第9話 最終試験V (終)

______小さい時からずっと一緒だった。

 少しヤンチャでサボり癖のあるムードメーカーなルージと、青の瞳、白い髪、色白いけど意外とがっしりしてる勉強、運動何でもこなせていつも優しいソラ。セルシオ達3人は塔は違うけどずっと仲良し!でも嘘があります…実は最初ソラの事が苦手でした

 彼はいつも作られた笑顔をしていて何処か悲しそうな顔をするのです。私達に無理に合わせてるのかな、なんて当時の私は考えてしまいます

ある日私が自分で作ったドングリのヘアピンが消えてしまったんです。

今思えば粗雑な作りのガラクタですが、当時の私からすれば大事な物です…そのヘアピンが無くて相当落ち込んでいました。でもプライドの高かった私はその事を誰にも話せなかったので1人で探すしかありません。


でもある時ソラが見つけて渡してくれたんです。

「これセルシオのでしょ?落ちてたから」ってあっさりとした言葉で渡されました。でも誰が見ても分かるくらい目の下のクマが凄いんです。ヘアピンの事を話したことも無いのに彼は必死になって見つけてくれました。その上心配をかけないようにと平気なフリして気丈に振る舞うのです。

その時は好きとか分からなかったですが、決めたんです。

ソラの本当の笑顔が見れなくてもいい…彼の傍に居たいって、そしていつか彼を笑顔にして心の底から喜んで元気になって欲しいと



_________最終試験

クロウデェンが言うにはミノタウロスでの試験クリアと殺人による免除での人数が計算上オーバーしても構わないらしい。ソラの意識がハッキリしていないけどこの状況でまで彼に負担を背負わせる訳には行かない…私は決して完璧な善人じゃないけど、知り合った人を見殺死になんて出来ない。そんな事をしてまでソラと一緒に居ていいはずがない。無い頭を使ってルイちゃんを助ける方法とソラに託す形にはなるけど解決案を見つけた

私は覚悟を決め、ルージとルイちゃんに作戦を話す。

きっとソラを悲しませてしまうそれでも


「泣かせちゃって、ごめんなさい…元気な笑顔とは程遠いけど最後にソラが微笑んでくれて良かった。結局貰ってばっかだったわね、私」




_____セルシオが死んだ。今も実感が湧かない…抱き抱える彼女が起き上がるんじゃないか。そんな非現実的な事を考えてしまう、、何も考えたくない

でも残してくれたポイントを無駄にする訳には行かないんだ。彼女は僕に愛と希望をくれた。今ここで死ぬのはそれを裏切ってしまうこと

「まだ、そっちには行けないけど…見ててね。」

先のことは考えるな。今だけを考えろ…この状況を変える一手を


「今あるポイントは合格になる前にルイさんから貰ったのも合わせて58。ルージのを合わせても64だ」

銃を買うとしても、ミノタウロスは目がいい。かわされてしまえば意味が無い

「どうにかして目を塞がないと」

「そうですね。この、鏡で目を隠すことは出来ないよなぁ…」

ルージが頭を悩ませる。

「鏡で防げるのかなぁ…もっと大きく塞がないと」

「うぅ…確かになぁ。いっそ短剣投げて目潰しするか」

目潰し。相手に一瞬でもスキを作る…頭に考えがよぎった

「ルージ、鏡と強化剤を2つずつ買ってくれるかな」

「えっでも…鏡?分かったよ」

ルージから貰った鏡のうち1つを腹部の刃物の上に立てかける

強化剤を飲みもう1つの鏡を力を振り絞ってミノタウロスの方向へ投げる

そして銃をその鏡目掛けて打ち放つ


「ウォォォオオオオオオオオ」

マズルフラッシュ…銃を発砲する時に起こる強力な光だ。

本来、自分の方向に向く光だが反射させ屈折を繰り返すことで向こう側に送ることが出来る。

ミノタウロスが怯んだ。その隙を逃さず、強化剤を銃にかけ発砲する

見事銃弾はミノタウロスを撃ち抜いたのだった。


「おめでとうございます。合格者31名これにて試験は終了になります」

クロウデェンの終了報告が聞こえる…とても不快な声だ…僕の意識はそこで途切れる


_________ベットに眠るソラをクロウデェンはいぶかしむように見つめる

想定通りだと思っていましたがイレギュラーも多いようですね…

ソラ。あの子は規格外の成長を遂げたのかも知れません。あの状況下で光の屈折を計算し1発でやってのける。意味がわかりません。

これがアルカナムの力だと言うのでしょうか、、、であれば好都合です

想定を越えてこようとシナリオは変わらない。ソラ、今後どんな成長を遂げるのか

私さえも超えてしまう…そんな人間アルカナムになってくれたら嬉しいです。期待していますよ。今はただ眠りなさい。そして内に秘めた憎悪を育むのです



セルシオに貰った真っ白い愛情をクロウデェンが潰してしまうのだろうか…

愛ゆえに人は苦しまねばならぬ、復讐と言う虚無の渦を

愛ゆえに人は悲しまねばならぬ、儚くも確かにそこにある思い出の形を



___後書き 場面変えまくってごめんなさい。謎展開で締めてしまってごめんなさい

一応アルカナムは未来の人類なので凄い変なこともやってのけます(多分)

次回少し後日談してから、学園編やります。別の児院とご対面です。

ジュアリーではキャラを全然登場させて居ないせいで凄く不自然になってると思うので改善頑張ります。ご容赦ください…そしていいねを下さい励みになるので

どうかよろしくお願いします

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