第87話 カーシャ姉さんの思いを聞く

「カーシャお姉ちゃん!これどうやって使うの?」

「これはね…」

とカーシャ姉さんが子供たちにボードゲームの使い方を教えている。


「カズヤ様はあちらに行かれなくて良いのですか?」

「僕はここから眺めてるのがちょうどいいので」

「そうですか。ところでカーシャ様がご結婚されると聞きまして、これでもシスターの身ですので神に代わってお祝いを申し上げます」

「ありがとうございます」


意外だった。

カーシャ姉さんは他の姉さんに比べてあまり、消極的というか…

「カズヤはずっと私のパートナーなんだから」

と言っていたからそんなに結婚を気にしていないようだったけど…


「真っ先に私達の所に来て喜んでおりました」

「え?」

「カズヤ様とずっと一緒にいられるとおっしゃっていましたよ?」

「知りませんでした。正直、他の姉さん達がすると言ってカーシャ姉さんはもしかしたら…と思っていたので」


昔、カーシャ姉さんは僕のことを弟のようなものだと言っていた。

だから、カーシャ姉さんを巻き込んでいるのでは?と思ってしまった。

けど予想以上にカーシャ姉さんは嬉しがっていたみたいで僕まで嬉しくなる。


僕とカーシャ姉さんはこれから結婚式やら旅を始める準備やらで教会には頻繁に来れないだろう。

そう思って、この教会に寄付を沢山しておいた。お金で人の好感度を上げるのは好きじゃないけど、帰ってきた時でもこの教会はあって欲しいからしばらくはこのお金だけで運営できるくらいは渡した。


「心より感謝申し上げます。カズヤ様の旅が明るく、充実したものになるよう願っております」

「ありがとうございます。シスターさんも頑張ってくださいね」

「はい。この子達を立派に成長させて心の拠り所になるような場所にします」

まだ僕よりちょっと年上なのにしっかりしてる人だ。


「カズヤ〜そろそろ行くよー?」

「はーい!それではまた」

「ええまた会える日を楽しみにしております」


教会を出てカーシャ姉さんは馬車を走らせてくれてる。

僕はというと呑気に魔導書を読んでる。風魔法ムズいや。

「カズヤ」

「うん?」

「私、カズヤにふさわしい人になれるかな」

と急にポツポツと喋り出す。いつもの活発なカーシャ姉さんとは違った。落ち着いた雰囲気だ。


「どうしてそんなことを思うの?」

「私、ミコトやマナ、エクシアみたいに綺麗なお姉さんではないよ?獣人だし…その…」

獣人は昔、どこかの国で差別の対象だったらしい。それが少し他の国でも蔓延していて、この国は比較的ない方だと思うけど獣人なら誰でも気にしちゃうと思う。


「僕はカーシャ姉さんが好きだよ?」

「…!」

「別に僕は姉さんが獣人なんて気にしてない。好きになった人が明るくて、いつも僕のことを気にかけてくれて大事にしてくれる。今までの人生の中でそんな人あまりいなかったから、嬉しいんだ」


今までの人生っていうのは前世のことも含めて言っている。


前世で信頼できるような友達を作ることが出来なかった。薄っぺらい友達の関係が多かった。

でも姉さん達は信頼できる人。

そんな人達とこれからも一緒にいたい。


「ごめん、なんか変なこと聞いちゃったね。」

「うんうん気にしないで」

「私、頑張って強くなるから見てて!カズヤに越されちゃったけどいつかは倒すからね?」

「分かった。じゃあ僕も、越えられないようにもっと強くならなきゃね」


そんな感じで帰ってきてから一緒に寝るまで(たまたまその日が添い寝担当だったらしい)

イチャイチャしてたので翌日、しばらく3人の表情が険しくなるのをこの時の僕は知る由もなかった…。




《ガチでお久しぶりです。急に投稿をお休みして以降、何も連絡せずに放置してしまい申し訳ありません。3年生に近いこともあり勉強や部活やらで忙しく、書く余裕があまり作れませんでした。これからもっと忙しくなると思いますがたまに書けるよう頑張っていきますので引き続き応援よろしくお願いします。》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る