そちらから
ニッケルとリチウム
そちらから
以前行った、京都旅行での話。
宿泊していたホテルから徒歩で行ける距離で神社の夜間ライトアップをやっていたので観に行ったんです。
で、それも観終わってホテルに戻ろうとしたんですけど、折角だし行きと帰りで違う道を通ってみようと思って、行く時に通った大通りから少し逸れた路地に入って散策しながら帰ったんです。
しばらく歩いていたら2階建ての建物、恐らく民家だと思うんですけど。それの1階、路地に面している窓に張り紙がしてあって。何となく見てみたらA4くらいの白い紙にマジックで
「そちらから覗き込まないでください」
って一行だけ書いてあったんですよ。
家の中覗くような人がいるんだなー、位にしか思わなかったんですけど、ホテルの自分の部屋に着いてからあれ?って思ったんです。
その建物、路地から見える部分の窓は全部擦りガラスだったんですよ。
普通の透明な窓なら家の中が見えてしまうような事もあるんでしょうけど、擦りガラスだから窓に張り付く位に近くからじゃないとそもそも中からも人の姿なんて見えない筈なんですよね。
それに見られるのが嫌ならカーテンを閉めれば良いと思うんですけど、擦りガラスにカーテンらしきものは透けていなかったように見えました。
いろいろ矛盾というか、違和感を感じません?
張り紙の文章も何か変じゃないですか?
「家の中を覗かないでください」で良い筈なのに「そちらから覗き込まないでください」って。
まるで向こうからは外を覗いてるみたいですよね。
ああ、だからカーテンが無いのか。
そちらから ニッケルとリチウム @nickelium
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます