学園都市アルカナム編
第13話 入学式
「都市への貢献の為これより貴方達は、学び、競い、成長していくのです。一人一人が、良きアルカナムになる事を心より願っています」
会場に響く声の主はアルカナムの市長だった。
彼の当たり障りのない挨拶を聞き終え新入生代表のスピーチが始まる。
「新緑が日にあざやかに映る季節となるなか僕達は、今日ここアルカナム学園へと…」
新入生のスピーチとは言え原稿があるのだろう…特徴のない挨拶だ
【思考の一切を放棄し、都市の発展に尽力することを誓います。 生徒代表 エル001号】
スピーチも終盤に差し掛かりこのまま終わるだろうと思われた、その時生徒の声色が変わり淡々と告げる。その姿は、言葉の意図する所の通り人形、傀儡そのものだった
___異質な入学式を終え、生徒はそれぞれのクラスに向かう。学園と言うものに通った事が無いが塔の延長線上である事に間違いないだろう。
電光掲示板(スクリーン)に表示されていたクラスに入る。新しい顔触れもあるが基本は見知った顔が多い。試験を通過したものたち、つまり人殺しと同じクラスになると言う事だ。本当ならセルシオの制服姿も見れたのだろうか…
「ソラさん…おはようございます」
僕とは逆の黒の髪が靡かせ、虚ろな目がこちらを向く
「おはよう。ルイさん」
「お身体は大丈夫なのですか?その、、試験終了後、姿が見えなくて…クロウデェンさんに尋ねても試験は合格した。としか教えてくれなくて」
「もう大丈夫だよ。それ程臓器が傷ついてなかったから大事にはならなかったよ」
安心したのか目に少し光が見える
「なら良かったです。これからもよろしくお願いしますね」
「あぁ、よろしく」
会話を終え、1番端の後ろから2番目の席に着くと後ろの席から声がかかる
「ソラさんお久しぶりですね。」
「久しぶり、イヤーナ君が後ろの席だなんて凄い偶然だね」
「ジュアリーの時も同じでしたからね…それで、そのセルシオさんの件はとても残念です」
いつもとは違う声色から冗談ではなく本気で悲しんでいるのが分かる。彼ならあの状況になってもセルシオを助けられたのだろうか…
「セルシオの事気遣ってくれてありがとう。
僕じゃなくて君なら助けられたのかもしれないね」
「そんなつもりで言ったわけじゃ…」
口篭るイヤーナを他所に前を向く。
___これでいいんだ…周りの誰も巻き込まず、僕1人でこの都市、そして彼女を殺す。例え復讐の果て地獄に落ちることになろうと誰かが成し遂げなければいけない
「これよりホームルームを行います。」
そこに居たのはクロウデェンだった…
クラスに動揺が走った。事情を知らない別の塔に居た生徒はその様子を見て不思議そうにしている
「何でお前が‼︎!」
前に座っていたルージの声が響く。声に怒りがこもっており場が凍る
何故居るのか…殺意を逆撫でする行為を簡単にするだろうか、事情が変わったのだろうか?どちらにせよ近くに居られては困る
「私語は謹んでください。少し面識のある方もいるとは思いますが今日から2年このクラスを担当します。クロウデェン・セラアルケミナです」
「金髪で…胸がデカい」
そんな言葉が男女問わず聞こえて来た。
彼女の事を知らない人から見てみれば容姿端麗な良い人に見えるのだろう…実情はドス黒い悪に他ならないけど
「まずは入学おめでとうございます。入学式で聞いてもらいました通り、この学園は6クラスに2児院の生徒達が合同で振り分けられています。その中でこれより2年貴方達にはトップを目指してもらいます。死んででも1番になるつもりでお願いします」
「死ぬ気で頑張れって事ですか?」
誰かがそんな事を口にする
「いえ、死んででも1番になってもらいます。
それ以外は意味がありません。」
「なれなかったら…」
「死にます。私も貴方達も」
「1番にならないと…死ぬ?」
意味が分からない…誰もがそう思っただろう。
「正確には感情が消え失せる。そんな所でしょうか…意思を持たぬ人形に成り果てるという事です。貴方達も見ましたよね学園挨拶、さながら家畜のようだとは思いませんでした?」
「そんな事って、、」
女子の1人が涙を浮かべる
「クロウデェンてめぇ!!」
ルージの手が胸ぐらまで伸びかかる。
「くっっ」
その手を軽々と掴み、握力で無力化した
「決して私もその結末を望んでいる訳ではありません。少なくとも学園挨拶をしていたクラスつまり現1年1組を倒す。つまり1番をとる必要があります」
「倒すって…」
「例年通りであればそれぞれのクラス毎にカリキュラムが違い、与えられる情報をキッチリと抑えておけば卒業と言う形でしたが、今年からは違います。共に競い勝ち残ったクラスだけが卒業、そして今後の都市でのキャリアが約束されます」
「勝てばいいってわけか!!皆んな頑張ろうな」
不安や不信感が漂う中、リツだけが能天気に話す
「その調子で頑張りましょう。それではホームルームを終わります」
イレギュラーもありながらも始まった学園生活。2年…下準備には充分すぎる時間だな
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