第2話 僕らの生まれた場所
アルカナムである為に我々は捨てなければありません。
この社会の為に、なすべきことをしなさい。さすれば救済が訪れるでしょう
今日もあなた達に祝福を与えます。アルーム
核戦争、テクノロジー産業推進による自然破壊、XX戦争により人類は生活が出来ない程に衰退しました。
では何故貴女達が生活を許され生きていられるのか。
都市、ジュアリー児院含め、透明な防御壁が張り巡らせてあるからです。核戦争などにより排出された放射線、ウイルスは今も完全には消えていません
貴方達はこれから都市を守り、社会の発展に尽力せねばなりません。
(今日の授業はここまでです。明日のテストにつきましては、朝8時までに大聖堂に集合です。詳しい話はその場所で行われるので送れないよう心がけてください)
「せんせー、今日は俺たち自由で帰っていいってこと?」
まだ眠たいのか眠気まなこを擦りながらルージは、問いかける
「先生。ではありません私は教育AI208です」
「はいはい。それでせんせー!いいの?」
「構いませんよ」
AIの返答のもと、何故かセルシオが爆速で身支度を終わらせ僕の所に来た
「ソラ~帰ろ?」
「うん、ルージも帰ろーよ!」
露骨に嫌な顔をするセルシオに背を向けルージに呼びかける
「おう!」
こうして3人で帰るのも…今日で最後になるのかもしれない。そう思うと少し寂しい気持ちもある。この時間が永遠に続けばいい、そんな事を考えてしまう
「ソラ…いよいよだなテスト。俺今まで緊張した事無かったけど昨日は、珍しく眠れなかったぜ」
「あんたは、いつも授業中に寝てるじゃない寝る時間が逆転してるだけよ。珍しくないわ」
「ぐぬぬ、確かにそうかもしれねぇ…でも先の事考えると寂しくてな」
「ルージもやっぱり寂しい…んだ」
「そうね。確かに私達、塔は違えど同じ生活を送って来たもの同士だもんね。
あたしもソラに会えないと思うと…今すぐ拘束したいくらいよ」
セルシオが鋭い目線をコチラに向けてくる
「そ…れは、辞めてもらいたいかなぁ」
痴話喧嘩を見かねたルージが助け舟を出す
「セルシオは、今後の夢とか無いの?」
「あ、あたし?そうね。ソラのお嫁さんかしらね!」
出した船は、あっさりと沈没。
「(わりぃソラ…話逸らそうとしたんだが結局戻っちまったよ)」
「う、うん。(ありがね。ルージ)」
「でも真面目な話…夢と呼べるものがないのよね。ほら、私達って旧文明の歴史や数学、あと文学やシンギュラリティ授業とかばっかで肝心の今の都市について知らないじゃない?」
「確かになぁ!言われてみればベンキョーや運動以外のこと知らないかも」
「あ、ん、たはベンキョーもしてないけど!!!」
「うぅ…」
「みんな将来が決まるとは言っても、正直実感があまり無いよね。ただここに居られなくなる事くらいしか情報が無いし…」
「考えても仕方ねぇぜソラもセルシオも、問題はテストを乗り越えれるか!それだけだ」
「ふふっ…そうね、そうよね」
珍しく上品に笑うセルシオを見て僕もルージも胸がときめいてしまった
「と、ところでソラ、セルシオ。塔の噂って知ってか?」
「え?噂??」
僕達ジュアリーの子供達は生まれた時からここ塔で暮らして来ているのだが未だここが何処なのかということを知らない。周りにあるもので言ってもカリキュラムなどで使われる大聖堂だけだ。海はおろか広い山や砂漠などは画像やAIプログラムでしか見た事がない。
「なに?噂って知りたい!」
間髪入れずセルシオが興味を示す。
いつもなら(あんたまた変な情報を鵜呑みにしてんじゃないわよね〜!!)なんて小言が飛ぶ所だがここ最近は少し女性らしい可憐さを身につけたのかも…
「これは
「それは…確か、昔はもっと人がいてえ、あれ?前文明の残したものだっけ」
「確かここは、避難所?だったんだよねルージ」
「正解だぜソラ!セルシオも惜しかったなぁ」
ニコッと笑うルージと悔しがるセルシオ
「それで噂ってのは、何なのよ!」
「実は9階より上に住んでる奴がいるんじゃないか?って事よ。9階のやつが上からうめき声や笑い声を聞いた奴もいるらしいぜ」
「確かに。それは気になるわね、ただ9階の子達がこっそり抜け出して探検してたとかは?」
「セルシオの方にもあると思うけど真ん中には、監視AIが付いているどのくらいの精度のものかは分からないけどあそこまでの数に引っかからず上にいくのは難しいんじゃないかな」
「そう。それに同時刻に上から強い揺れが響いてきたって噂もあるんだよ!
そんな大掛かりな事流石にバレると思うんだよなぁ」
「少し気になるわね…でも上に行こうにも監視AIがあるし、、」
さっきからルージの話の誘導が凄い…この流れは、何かある時だよね
「ふっ!このルージが見つけた独自の情報網によると今日の夜は監視AI並び全ての電力が夜の9時に一時的に止まるらしい」
誇らしげに腕を組みドヤるルージ…ここは、のっておくことにする
「なっ、なんだってー(棒)」
「おい、ソラぁもう少し感情をなぁ」
「ところでルージ。何であんたが知ってんのよ?それより今まで稼働していたAIが止まるなんてありえるの?」
「あぁ、この前寝過ごしちまった時ジュアリーの人間では無さそうな若い金髪のボンキュッボンな姉ちゃんが話しこん現場を見ちまってよ。可愛さに釣られて聞き耳立ててたんだ」
思い出にふけっているのか、鼻の下を伸ばし語る
「ルージらしいね…でも都市の人が?誰とお話してたの?」
「女の人に釘付けで見れちゃいねぇが…中には
「はぁ…本当ルージは、ルージねぇ…良い意味でよ」
流石のセルシオも呆れたのか毒も吐いてない。
「なっ、なんだよ!」
「とにかく、
「いや、セルシオさん?目的変わってないデスカ?」
「まっ、まぁソラの部屋は置いておいて、今日の夜9時に男子塔1階Aレーン集合でどうだ?」
「バレたら大変だけど調べてみる価値はあるからね!僕は賛成」
「あたしも!Aレーンね。多分あたしらの塔と同じだと思うから9時に向かうわ
そうと決まれば準備ね〜それじゃまた9時に!」
『うん!(おう)また9時に!』
セルシオは小走りでその場を後にする。僕達も続いて部屋に戻ることにした
_________☆___________
「ミス・クロウデェン少しよろしいですか?」
白髪混じりの男が声を掛ける。歳は50と言った所だろうか。私が知る限りでは見たことがない男だ
「要件を聞く前にお名前を伺っても?」
「失礼。わたくしエルゾット大臣の付き人をやっております。リゾットと申します」
「大臣の?」
「はい。この度エルゾット様がミス・クロウデェン。貴女との面会を求められております」
この都市での権力者は日頃、表舞台に姿を表さない。それはアルカナム適正が社会の本質といえど絶対の縦社会のようなものがあるからだ。いくら私の数値が高いと言え、本来なら円卓の12議会に出席すら許されない。
「面会…と言うと余程の緊急事態?という事ですか。」
「いえ、ジュアリー児院。貴女が引き継いだ場の視察に赴かれたいと」
エルゾット大臣。前任者から引き継いで以来これまでになかった政策をいくつも行ってきた方だ、この絶対の支配階級に形ばかりではあるにしても法を作り、公平を掲げている。私も人のことを言える立ちでは無いが彼はあまり読めない
ここは、敵を作らないためにも承諾しておくことにする
「なるほど…分かりました。早急に時間を調節致します」
_______★_______
ディストピアの金字塔作家はこう述べる。
暴力を憎み、政治を信用しないとなれば、のこる唯一の救済策は教育だけである
社会がどうしようもなくとも若いうちに手をかければ救いはあるそうだ。
時に子供の選択は大人の想像を容易に超えてくる。傲慢で愚かな支配に胡座をかき、この都市が存在し続ける限り神の頂にたどり着くことは無いだろう。神は支配する為にその身の存在すら必要としない唯一の者だから
後書き
展開あんまり進まなくてごめんなさい。
心情描写とか会話文とか情景描写とか…どの割合でやればいいのか分からなくて難しいです。アドバイスください!
あと、塔の監視体制やAIなどの説明を一切していなかったので次の冒頭でやるかもです。つまんないのでスキップしても大丈夫です。
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