第63話悪魔の強さ

「エドワード、あなたはあいつらをお願いします」

「は!?俺もこいつらとやらせてよ!」

「ダメです。あなたでは敵いません。まぁその人達を早く倒したら来てもいいですよ?」

「ちっ。分かったよ」

「カイ」

ゴーンさんはカイさんに何かを言う。

その瞬間手裏剣のような物を投げつける。

「あ?そんな物で俺に刺さると思ってんのか、よ!」

「カイさん!」

でもエドワードはそれも想定済みのようで

直ぐに振り返る。

その時僕は分身か何かだったと分かった。

これならいけるのではないかと思った。が、


「まったく、情けない人ですね。エドワード」

と悪魔はカイさんにデコピンする。

すると、一気に岩崖の方まで吹っ飛ぶ。

この場にいる全員何をしたか分かっていなかった。


「仲間が一人減っちゃったなー?おっさん?」

「それでも戦うのみ!」

「カズヤくん。私もゴーンと共に戦ってきます。彼らだけでは恐らく無理でしょう。悪魔は気をつけてください。能力値では以前あなたのお父さんより上と言っていました」


お父さんより上…?

「でも、あいつは弱体化してるのではないんですか?」

「その可能性は大いにありますが、念の為伝えておきます」

とだけ言ってゴーンさん達の方へ行った。


「話は終わりましたか?」

「カズヤくん。必ず生きて帰ろう」

「うん」

「レッド。構えて」

「老いぼれの竜でも力にはなれるぞ?」

「魔法なら任せてください」


それから行動は早かった。

マナ姉さんはファイアバーストを放ち、僕とエクシア姉さん、ミコト姉さん3人でたたみかける。

「楽しもう。第二の勇者」

悪魔は三方向からの剣をひゅるりとかわす。

でも、まだある。


「レッド、このまま吹っ飛ばすよ!」

「おう!」

ドラゴンの爪と獣人族の打撃が悪魔に命中する。

「ぐはぁ」

そのまま悪魔は岩崖まで吹っ飛ぶ。


僕は隙を与えずそのまま岩崖に向かってストーンバレットを打つ。

これであいつが死ぬとは思えないからだ。

岩崖が一部崩れて落ちてくる。

「ツリーズ・クローズ」

カーシャ姉さんが木でそれを包み込む。


「シャドウステップ」

「え…!」

「マナ姉さん!」

「く…!」

「杖で受け止めるなんて。随分丈夫ですね」

僕は咄嗟にアイスウォールをマナ姉さんと悪魔の間に置く。

「シャイニングレイ!」

エクシア姉さんが光属性の上級魔法を打つ。

鋭い光線は悪魔に命中する。


「く…!」

「効いてる!」

「悪魔は闇魔法が得意。ならそれと正反対な光属性は相性が良い」

「雷属性はダメなの?」

「昔、対悪魔魔法として派生したのが光属性だ。だから雷では闇で簡単に消せてしまう」


「ちっ…!小賢しい人達ですね…!それなら、根本を叩くだけです」

エクシア姉さんの目の前に現れ、黒い光線が心臓貫く。

「エクシア姉さん!」

「あっ…」

「邪魔です」

悪魔はエクシア姉さんを蹴り飛ばす。

「所詮、光属性持ちは潰すだけです」

姉さんが…


「カズヤ!」

「あなたも私の脅威になるので今のうちに」

目の前に現れた悪魔に足がすくんだ。

「またあなたですか。私が魔剣を使ってでもできるのですね」

「カズヤは傷つけさせない」

ミコト姉さんが僕の前に立つ。

「ほう、それはそれは大切にされているようで。でも…邪魔です」

「ぐはぁ!」

「ミコト姉さん!」

ミコト姉さんの体に斬られた跡が残る。

そのまま悪魔は魔法で吹き飛ばす。


「カズヤ!一旦下がれ!」

「レッド、でも…姉さんが…」

「マナと一緒に一時的な手当てをしておけ!カーシャと我で時間を稼ぐ!」

今の僕では足でまといになると判断したのだろう。

「カズヤ、ミコト達の所に行くよ。ポーション」

と渡される。


マナ姉さんはどうしてそんなに冷静でいられるのか分からなかった。

仲間がやられてるのに。何とも思わないのかと思ってしまう。

でも、あの時何も出来なかった僕が一番悪い。


「ミコト姉さん…!」

大きな傷を負ったミコト姉さんを見て申し訳なくなる。

あの時、攻撃を受ける際でも僕のすばやさなら代わりに受け止めることだってできたはずだ。

「そんな泣きそうな顔をするでない。もう既に泣いておるか」

「ごめん。僕のせいで…!」

「1回身代わりになってくれたんじゃ。これくらいは当然じゃ」

「今すぐポーションを…」

とポーションを飲ませる。


でも傷は塞がらない。大きすぎるからだ。それに傷周りがやけどしている。

「え…?なんで?」

「魔剣のせいじゃな。闇属性を込めて攻撃してきたのじゃろう。大丈夫じゃ。わらわは動けないが、主様は動ける。」

ポンと肩を叩かれ、


「前を向け。くじくでない。希望を持て。そうすればきっとやつは勝てる」

「うん…!」

僕は涙を拭い

「僕行ってくる!」

「ああ、行ってこい」


僕はマナ姉さんの所に向かう。

「エクシア!起きて!」

「う…」

「マナ姉さん!エクシア姉さんは…?」

「ダメだ。ポーションを飲ませても効果が少ない。心臓を貫かれてるからか」

「そんな…」

「カズヤくん…?」

「エクシア姉さん!」

すると、笑顔で

「私は大丈夫。だから…」

「喋っちゃダメだよ!」

「とりあえず、出血を止めないと…」

「シャドウステップ」

突然マナ姉さんの影から悪魔が出てくる。

「どうしてここに!レッド達は…!」

「ああ、あの人達は倒れちゃいました。中々手応えありましたね」


レッド達が倒れた…?

「く…!どこまでも非道な真似をしますね…!」

とマナ姉さんが僕の前に立つ。

ダメだ姉さん、僕を守ったら姉さんが…


「はぁー。どうしてあなた達は彼を守りたがるのですか?私には理解できません」

「彼は私達の大切な人です。私達が命を代えてでも守らないといけない存在」

「そうですか。まぁ私の知った事では知りません」

どうしてそんなに僕を…

「カズヤ、あなたは私が守ります。昔、あなたが私達を救ってくれたように」

「うるさいエルフですね」

黒い刃がマナ姉さんを襲う。




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