭を撫でてくれたんだ。

　私ね、それがとてもとても嬉しくてすごいいい笑顔していたみたい。

　そしたらね、その大好きな人が言ってくれたんだよ！

「いい笑顔するね！！」って……。

　私ね、その言葉を聞いて恥ずかしくなってしまって顔真っ赤にしちゃって、俯いちゃったの……。

　だって、そんな言葉を言われたことなかったから、嬉しい反面、すごく恥ずかしくなっちゃたの。

　そしたらね、大好きな人が言ったの。

「恥ずかしがり屋さんなんだね」って……。

　そうかもしれない。

　笑うのが恥ずかしくて笑えなかったのかもしれない。

　でも、私が笑った時のその大好きな人の顔がすごく嬉しそうだったんだ。

　大好きな人もすごくいい笑顔をしていたの。

「自分が笑顔になると相手も笑顔になる」って聞いたことあったけど、本当なんだなってその時思ったんだ。

　自分が笑うと、相手も笑ってくれる。

　よし！

　沢山笑って私は沢山の人を笑顔にするぞ！！

（完）