第88話 ついていけるのは1人だけ

カーシャ姉さんと教会から戻ってきた翌日、

少し冷たい態度をとる姉さん達をよそに1つの手紙が届く。


「召喚状…?」

「ついにきたか」

「ミコト姉さんこれ何?」

「これはな、王様が誰かと話がしたい時に書く手紙じゃ」

漫画みたいに玉座で片膝をつくみたいな?

少しテンションが上がった。


「日にちは…今日!?付き人は1人!?」

「「「!」」」

姉さん達が反応する。

カーシャ姉さんだけは今日ダンジョンで一狩りするらしくこっちの方は気にもしていない。昨日僕を超えるとか言ってたからね。


「ここはわらわが行くとするかの」

「いやいや、ミコトは王様にとっては無関係な人でしょ? アクアート家は現国王と深い繋がりがあるから、私が…」

「結婚式には私のお父様達も国王と会います。ここはメナスタシア国の三女である私が行って事前に伝えておくべきでは?」

そこから、そんなことは宰相でも通せばいつでも伝えられるや、いつでも会える仲なら別に行く必要ない、わらわも一国の重役じゃぞ


なんていう言い合いが続いた。

結局…

「ジャンケンポン!」

「私の勝ちですね!」

声高らかにマナ姉さんが言う。

「ジャンケンなら仕方ないね…」

「そうじゃな…」

何だか少し可哀想に思ったので帰ってきたら何かしてあげよう。お土産も買おうかな?


「それじゃあ行きましょう?カズヤ」

「うん。行ってくるね」

「お土産楽しみにしてるからね〜!」


昨日の馬車とは変わって今度は装飾品がたくさん使われていていかにも貴族っていう感じがする。


王城の使いの人が馬車の運転をしてくれて、直ぐに王都に着くことができた。

「もしかして緊張してる?」

「し、してるわけないじゃん!」

「ふふ、大丈夫。カズヤを褒めるために呼ばれただけだよ」

マナ姉さんいつもみんなの前では敬語なのに2人きりになると距離が近くなるだよな…。


僕だけ特別と勝手に思ってしまう。

「王城通行許可証の提示を!」

おじさんが見せ通ることが許される。


おじさんにはお礼を言い、いざ王城の中に入る。

屋敷と比にならない程大きい。

案内された先にはクリスさんが立っていた。

「急にお呼びしてしまってすみませんね」

「いえいえZランクの昇格に関わることですから何時でも参上します」

「ほほ、それなら緊急事態でも心強いですな。」

前、初めて会ったのが戦争の時だから、久しぶりだ。

白いお髭がまた伸びている。

どこまで伸びるのかな…?


「こちらのお部屋でお待ちください。直ぐに謁見を行えるよう、準備して参ります」

「分かりました」

「それにしても豪華な部屋だね。」

「マナ姉さんの国にも王城はあるの?」

「ありますが…これ程大胆な装飾品は飾っておりません」

エルフは長命だから何年も見てたら見飽きるのかもしれない。


窓から中庭を覗くと

「アイスエッジ!」

「ファイアウォール!」

宮廷魔法使いが練習している。

「私の方が強いですよ?」

と手のひらに火を出す。


「久しぶりに戦いたくなってきた」

最近はあれこれ予定があったから冒険、戦いができていなかった。

「帰り、どこかの原っぱで練習でもしますか?」

「する!」

「分かりました。それじゃあ、今から頑張りましょうね」

と頭を撫でられる。



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