第81話アジトをボコボコにします!
「で、どこなの?」
「ひぃ!こ、殺さないで!」
「殺したりなんかしないって」
そんな残虐な人ではないよ。
「あ、あそこだよ!」
地下道を通っていると明かりが見えてきた。
そこに居たのは
「やっと来たか!遅いぞ!」
「あなた達ですか?幼い少女を誘拐したのは」
「お前…何捕まってんだよ!」
「ごめんなさい〜」
見たところ昼に見た人もいる。
強そうなのは後ろに立っている人かな?
「まぁいい!お前を今からぶっ殺してやる!」
「いいよ。おじさん。まとめてかかってきて」
あの人は介入する気がしないからまずはこの人らを倒そう。
迫って来る盗賊達の攻撃を避ける。
「はぁ!?あいつは!?」
「上だよ」
木属性魔法のツリーフィッシェアを発動する。
「なんだこれ!?」
木枝が体を絡めとる。
これで大人しくしてくれるだろうと思っていたら…突然絡めとっていた木枝が切れていた。
「何をしているんですか。早くあいつを倒すのではないんですか?」
「ああ!ありがとよ!」
早かったが僕には見えていた。
僕と同じくらい…いや、それ以上に速く見えた。
あいつが木枝を切る瞬間を。
「おい!早く捕まえないか!」
後ろからボロボロの服を着た貴族っぽい人が出てきた。
「でもよ、こいつすげぇ強いぞ」
「うるさい!早く捕まえろ!お前も協力すれば勝てる!」
「分かりました」
この人まで参戦されると面倒だ。
洞窟内だから火属性でドカーン!とすることも出来ないから…
「よし、これだ!」
~~~~~~~~~
私は現在逃走している。これでも私は強い方ではある。だがあまりにもあいつとは格が違いすぎた。
「ツリーフィッシャア!」
「あいつさっきと同じことをやってるぞ!バカなのか?おい、はや…く」
次の瞬間木枝に雷が走って盗賊達は倒れてしまった。
「な、何が起きた!?おいお前あいつを…」
私はその場からすかさず立ち去った。
勝てるわけない。多重詠唱なんて暗殺者の中でもトップしか使えないはずだ。
それをいとも簡単に使いこなす。
我々は殺すまでするが、あいつはギリギリ死なない程度に留めている。
走って逃げている最中、目の前にあの子供がいた。
「やぁ、暗殺者さん」
「!?」
1歩下がる。
「大人しく、捕まろうとしないの?」
「私は最後まで抗う」
持っている短剣の刃をそいつに向ける。
「へぇ〜。お兄さん短剣使うんだ。僕以外で使う人初めて見たかも」
何でこいつはこんなに冷静でいられるんだ?
普通なら子供は私を怖がるはずだ。
今まで殺してきた子供はみんなそうだった。
だがこいつは冷静に物事を見ている。
「じゃあ僕も短剣を使おうかな」
と2個の短剣を取り出す。
それを両手に構えた瞬間、私は口元が緩んでしまった。
普通なら短剣は利き手に1本しか持たない。
2本なんて聞いたことがない。
明らかに素人だ。これなら勝てる。
もしかしたら伯爵の弱いという予想は当たっていたかもしれない。
こいつを倒したら助けてやってもいい。と頭の中で考える。
多重詠唱は詠唱時間が普通より多くかかるから発動される前に倒す!
私は全速力でそいつに斬り込む。
だけどそいつはいない。
「後ろ!」
振り返るとそいつが攻撃しようとしてきた。
咄嗟に受け止める。
こいつ、私より早い。
「お兄さん、降参したら?」
圧倒的強者。だが勝つ算段は見えた。
もう一度斬り込む。
今度は片手でそいつのお腹にストーンバレットを放つ。
近距離からのストーンバレットは誰もが瀕死に追い込む。
詠唱時間はあいつには与えない。
これで私の勝ち…
そう思っていたが、
「お返しするよ」
片手に持っていた短剣を捨て、すかさずウイングを使った。
私はさっきより速い速度のストーンバレットで腹部に向かって返り討ちにされる。
「あ…」
避けきれずギリギリで腹部に当たる。
痛すぎて声が出ない。
「ツリーフィッシャア」
「く…!」
「お兄さん、あの人たちより段違いに強かったね」
「お前は何者だ」
「悪魔殺しって呼ばれてるけど…それで分かるかな?」
「…!」
私はここでようやく自分がやらかしたことに気づいた。
あんな女達の情報よりも「悪魔殺し」という情報をもっと詳しく調べるべきだった。
伯爵の言葉を信じてしまった。
これが敗因か。
「好きにしろ。殺したり、奴隷商にでも売れ」
「そんな事しない。騎士団にあの人たちまとめて突き出す」
こいつはこのまま、まともでいて欲しいと思った。
私みたいにあの戦争で全てを失ったどうしようもない奴とは違って。
《お久しぶりです!最近忙しくて投稿できていませんでした。今日はそのお詫びも兼ねてもう1話投稿します!》
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