第3話 塔の上階調査団
「ソラ!やっほー」
セルシオが手を振り駆け寄ってくる
「セルシオ。迷わず来れたみたいだね」
「ソラの匂いは、分かりやすいからねぇ〜あと髪白いからすぐわかる!!!」
「すっ…すごい能力だなぁ」
僕たちがそんなヘンテコな会話を繰り広げているとルージが駆けつけてくる。
思わぬ付き添いを連れて
「わりぃ!遅くなった。こいつがどうしてもついてくるって言うからよぉ」
「げっ…イヤーナじゃない、、、」
会いたくない嫌な奴にあったかのようにセルシオが目線を逸らす
「おや?セルシオじゃないか。なんだそのイヤそうな顔は」
セルシオの反応に気付いていたのかイヤーナ君がしらーじらしく挨拶をする
「まっまぁ、2人ともそんな睨み合わないで、、」
イヤーナ君が来てそうそう気まづい雰囲気に耐えかねた僕がなだめてみるが
効果は無かった
「まぁとりあえず先を急ごうぜ!」
「ルージの言う通り今日は監視AIの動きが停止している今がチャンスだよ!」
僕達は急ぎ足で10階を目指す。
塔の構造としては真ん中がくり抜かれた円形の形をしているが、どうやら9階から上に関しては真ん中も塞がれた完全な円のようだ。通路はA階段 C階段 E階段 G階段の4つ今僕らが通っているのはA階段だ
「何だか空気が違うくない?あと何だか暑いしくらーい…何かが好んで住むとは思えないんですけど」
確かにセルシオの言う通りここは明らかに9階とは、違うこれまでに感じたことのない異様な空気感を漂わせてる
「あまり長いは好ましくないかもですねぇ。ルージ、その噂とやらはどの辺の部屋の子が言っていたのですか?」
「えっ、あぁ確か…俺が聞いたのはFの18からだな」
階層事に部屋の数字が割り振られている。この階には番号は無いが部屋の横の広さと着いた位置は、正確に覚えている
「となると左から回るのが早そうだね。壁を伝って行こう」
「分かった」
本当に使われていないのだろうか。微かな明かりしかない
僕達はそれを頼りに足を進める
「ところでソラさん。この壁に何か違和感は感じませんでしたか?」
壁伝いに歩いていたけど確かに感触がいつもの壁と違っている気がする
「え?違和感ってただの壁だろ?」
イヤーナ君が僕を試すように放った問いは、ルージによって返された
「ルージくんに聞いてるのではありません!」
この不気味な空間に
「確かに少し前の壁と違う。まるで何かを閉じ込めてるかのように頑丈なのに所々に空気の通り道が用意されている。それにさっきから吐息みたいな音もする」
「やっぱり人が住んでるの??ソラぁ助けてー」
「わりぃ。セルシオそれ俺だ」
「えっ!!あっごめんなさい、あたしいつもなら間違えないのに…」
壁の感触を確かめていると押していた壁が凹む。それと同時に何処かで開く音がした。
「ソラさん、正面の壁が開いたように見えます。急ぎましょう」
イヤーナ君について開いたであろう部屋を目指す
「うっ…酷い匂いだなこれは」
「うげー。俺あんまし入りたくねーなこれ」
先に着いていたイヤーナとルージが露骨に拒絶する
「ここって…」
開いたであろう部屋一面が赤に染まっている。いや部屋と呼んでいいのかも分からない。その部屋であろうものはゆらりと動いているのだから
「懐かしい」
無意識だろうか、咄嗟に口から出た言葉に疑問が隠せない。僕の頭では記憶にないものが、体は覚えているとでも言うのだろうか…どこか安心、、安らぎに似た気持ちが込み上げてくる
「へ…ソラ??」
「あれ、僕今なんて」
「それよりアレ見てみろよ!!何かいねえか?あれ」
「よっ、よく見ると沢山いるわね。赤、、ちゃん?」
ルージが指を刺すを見てみる。あれ…は。いや、、刺す指の右端側から
何か生えてきている。ツノ?目?
「とっ、とにかくこの場を離れよう!!」
「あれ…赤子?よね。ねっねぇソラなんなのよアレ。あたし知らない」
「話はいいから!!!」
「ここはソラさんの言う通りにしましょう。これ以上は我々にも危険があるかもしれない」
冷静さを欠く僕に変わりイヤーナ君が場をまとめて切り上げてくれる。
僕達はその場を後にして各々の部屋に戻る。
あの場にいて僕とイヤーナ君以外には映らなかったのかもしれない。幻覚であってほしい…そんな感情を押し殺し冷静に状況を整理する
(あの物体、赤ちゃんがうごめく横で、角の生えた1つ目の物体が生成されていた
あんなのは僕が学んできた知識の中に存在していない。無から有を生み出す?
明らかに僕達とは違う種族。そもそもあの物体達はなんなのだろう…
塔が生命として生きている?そんなはずは無い明らかに無機物だ)
この晩。僕が眠れることは無かった
後書き
次回は、クロウデェン回です。内容が行ったり来たりだと感情移入もしずらいですし少し変えてみます。主人公の話を広げていきたいのですが
アルカナムの世界観にも触れておきたいのでご容赦ください
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