第86話 カーシャ姉さんは元気がない
ランナさんと打ち合わせした翌日、僕は馬車で移動していた。
貴族のような馬車ではなく、あの戦争で使った時のような冒険者用の馬車。
決して乗り心地は良いとは言えないけど僕はこういうのが異世界感があって好きだ。
旅に出る時もこういうのが良いと思っている。
夢あるな〜。
「珍しいね、カズヤがついてくるなんて」
「今日は家に居れるような状況じゃないしね」
ミコト姉さんは書類の手続きをしているし、エクシア姉さんは王城に呼ばれてる。マナ姉さんは最上級魔法をもっと使えるようになりたいと言ってドラゴンの巣に行ってしまった。
みんなが活発に動いてる中、1人だけゴロゴロしているのはどうかと思って、カーシャ姉さんについて行くことにした。
暇だったというのもあるけどカーシャ姉さんについて行くのはもう1つ理由がある。
「カーシャ姉さん最近、元気ないね」
「そ、そうかな?そんなことないよ。私は…」
と少し言葉に詰まっている。
「レッドが居ないから?」
「それもある…ね」
レッドはあの悪魔の戦い後、自分の不甲斐なさを感じていたらしい。
《すまんかった。お前のお父さんに頼まれていたのにな…》
《気にしないでよ。僕も成長出来たってことだから》
《少し、自分を見つめ直す》
《どこに行くの?》
《カーシャが竜騎士をしていた国に行く。まだいざこざが残ってるからな。それを済ましたら山奥で修行する。なに、すぐ戻ってくる》
と言って夜中に屋敷を出ていった。
その時僕にしか最後に会っておらず、
カーシャ姉さんは気にしてないように見えたが僕の目では誤魔化せない。
「カーシャお姉ちゃん!」
「カーシャお姉ちゃんが来たよ!」
わぁーと子供たちがカーシャ姉さんに駆け寄る。
「今日はたくさんおもちゃを買ってきたよー」
「おもちゃ!?」
「やったー!」
このおもちゃはカート商会の物だ。元々、カーシャ姉さんが孤児院に行くのをついて行こうとは思っていたのでランナさんに事前におもちゃをもらっておいた。
市民用のオセロやチェス、ボードゲームを用意した。僕が考えたやつをミコト姉さんが勝手に作ってたらしい。
「これはこれはカーシャ様、いつもありがとうございます」
「いえいえ私は何も…。これは私のカズヤが持ってきてくれて」
「あなたが…カーシャ様がお話になられていたカズヤ様ですね」
とシスターさんに言われる。
お話になられた…?
「それは…!と、とりあえず中に入ろう!」
と背中を押され孤児院に入る。
何を話していたのかな…?後でこっそり聞いてみよう。
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