第79話【視点別】ある落ちぶれた伯爵は計画を立てる

「ほう…」

私は部下が持っていた道端で配られていたという号外を読んでいた。


「アクアート公爵をも上回る実力…ね」

そこには写真付きで戦っている様子が書かれていた。アクアート家は代々武勇で知られている。


読み進めると私はある言葉に強く反応する。

「悪魔殺しだと!」

こんなに小さな少年のせいで私達の計画が崩れたのか…!

あいつが悪魔なんか倒さなければ今頃私は何不自由ない生活が送られていたのに…!


今は反逆罪で財産が没収され、領地もなく、

こうして地下で盗賊のボスとして城下内で悪行をする羽目になった。

それもこれも全部こいつのせいだ!


「ふざけるな!」

こんなことあっていいはずがない…!

冒険者上がりの貴族風情が!

「こいつを調べあげろ」

「は」

私が最近雇った暗殺者兼諜報だ。

1時間もしないうちに帰ってきた。


「大まかではありますが情報を収集してきました」

そいつの報告によると

Zランクの冒険者、エルフのメナスタシア国の第三王女、竜騎士、カート商会の元会長を連れているらしい。だいたい見当はつく。新聞にも載っているしな。


「現在は王都に屋敷を置き、Zランクの昇格のため推薦人を集めている見たいです」

「よくやった。下がって良い」

「は」

そう言うとすぐさまに消えた。


これでやることは決めた。あいつを暗殺する。でも、どうやってあの女達とあいつを引き離すか。いつも一緒に行動しているらしいから引き離すのは不可能に近い。

では全員まとめて…いやそれは無理だ。


あの少年はどうせそいつらのサポートでちょこっと斬って倒しただけだろうから何とかなるが4人、しかも強者に近い存在を部下と盗賊で倒すのは難しい。

どうしたものか…


すると、ドアのノックもせずに蹴り飛ばして入ってきたやつがいる。

「あーくそ!」

「ノックくらいはしろ」

「だってよ!さらって身代金を頂こうとしてその前にちょこっと痛めつけてたら…」

とリーダー的存在であるやつから話を聞くと、ボコボコにされた少年の特徴が悪魔殺しと一致していた。


私は

「もしかしてこいつじゃないか?」と新聞を見せて言う。

「ああ!こいつだ!」

「なら!やり返さないか?」

私はある計画を立てる。私はこれでも頭はいい。これまでに完全犯罪をいくつもこなした。


「計画はこうだ。もう1回次は妹の方をさらう。そうすれば兄はあいつを頼るだろう。

しかも真夜中にちょっと兄が起きる程度物音を立てろ。そうすれば真夜中でも子供は起きる。そうして夜な夜な悪魔殺しに頼る。」

「でもどうやって1人で玄関まで行かせるんだ?その強者と呼ぶ人が来たら計画は破綻するぞ」


「その時こそ私の部下だ。彼に屋敷に侵入させ、寝れない薬をまぜれば夜はずっと起きているだろう。」

「おー!頭いいな!」

「これであいつをおびき出せる。そこを下っ端でも連れてわざと見つかるように地下まで逃げれば」

「袋叩きできるってことだな!」

「ああ。さっそく今日の夜やるぞ」

「今日か?」

「明日でもいいが…、私は早くあいつの痛むところを見たいんだよ」


自分がつよいと思い上がりやがって…。

くく、あいつが死んだらあの4人も絶望するだろう。この国で強さで言えば上位を独占してるヤツらがやる気をなくせばもう一度国家転覆も可能…。


はぁ…私は頭が良すぎるみたいだ。



《こいつバカですねー^^。次回をお楽しみに》

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