第66話【視点別】守る人、守られる人

《ポーションの説明を忘れてました。

上級ポーション…体力や魔力をだいたい回復させる。まぁまぁお高い。

マナの作る特大ポーション…魔力だけを全回復。

という感じです》


悪魔は予想よりも遥かに強かった。

それをカズヤくんが1人で倒した。

私よりも小さい手で握る剣。何度も戦う姿は後ろから見てきた。けど今回は自信に満ち溢れているような気がした。

動きを見ても正直私では勝てない域まで行っている。


「すごいよ…本当」

私はただ、死なないように魔力を体中に回すだけで何も出来なかった。

悔しかった。

守るって何回も言ってるのに結局は守られてばかり。


「エクシアさん大丈夫ですか!?」

サトキチが助けにきてくれたようだ。

右手には上級ポーションを持っている。

体力と魔力が戻ってきた。

やっぱり体力がなかったから特大ポーションを飲んでも効き目がなかったのだと思った。


「ヒール」

一点に集中させる。そうすることで効果は強くなる。

サトキチくんは驚いているみたい。

これくらいはなんてことない。


「あれは…!」

あのクズ野郎が悪魔を吸収している。

そして巨人になる。

「危ない!」

私は落ちている大剣を拾って走り出す。

今度は私がカズヤくんを助ける番だ。

炎がカズヤくんに降りかかろうとする。


あれは上級魔法でも対応出来るか分からない。かと言って私は多重詠唱は出来ない。

「一か八か…」

魔法陣は頭の中に浮かんでいる。少ししか見てないから再現できるかは分からない。

練習もしていない。


最上級魔法…原点に戻って魔法を放つ…

「ブリザード」

大量の魔力と引き換えに辺り一面凍った。

私はすかさずカズヤくんの元に駆け寄る。

「カズヤくん!」

「エクシア姉さん…?」

「やだ…死んじゃあダメ!」

ボロボロになったカズヤくんを抱え込む。傷だらけになっている。

みんなを守ろうと。

これで死んだら私…!


「サトキチ!早くポーションを!」

そう言ってポーションを飲ませる。

良かった。これでひとまず安心した。


クズ野郎が何か言っている。

あいつには殺意しかない。

絶対倒す。

自分の持てる全てを持って倒す。

カズヤくんを傷つけた代償はきちんと払ってもらうから。


サトキチはミコト達を回復しに行った。

「シャイニングランス!」

巨大な光の槍を作る。

さっきの仕返しとばかりに心臓に突き刺す。

そして上から下に大剣を振りかざす。


確実に効いている。

「奇門巡歩」

門が出現しそこからミコトが出てくる。

「殺意むき出しじゃぞエクシア」

「ミコト」

その後マナやカーシャ、レッドも来る。


そこからは早かった。

みんなカズヤくんに助けられたから今度は自分達が助けようと、

容赦なく魔法を放ち、剣を振る。


「ファイアバースト!」

「ファイアバレッド!」

トドメを刺すとマナと同時に魔法を放つ。そこにレッドの吹く炎も合わさり、巨人に襲いかかる。

抵抗も出来ずにあっさり塵となった。


「早くカズヤくんの所に…!」

「大丈夫だよエクシア。そう焦らないで」

とカーシャに引き止められる。

「カズヤが1番頑張った。多分英雄扱いされるのではないか?」

「レッドの言う通りじゃな。さすが主様じゃ」

カズヤくんが英雄扱いか…。やっと世間がカズヤくんを認めてくれると思うと嬉しくなる。


「これからはたくさん思い出を作ろう」

再開してから今まであまりにもバタバタしていた。これからはもっとカズヤくんをたくさん甘やかそう。

そう心に決めた。



《主人公の視点は次の章からにしようと思います!次は一旦キャラクター紹介を書きます。》

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