第75話不思議な人

「本当にありがとうございます」

「いやいや元から認めるつもりではあったから気にするな!」

「そうなんですか…?でも怪我までさせてしまって…」

公爵に怪我なんてさせたら斬首されても文句は言えないだろう。


「大丈夫です。この人は頑丈ですから」

「ああ!1時間で治ったぞ!」

とこんな感じで勝った後はすんなり認めて貰えた。

仮に負けたとしても僕の人間性は悪くないのでエクシア姉さんがこの人しかいないと言うから認めるつもりだったらしい。


「お母さん!そこまで言わなくても…」

「カズヤくんは鈍感そうだからここで言っておかないと他の人に盗られちゃうわよ?」


他の姉さんとも仮にも婚約したのでそれについても何か文句を言われると覚悟していたが

特に何も言われなかった。


貴族でも一夫多妻制なことが多いのですんなり受け入れてくれた。このアクアート家はライアンさんがシィフィさんに尻を敷かれているのでそんなことはしないんだとか。


「もしそのようなことがあったら私が斬り倒すので」

「な!それは勘弁してくれ!」


それからしばらくお茶をしながら今後各国を旅したりしたいと話した。

「ほう…、最上級の魔導書…」

「何か心当たりはありませんか?」

「ごめんなさい。最上級なんていう魔法を聞いたのも初めてだから情報はないわ。でも公爵家でも探りを入れてみるわ」

「おう!任せておけ!」


「エクシアが最上級を使えるなんて…」

「はい。ですのでいつでもお兄様をボコボコにできますからご安心ください」

「カズヤくん、助けてくれ。まだエクシアが根に持ってる」

「エクシア姉さん。僕はもう許してるからそんなに根に持たないで。何かあったら助けてくれるって言ってるし」


「命拾いしたねお兄様?」

「ひぃ!」

「何かあったのか?」

「まぁちょっと」

これ以上は深堀りしないでおく。


「推薦人は他に出せなくて申し訳ない。同じ派閥の者から出すと他の派閥によからぬ疑いが持ちかけられるからな」

「いえいえ、気にしないでください。ライアンさんがなってくれるだけでもありがたいです」

「もうなんていい子なのかしら!」

「し、シィフィさん!?」

「ちょっとお母さん。何してるの?」

「あら?カズヤくんはあなただけの物ではないのよ?」

女性同士の争いは怖い。

その後エクシア姉さんによって僕は剥がされ


「それではまた王宮で。日時は推薦人が集まり次第、光の鳥を使います」

「分かった!」

「行こっか。カズヤくん」

「ありがとうございました〜」


ちょっと怒ってる?エクシア姉さんと共に公爵家を後にした。



翌日、僕は王都を散歩している。

理由は

「カズヤくん、今日は王都外に新しく出来た迷宮に探索しに行くよう依頼が出されたから行ってくるね」

「1日いないの?」

「うん。私だけ指名だからカズヤくんは連れて行けない」

と言われた。


ミコト姉さんは

「商会を継いだ者と打ち合わせがあってな。午前中はそれで外す」

「え〜ついて行っちゃあダメ?」

「うーん…良くはあるが…」

僕がいても邪魔になるだけだろう。ここは駄々をこねずに1歩引いた。


「私?今日は隣町の孤児院に行ってくるよ」

カーシャ姉さんは最近孤児院に行くことが多いらしい。前、シスターさんを助けたら招待されたらしい。

「じゃあ、行ってくるね。多分夕方には帰るよ〜」

「うん、行ってらっしゃい」


マナ姉さんは家にいるらしいけど…

「ごめんなさい。推薦してくれる人が今日来るので家にいないと行けません」

「推薦してくれる人がいるの!?」

「はい。とっても偉い人がなってくれますよ?」

「じゃあお菓子とか買ってきた方がいいかな?」

「とても喜んでくれると思いますよ」

と優しい笑顔で言ってくれた。


よーし!少しでもマナ姉さんの役に立とう!

そうして僕は王都内を散歩しつつ気になる店に入ってお菓子を選んでいた。


「マコロン?」

「ああ。何でも隣国から最近伝わった物で小さいけど高くてね。でもとても甘くて幸せだったよ」

果物をかじりながら、そこで売っているおばさんに情報を貰う。

「ありがとうおばさん。そこ行ってみる!」

「気をつけるんだよ〜」

「うん!って、うわぁ!」


気をつけようとした途端に誰かにぶつかる。

ギリギリでお尻にエアーブロックを置いたから尻もちはせずに済んだ。

「大丈夫か?すまない。」

「いえいえ僕の方こそ」

その人はエルフで、風格が人とは違う《強者》だと感じた。


「私の魔力を見たのかい?」

「え?」

「あなた、人間の子供に何を言うんですか。」

「そんなわけないか。敏感になってただけだ。気にしないでくれ」

「はぁ」

「それとこの噴水の広場に行きたいのだが。待ってる人がいてね」

「それならここを真っ直ぐ行って、あそこを角に曲がれば行けますよ」

「そうか。ありがとう」

「では、僕はこれで」

「ちょっと待ってくれ」

「?」


振り返るとその人はにこやかに

「君はがある。頑張ってくれ。では」


そう言って歩いていった。

不思議な人だ。

エアーブロックをギリギリで置いたのを見てたとか?

でもあれ、空気の塊だから見えないはずだし…


本当、不思議な人。





《テスト期間に入ってて英検も受けることから10月10日くらいまでお休みします

( . .)"。その代わりと言ってはなんですが実は数ヶ月前からpixivをあげてます。フリー台本としてますが短編として読んでいただけますので良かったらその間はこちらを読んでいただければ嬉しいです(*^^*)》



まっちゃ https://www.pixiv.net/users/86218870


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