第15話 文明探求 _日記_

 朝が来る。僕は寝ぼけた眼を擦り制服に着替え学校へ向かう。

 ルージ…やっぱり謝るべきだろうかでも、僕の復習にやはり彼を巻き込む訳にはいかない。これでいいんだ。

 僕はクラスに入り席へ着く。クラスメイト達はそれぞれの児院の人と雑談をしている。ジュアリー児院の大半は談笑をしようと言った空気感では無いため皆、居心地が悪そうだ

 ルージも後ろの席のイヤーナくんも特に話しかけて来ることは無く時間が過ぎる


「これより1限目、文明探求を始めます」

 クロウデェンの掛け声のもと号令を済ませ授業が始まる

「まず初めに皆さん前と後ろの席ずつで班になってもらいます。この授業は互いに思った事を意見交換する必要がありますので」

 言われた通りに班を組む。メンバーはイヤーナくんとアリア児院のセナさんとロウくんだ


「では組み終わりましたので改めて、皆さんは旧文明についてどのようなイメージを持っていますか?」

 各々がグループ内で話を進める

「旧文明と言えば凄い高度な技術を持っていたんだっけ?」

 セナさんが最初に口を開く。黒髪ショートのスポーツタイプの女の子だ


「そうですね。優れた技能を持ちながらもそれを扱いきれる知能がなかった」

 イヤーナくんがセナさんに賛同する形で深ぼるがやや刺がある

「良くも悪くも思考の幅が広すぎたとかだっけ?」


「ソラさんはどう思いますか?」

「自由な世界…かな。平和な時もあったんだと思うよ」

 人々の争いが激化する前…必ず僕達みたいに平和な時があった気がする。何かが崩れて復習が連鎖して、、これ以上は辞めておこう


「自由ですか。確かにそうかもしれないですが文書としてあまり残っていないのが不思議ですよね」

 イヤーナが疑問を口にする


「確かに!平和な世の中が少しでもあったなら本や文献が欠けてるのはおかしいね!AIたちにバックアップさせてなかったのかな?」

 ロイくんやセナさんも賛同する



 クロウデェンが手を叩き話し合いを終わらせる

「皆さん色々な意見を交流出来たと思います。

 何故皆さんにこのような事を尋ねたかと言うとちょっとしたテストをしたかったからです。

 皆さんが今抱いた見方のほとんどがの中で得たイメージに過ぎません」


「仕方ないじゃん!教えてもらった内容が限られてたんだからさ」

 児院という場所で学んだものを間違っているかのように言われ腹を立てるものが口を出す


「私が言いたかった事は他の何かによって得られた知識が必ずしも絶対であるとは限らないということです。真実は絶対的ですがそこに至るまでに道を間違えると結末は変わります。これから先通して最終的に決断するのは貴方達自身だということを覚えておいてください」


 この言葉を真に受けるかどうかも、自分たち次第と言うような口ぶりだ。班活動にしたのも他人の意見で解釈が変わってしまう事を想定しての事だろうか…


「さて、ではなぜ児院で教えて貰った内容が断片的なものであったか。結論から言えば情報を制限されていたからです。表向きには曖昧な知識は市民の混乱を招く為、厳正な審査のもと選定している。ですがそんな事を言ってしまってはこれから先、学ぶ膨大な知識と過去の勉強に整合性が取れないので制限していたということをお伝えします」


「俺たちが学んでいた事がほんの一部?ってことか?」

「あれでも結構多かったのにー!」

 衝撃の事実に驚き、学業が得意で無いものは不満を放つ。1組の秘密といい今回の事といい…何がしたいのかが分からない。これも何かのゲームなのだろうか


「前置きはこれくらいにして、今回から過去の文書であるXX戦争の少し前から始めていきたいと思います。教科書p18を開いてください。

 これは当時生きていた女性のビデオデータを素に日記形式にして作られたものです」





 ___2184年 5月3日 _海音 世良うみね せら

「今日は9の誕生日。電脳ロボット ピコタンを買ってもらいました!!今日から1日の出来事をピコタンに記録してもらおうと思います!よろしくね、ピコタン!」

(うみねせら 認証完了 世良よろしくお願いします)


 ____2184年 5月4日_ 「今日は弟のあきとキャッチボールをしました!夜ご飯に食べたカレーがとても美味しかったよ!ピヨタンにも食べさせたかったなぁ〜」

(世良、私は食物を食べることは出来ません。)


 その後も日記は続いていく…なんだこれは、、皆が予想していたものとは違い若干の肩透かし感がある。クロウデェン曰く語り手は「日本」と呼ばれる島国の少女で、当時は会話式AIをペットのように飼うのが主流だったとか。キャッチボールというのはその国で繁栄してる運動らしい…そんな事はどうでもいいが

 彼女の生活は学校以外の1日の殆どの生活を自由に決めている…親といるが決して上下がある訳ではなくあくまで対等のようだった。


 自由で平和な世界があったのだと思っていたが僕ら以上に平穏で幸せな生活を送っていたと思うと、少し羨ましくも感じた。


 この日記の先にが待っているなんて思えない程に彼女の話は平和そのものだった



_____後書き 授業は嫌いなのでたまにやります。

もう少しクラスの中の事だったりをしたら、クラス同士の対立だったりを主軸に物語を進めていきます

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完壁都市 アルカナム EPO @EGOchan

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