第10話 次の道へ
夢を見た。ルージ、セルシオ、そしてXXX
4人で途方もない真っ白い世界を歩いている。
何も無い空間なのに凄く心が落ち着く、この時間が永遠に続けばいいのに。そんな事を考えていると終わりは突如訪れた
「あたし達はここまでだから…」
そこで白い世界に亀裂が入る。
「お別れだね。ソラ!!」
待ってよ…もがく僕の手に亀裂が入った
(セルシオ!!)
___「ソラさん目が覚めたようですね」
「夢…か」
一気に頭が冷える。どうやら眠っていたらしい
「何故あなたが?ここに」
僕は彼女を睨む。そこに居たのは今回の試験を実行したクロウデェンだった
試験の時と違い女狐のような笑みを浮かべ僕に話しかける
「ふふっ、貴方の出血は酷かったですからね。ここは医療施設で私はそれを見守って介抱していただけです」
「それは…ありがとうございます。でも僕は貴女を絶対に許さないですよ」
「介抱はジョークのつもりだったのですが…」
彼女の意図が掴めない。仇とも言えるこの女が何故、図太くもこの状況で冗談を言えるのだろうか、僕は酷く嫌悪感を抱く
「あまり長いしても嬉しくないでしょうし、本題に入ります。まず貴方は試験に合格しました。それに伴ってこれからの事を決める必要があります、結論から言って道は1つしかありません。アルカナム学園に入る事、それだけです。詳しくは…」
彼女は、淡々と説明する。その顔は先程とは打って代わり試験の時のように酷く冷酷で感情が無いようだ。こちらが本当の
「学園に入るつもりが無いと言えば?僕が今ここで貴女を殺す。とは考えないのですか?」
「貴方がそんな事をするとは思えないですね。セルシオさんから貰った命を粗末に扱うことを彼女が許すでしょうか?」
「お前が、、セルシオの名を口にするな!!」
感情の抑えが効かない。この女は僕を説得する道具として彼女の名前を口にしたのだ…
「不快にさせたなら申し訳ありません。私を殺す事は後でも出来ます。
ただ今は貴方の力が欲しい…今後このようなことが起きないように」
「あんたが望む事を僕が壊してしまえるならそれは本望だ」
「どうしても?ですか。その結末の先にルージ君や他の子供達そして死んで行った仲間達の意思を無下にしてしまうとしても?」
「それは…」
僕は口をつぐんだ…「それでも構わない」と言う感情が静止される。個人の感情で周りを不幸にしてしまう事は、試験に勝つ為に人を殺したアイツらと同じだ
「私は何も無償で力を貸して欲しい訳では無いです。もし学園に入学してくれるなら、この都市、引いては塔の真実をソラさんに教えます。貴方が塔で見た物の真相を…」
都市、塔の真実。僕達が暮らしてきた場所に隠されている闇を知れる、、そんな事を教える事がこの女とて、決してたやすい事ではないだろう…ハッタリの可能性もある
「塔?なんの事ですか」
「おや、信じていただけて居ないようですね。貴方達が試験で戦った牛
あれを塔の10階で目にしたと思うのですが、、そういえばあの中に貴方の知り合いも居ましたね」
知り合い?なんの事だ…これも嘘か、でも塔の10階で確かに牛のような物を目にしている、、これ以外にも隠された秘密があるとでも言うのか
「時間ですので詳しいことは今後ゆっくり話しましょうか」
「返事は聞かないのか?」
「その必要はありませんよ。貴方にその意思は無いですから」
クロウデェン管理長…気持ちが悪い程に得体がしれない女だ。他者を利用することさえ意図はない姿勢は、不快感すら覚える、、いずれ絶対に殺す事に変わりは無いが今はもう少し、様子を探ることにする
____☆__アルカナム都市内部。統治者達の会議が始まった。いつもと違い各児院事の管理AI達も集められている、この会議の代表者である
「全児院の
形ばかりの労いをかけ、本題に入る
「まずは、ミス・クロウデェンとても面白いものを見せて頂きありがとうございます。欠陥品の駆除、厳選は素晴らしい成果です。今後のコスト削減にも繋がりそうです」
今度は気持ちの込めた関心を送る。もっとも彼の本心は一切分からないが…
「少しよろしいかな?大臣」
金髪のふくよかな男が手を挙げた。右手にはかなり大きな宝石の指輪がついている
「どうされました?ディベル曹長」
ディベル・マルボ、見るからに裕福で怠惰な体つきの男だが軍の最高司令官だ。相当の切れ者…なんて事はなく実力社会の隙間にある縦社会が産んだ化け物と言ってもいい豚
と同時に軍という物に力を入れない為の置き物でもある
「素晴らしい成果とは言うが、ぬるいんじゃ無いか?感情の管理が出来とらん…あれでは牙を向くのも近いかも知れん」
「お言葉ですが、ディベル様。感情の管理という点においてですが以前も申し挙げた通り、感情を捨てるのでは無く一つに絞らせる。この点は成功した、と考えているのですが」
ヤジが飛ぶ
「憎悪を生んだだけじゃ無いのか?」
「何のためにこれまで情報を占領し抑制してきたと思っているんだ!!」
面白い程想定通りの反論が飛んでくる。この都市は思考を制限させるあまり支配者層の思考も止まってしまったと言ってもおかしく無い
「皆さんは、本当に抑制や制限だけで市民が牙を向かないと考えているのですか?」
何を当たり前の事を…とでも言うように笑いが起こる
「ミス・クロウデェン、言ってる事が分からないな…この都市の本質が間違ってるとでも言うきかな?」
ディベルが少し目を細める。都市を否定する…それはどんな事よりも重い罪に当たる事だ
「もしや貴様、反旗を翻すつもりじゃあるまいな??」
この方向に話が広がるのは、あまりよろしく無い。
「都市の本質…と言うより私達が間違えているのかも知れませんね」
大臣からの思わぬ言葉に空気がざわつく。
「大臣…私達が間違えてるというと、何を間違えたと言うのですか?」
法の統治者レフェリー・マーキュリーが返した
「いえ、決して感情を支配する事が間違いという訳ではありません…市民が牙を向かない。これが絶対である、勝手に思い込んでいました」
白々しくも今気づいたかのように大臣が話す
「確かに、そうですなぁ…」
まるで操り人形か何かだろうか。意志を持てる者がそれを捨て目の前の不確かな答えを疑う事も無く信じる。この現状こそが実に愚かなものだった
「私は、その牙を向かれた時、ブレーキをかけれるためあらかじめ感情を吐き出しておく必要があると考えます」
もっともらしい理由を並べる
「確かにそうですね。しかし牙を向けれないよう、予め牙を折っておく事こそが私達がするべき事なのでは?例えば思考そのものを私達に委ねる生き方にすれば否定的な意見を持つことすらなくなる」
大臣が本命である考えを述べる。彼の考えの末端が見えてきた気がした
「ははっ。大臣、それはなりませんなぁ…あくまでも個としての成長が第一に掲げられる。この世界で全てを誰かに委ねるなど、、」
「あなた達、いえ私達が既にしている事ではないですか?今更、旧文明の常識や倫理に従ってこの都市が完璧で絶対的な物になるとでも?彼ら人類が辿った過去は少し自由が過ぎたのですよ」
「では…具体的にどうするおつもりで?」
「簡単なことですよ。公平的な視点で人を導く存在に任せればいい」
そう言って彼はAIたちに目を向けた
「外的なサポートで得られる効果も、人間の一部とすることで更に進歩する。」
「我々が彼らAIの家畜に成り下がるなど、それで向上するなんてあるのですか?」
「あなた達が否定したい気持ちも分かります。
なので今度の学園の1クラスで運用を試したい。勿論ミス・クロウデェンにも参加してもらいます。貴女の本題はそこでしょうから」
中々に面倒な事になりそうだが大臣から肯定されることは好都合だ
「ありがとうございます」
「し、しかし大臣…学園は都市の人材育成の場。決して遊びで使われる訳には行きません!」
「そうです!ましてや試験運用など…」
みな、そろって否定する。そこに透き通った声が聞こえてきた
「構いませんよ」
この声は…お父様、、いえ市長の声だ
「信託は都市の発展の為の向上に対して意義を唱えることはありません」
「しかし…」
意義を唱ようとする男を大臣が遮る。
「おや、、市長!珍しいですね…積もる話もありますが、市長からのお墨付きということで会議は終了です。宜しいですね?」
大臣は協力な後ろ立てを得たことでやや強引に会議を閉めたのだった。市長の意見に意義を唱えれる者は誰1人居なかった。
____正義は様々だが、勝者による真実は絶対的だ。それぞれの思惑が交差しぶつかり合い最後その勝利を手にするものは誰になるのか
ジュエリー児院編-完-
___後書き ジュアリー編完結?です。と言っても塔の真相とかまだ謎はあるので、まだ出てきます。あと最初のXXXは人物名です。
次回からEpisode0を少しやって問題が無ければ学園編始めますので
よろしくお願いします!!管理社会での学園は、面白くなる予感がしないので抜け道考えるのに苦労してます
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