第73話公爵とご対面

怖い〜と思いながら僕は屋敷の中を案内される。


「お嬢様!」

騎士の練習場に連れてかれると騎士達がぞろぞろと駆け寄ってくる。

「お久しぶりですね。団長」

「ええ!それはもう!坊っちゃまも、ようやくお嬢様とお会い出来ることを待ちわびてましたから」

「おい!言葉を慎め!」

お兄さん、もしかしてシスコン?

でも僕の方が好きだ!と思っていると、


「こちらの方は?」

「あー、この人は私の婚約者です」

「「「「「えー!?」」」」」

騎士達がいっせいに僕に視線を向ける。

「この人がですか?」

「はい。もちろんあなた達よりも強いですよ?」

「そんなわけ…」

と騎士長っぽい人が言いかけたのを部下が何やら耳打ちする。


「な!それは…!」

「でも、お嬢様のパーティーで少年が悪魔を倒したと新聞でもありました」

「私もその新聞は確認した。確かに、容姿の特徴が一致している。それなら…」

「騎士長の予想は当たってますよ?《悪魔殺し》です」

悪魔殺し…?

もしかして僕のこと…?


「まさか貴殿が…!」

とお兄さんも驚いている。

エクシア姉さん、教えてないの?

「兄さんにはあえて言ってません。面倒なので」

と僕の心の中を見透かしたかのように言う。


騎士達が大きな声で驚いている中、お兄さんに肩を掴まれ少し離れた場所に連れてかれる。

「何が欲しい?」

「はい?」

「いや…そのさっきの暴言を忘れてもらうには何が欲しいと聞いているんだ」

「そういう事ですか」

「ああ、そうだ。まさか貴殿が悪魔殺しというのは知らなかった。過去に冒険者に絡まれたことがあってそこからろくな奴が居ない思ってあんな発言をしてしまった」

本当にすまない、と土下座しそうな勢いだったので止めた。

さすがに遠くで騎士達がいる中、土下座されたら僕が殺される。


「じゃあ…、公爵に認めて貰えるように取り計らってくれませんか?」

そう、本来の目的を忘れたらいけない。

「それはもう半分認めている。あるを満たせば」

「条件?」

「ああ。万が一失敗しても僕がフォローしよう。それと菓子は好きか?最近、遠い国からの珍しい菓子が入ってな。それを渡そう」


まぁフォローしてくれるって言うし、お菓子も食べれるならいいや。


それにちょっと焦ってる様子がエクシア姉さんと似てる。


「いいですよ。それで手を打ちましょう」

「感謝する」

「2人とも?何を話しているのですか?」

「い、いや!なんでもない。ただ男の世間話だ」

「そうだよエクシア姉さん」


そんなこんなで公爵がいる部屋に連れてかれる。

ドアを開けるとそこには威厳たっぷりのお父さん…と呼ぶのは早いか…、背の高いおじさんと美人なお姉さん(?)が座っていた。


「エクシア、久しぶりだな!そちらが婚約者か!」

「あなた、急に本題に入らないでください。騒がしい主人ですみません。そちらにおかけになって」

「失礼します」

平然を装う。

内心、驚きと緊張でぐちゃぐちゃだ。


フラッドさんは席に座らずお姉さん(?)の隣に立つ。

「まず、エクシア。いきなり婚約者となる人を連れてきてなんのつもり?」

「私の婚約者となる人はカズヤくん以外考えられません。なので今日はお母様達に認めて貰おうと思って伺いました」


「前にはダメと言っていましたが?」

「シーフィ、それはさっき認め…」

「あなたは黙っていてください、ね?」

「す、すまん」

典型的な尻に敷かれるお父さんのようだ。


「それとカールさんから聞きましたが、カズヤくん、あなたZランクの推薦者を4人集めないといけないらしいですね」

「はい」

「あなたが奴隷商からエクシアを助けてくれたことも知ってる。そしてあの悪魔を倒したことも王都中で知られてるのも事実。でも、公爵家としては出来れば同じ貴族と結婚して欲しくはあった」

要は政略結婚的なものか…。そうすれば他家とより強固な関係を結べるし。


「だからあなたの価値を証明して欲しいの」

「証明…ですか。それが出来れば認めて貰えるのですか?」

「下手な貴族と結婚するよりはマシと思えるわ。それと夫も推薦者になってあげると言っているわ」

「ああ!自分の家族となる者を邪険に扱えん!」


エクシア姉さんの顔を見ると、雲行き悪そうに感じる。

「カズヤくんに危険なことはさせないよね?」

周りが凍てつくような声で言う。

久しぶりに見たけどエクシア姉さん、怒らせたらめちゃくちゃ怖いタイプ?


「そう危険じゃないわ。フラッドと夫がをするだけだもの」

「手合わせですか?」

忘れてた。


《武闘派である伯爵家。長い歴史を誇り、数々の武勇を持つ。》


そういえばこの家族、戦闘が得意だった。


《余談ではありますが公爵家当主はシーフィに見えますが、ちゃんと脳筋野郎が務めています(*^^*)。》

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