第68話名探偵カズヤ!

「あれどうしたの?帰って来てからずっと窓の向こう側眺めてるよ」

「Zランクに昇格するための条件が厳しいみたいで悩んでいるみたいです」


僕は考えていた。

このままSランクでやっていくのも悪くない。推薦者見つけるのも苦労するし、ましてや貴族家の養子はもっと難易度が高い。

名誉を持ったら色んな人が近づいてくる。


Zランク…。

数十年に1度の逸材で貴族界でも一目置かれる。緊急時には駆けつける必要があり、それなりの権力を持つ。

と帰りギルド内にある図書館のような場所で調べた時書かれていた。


「あ、お帰りエクシア」

「ただいま」

エクシア姉さんが帰ってきた。僕はカールさんにエクシアと2人で話したいからとミコト姉さんと一緒に帰らされていた。


「カズヤくん。ちょっと夜2人で話したいことがあるから部屋に来て欲しい」

「分かった」


夕飯を食べ終えエクシア姉さんの部屋に行く。夕飯中はみんな察してくれていたのかZランクの話には触れずにマナ姉さんがゴーンさんと接戦だったことやカーシャ姉さんはボコボコにして無事2人とも昇格したと言っていた。


「入ってもいい?」

少し緊張する。宿とか戦争中はみんなで一緒に寝ていたのにいざ1人の女性のましてやエクシア姉さんの部屋に入るとなるとドキドキする。


「いいよ」

「し、失礼します…」

「なんで敬語なの?」

ふふと笑われる。

姉さんのせいだとは言わずにははと笑う。


「そこ座って。ハーブティー入れたんだ。リラックスできるから飲んでみて」

「うん」

椅子に座り、1口。うん、美味しい。


「それでカズヤくん。単刀直入に話をしましょうか。今まで私隠してきたことを説明するね」

「分かった」

「実はね私…なんだ」

「そう…なんだ」

「今まで黙っててごめんなさい」

と頭を下げられる。

「姉さん、頭を上げて。今まで言えなかったのは分かるから」


「私がZランクになれたのは推薦者がカールさんともう1人…私のお父さんが推薦したからなれたの」

ようやく全てが繋がったような気がする。


「だから私のお父さんにお願いすればきっと…カズヤくんの推薦者に…!」

「姉さん、まだ僕に隠し事をしてない?」

「…!」

そう。まだ姉さんは僕に言ってないことがある。

「もうそろそろが近いんでしょ?」


まだ僕がミコト姉さんと再会していなくて、

エクシア姉さんと2人で宿に泊まっていた頃…


あの日僕は夜中トイレに行きたくて、抱きつかれているエクシア姉さんから抜け出してトイレに行った帰り。

「うん…?」

机の上に手紙が2つ置かれていた。


「エクシア姉さん宛だ」

手紙はどれも開封されていて、そこには


~~~アクアート家~~~

が後半年だが相手は見つかっているのか。社交パーティーにも来ていないと聞く。早く…


~~~社交パーティーのお知らせ~~~


と内容はそこまで見ていなかったから覚えていないけど当時の僕はZランク冒険者大変だな〜くらいにしか思っていなかった。

その翌日、手紙は机の上に置かれてなかった。その時は何とも気にしてなかったから突っ込まないでいた。


僕がエクシア姉さんを鑑定した時、どこかで聞いたことがある名前だと思ったのは当たっていた。

事実、ギルド内の図書館でZランクのこと以外にアクアート家のことについて調べていた。


「あった…!」

アクアート家

武闘派である伯爵家。長い歴史を誇り、数々の武勇を持つ。

戦争時、王と共に肩を並べ戦ったことから位を授かったという説も存在する。


この本は百年前のだったから公爵に上がったと考えてもおかしくない。

期限というのに反応したからあの手紙は本当だ。書かれている内容をみれば…


「婚約しないといけないんでしょ?多分、Zランク冒険者に推薦する代わりに期限までに相手を見つけてこないといけない…とか?」

今までのことを整理すると、この結論に至った。

そしてエクシア姉さんが僕を熱心にZランクにしたがる理由…

「僕をその相手にしたい…っていうこと?」


僕が婿入りすれば貴族家の名前がつくから王様の出す2つ目の条件を満たし、推薦者にもなってくれる。それに加えて自分の婚約者にもなる。


姉さんは少し黙って

「ごめんなさい。そこまで読まれていたなんて…。やっぱりカズヤくんはすごいね」

昔、とある探偵アニメばっか見ていた時期があるから推理が得意なだけだ。


「そう。だいたいはそんな理由だよ。

カズヤくんが私と婚約すれば、2つ目の条件を満たして私もお父さんと勘当したりせずに済む」

「どうして話してくれなかったの…?」

「話しても何とかできる問題じゃないと思って」


何か裏切られたような気がした。ずっと一緒にいたのに本当のことを話してくれない。

このことも僕が言わなければ闇の中のままだったかもしれない。


「姉さん、僕ってそんなに頼りないかな…?」

「そんなこと…」

と黙り込む。

僕はエクシア姉さんが好きなのに。

これじゃあ今まで1人で勝手にドキドキしてただけなんだ。

姉さんから見ればただの子供を相手している感覚なのかな…?


「1人で勝手に舞い上がってた僕が馬鹿だったみたいだね。ずっと姉さんのこと好きだったのに。」

「え…?」

「エクシア姉さんなんて知らない」

「あ、ちょっと!」

僕は部屋を飛び出した。



《さっきバイトから帰ってきて今から課題テストのための徹夜頑張ります!なので明日は多分投稿しません!》














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