第62話闇には闇で

僕達は北門に向かう。

「カズヤ、これ飲んで」

「ありがとう」

「ゴーン、あんたビビって無かった?」

「そ、そんなわけ…!」

「いや、あれは誰でもビビりますよ」

この中で1番ビビりそうなサトキチさんが言う。


「レッド、大丈夫か…?」

「カールさん、多分大丈夫だよ」

「そうならいいのだが…あいつは慈悲も無い。人を簡単に殺す。あの悪魔と契約を交わした者も殺すのに躊躇いはない」

「サトキチ、あんたは魔法何使えるの?」

とカーシャ姉さんが聞く。


「えっと…、水と木と空間の召喚魔法かな」

「召喚魔法は出さない方がいいかも」

「え?」

カーシャ姉さんが1番得意な召喚魔法を自分から使うなと言っている。

「闇魔法の上級には魔物を一時的に操るものもあります。敵を倒すには身内からが一番手っ取り早いですし」

「それなら、水と木しか使っちゃあダメなの?」

「まぁ、せいぜい死なないことだな」

「そんな〜」


でもカーシャ姉さんが召喚魔法を使えないとなるとだいぶ厳しくなるだろう。

「うん、どうした?そんな暗い顔するなって」

「いや、でも…」

「火と木はだいたい使えるから安心しろ。」

と頭を触ってくる。

「うん」


それから北門に行くとそこは惨劇の姿になっていた。

「ふはは!ここは安全だから安心して見られるわい!」

「そうですな!もうそろそろこの都市も我らの物ですぞ!」

僕のかつて父親であった、イースト家当主が戦場から一歩手前引いた場所から他の貴族たちと高みの見物をしていた。

戦場は騎士がばたばた倒れている。


「わらわが先仕掛けるぞ。エクシア、少しわらわは守れ」

「え?うん、分かった」

「では私達は助けに行きますよ」

「あの悪魔は…?」

「そんなもん見てれば分かるぞ」

とゴーンさんが言う。


マナ姉さんやカーシャ姉さんは、魔法で敵を倒していく。

「あ、ありがとうございます!助かりました!」

「まだ敵がいるから気をつけてください。共に頑張りましょう」

「は、はい…!」

騎士さん達が姉さんに惚れなければいいけど…と心配しつつ僕も頑張って敵を倒していく。


それにしてもミコト姉さんはまだ動かない。

飛んでくる矢とかをエクシア姉さんが魔法で撃ち落としている。

「エクシア、いいぞ。」

「分かった」

「あれは何をするつもり何だろう…?」

とサトキチさんが言う。

「こら、見てばかりだと足元すくわれるよ」

「ご、ごめんマーレ」


すると

「花曇流、疾風」

と一瞬でその場から消えた。

「え…?」

その時既に貴族達の所まで、敵を斬りわけて

いた。

一直線上にいた敵は全員倒れていた。


「おや、もう来てましたか」

「気づいておったのだろう?」

「ひぃ!」

「あなた花曇流ですか?」

「今はわらわが師範代じゃがな」

「ほう、面白い」

「お、おい!早く倒してくれ!」

「分かってますよ」


少し嫌な予感がした僕は走り出す。

「おい!どこに行く!」

ゴーンさんの答えには答えられず、僕はミコト姉さんの所に向かう。

短剣を取り出す。

剣と上手く使い分けて使えるからアイテムボックスがあることでだいぶ楽に戦える。


「でも、私の敵ではありません。なので死んでください」

「それは…無理じゃな!」

と一見、素早く移動した悪魔に対応はしている。

多分ここまではミコト姉さんだけでなくみんなさっきのを見れば分かるだろう。

だから


「そちらは偽物ですよ?」

「…!」

あいつは絶対予想を上回ってくると思ったから僕が走り出したのは正解だった。


シャドウバインドで姉さんの背後につき、剣を受け止める。

「やっぱりこれでないと。勇者」

「カズヤ!?」

「ここからだよ。悪魔さん」

「面白い」


闇魔法には闇魔法で対抗する。

カールさん達も僕らに追いつく。

「レッドは?」

「我ならここにいるぞ」

と竜人の姿になったレッドがいた。

「何で竜人になってるの?」

「こいつに空中戦では勝てないと思ってな。お主達が来るまで敵を少しづつ倒していた」

「いなくなったと思ったら、伝説のドラゴンが隠れていたなんて。情けないですねぇ」

「我にプライド高いことを要求してくるな」


「まぁ、いいでしょう。」

と何やら古代アイテムを取り出して

「全員に告げる。今宵、我ら革新軍が貴様らに勝利する姿を見届けよ。革新軍は我らの戦いに助太刀する必要は無い」

と拡声器のような物で全員が聞き入れる。


「エドワード、行きなさい」

「親父見ておけよ!ぜってぇーぶっ殺すから」

「カズヤの首を持ってこい」

「女達の首も持ってきてやるよ!」

「さぁ、始めましょう。ここからが本番です」


と不気味な笑みで言う。




《もう1話今日上げます》

読んでいただきありがとうございます。


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