第72話今からですか!?

「私ともしてもらいます!」

「え!?」

「私もー」

「え!?」

「何か問題があるのか?」


問題はない…とは言いきれない。

第一、一夫多妻制はこの世界だと普通だけど日本育ちの僕からしたら有り得ない話だ。


「婚約するくらいならいいんじゃない?

ずっとミコト達とも暮らしていたいし」

エクシア姉さんは一夫多妻制を何とも思わないらしい。他の人を連れてこられるよりもミコト姉さん達の方がよっぽど安心なのだとか。


エクシア姉さん曰く、婚約はずっと一緒にいようね、みたいな約束事に近い意味らしい。

「うーん」

そんなに軽く決めちゃっていいのかな…?

ミコト達もずっと一緒にいたいし好きだ。


「主様は優柔不断じゃのう…」

「しっかり物事を考えられるのは賢くもありますよ?」


何もないと思うけど、もし何かあったらその時考えればいい。まだすぐに結婚っていうわけでもないし…

「姉さん達…ぼ、僕とずっと一緒にいてくれませんか?」

「照れくさそうにしてるカズヤ、かわいいな」

とカーシャ姉さんに抱きつかれる。


「ええ、主様とずっと一緒ですよ」

「私もです」


ドタバタだった朝食を済ませ、早速ギルドに向かう。


「え?もう一度言ってくれるかい?」

「姉さんと婚約しました」

「婚約指輪買いに行かないとね」

「ちょっと待って。エクシアはあの手紙が来ていることもあるし薄々そうなるかもしれないと思っていたが…同時に4人とも?」

ノリと勢いという暴挙に出たとは言えない。


「人生のパートナーは多い方が心強いだろう?それにわらわ達も主様と一緒にいたい。だから結婚するんじゃ。」

「それなら納得できは…する。改めて心から祝福するよ。おめでとう」

「ありがとうございます」

ミコト姉さんが言ってくれたおかげで納得してくれたみたいだ。


「それでカズヤくん、Zランクになるという意志を固めてきたと見ていいんだよね?」

「はい!」

「よし。それなら…」

と紙を渡される。


「昨日、公爵家に挨拶してきた」

「…!」

エクシア姉さんが反応する。

「エクシアのことも話してきたよ。それでカズヤくんのことも話した。そしたら一度会ってからだと言われてしまってね。これが招待状」

「これはいつに伺えば…?」


「今からだ」


「…。え?」

「今から!?」

「面白いのう」

「カズヤを攻撃してきたら、私が魔法で…」

「マナ姉さん。最初から争いに持ってかないでよ」

でも今からは早すぎる。

「公爵も仕事を午前中に終わらせておくからと言っていたから大丈夫だと思うよ。早く会っておきたいと言われてね。後、エクシアのお兄さんもいるからね」

エクシア姉さんにお兄さんいたんだ。きっとかっこいいんだろうな〜。


「ダメ!絶対あの人カズヤくん攻撃してくる!」と抱きしめられる。

「私もほどほどにと伝えてあるから大丈夫だろう。カズヤくん、緊張しないように頑張って」

「はい。分かりました」

ぶっちゃけめちゃくちゃ緊張してます。

いきなり初めての結婚挨拶。

しかも相手は公爵家。


「わらわ達はどうするかの〜?」

「え、ミコト姉さん達行かないの?」

「残念ながら私も行けません。一応一国の王女なので私的な交流も今までにない他家の敷居をまたぐとなると外交になってしまいます」


「そうなると2人きりで行けるね」

エクシア姉さんは嬉しそう。

「ミコト達は手軽なクエストでも受けるかい?」

「アルトレルアではないのにそんなのあるのか?」

「王都にも一応冒険者ギルドはあるよ。王都外の魔物討伐がメインかな」

「私、久しぶりにフェンリルと森の中駆け抜けたい!」

「それじゃあわらわ達はクエストを受けるか」

「そうしましょう」

「じゃあカズヤくん、頑張って」


「うう…大丈夫かな…?」

「大丈夫。私に任せて」

心強い。

「うわぁ…大きい」

僕達の屋敷より2倍くらい広い。ちゃんとした門まである。


「じゃあ入ろっか?」

「そんなズカズカ入っていいの?」

「お父さん達も私達が来ること知ってるからいいよ」

僕はこの時少し気を抜いていた。

まだ緊張する場面でもなかったし。


だから少し、遅れた。

「危ない!」

庭から急に人が出てきて襲われる。


「くっ!」

2つの短剣を咄嗟に抜き出し、受け止める。

「間に合うのか。寸止めに留めようと思ったが」

すると、エクシア姉さんが僕の前に立つ。


「何の真似ですか?お兄さん」

「おっとこれはすまない。もしかしたら我が家に空き巣が入ったかもしれないと思ってね」

エクシア姉さんと同じ金髪。けど目の色はエクシア姉さんは青なのに、この人は赤だ。


「改めて、僕の名前はフラッド・アクアートだ。よろしく」

と握手する。

「僕はカズヤです!よろしくお願いします!」


「弱者が調子に乗るなよ」


フラッドさんはエクシア姉さんに聞こえないようにそう耳元で言う。


「じゃあ中に入ろう。父さんが待ってる」

どうやら僕は歓迎されてないみたいです。



《なんか展開が遅くなってますが次回からは頑張って早くなるようにするので今回は大目に見てください^^。最近忙しすぎて投稿頻度下がってます。週に3回は出せるように頑張ります!》









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