第60話黒幕の登場

その後敵の動きが明らかに変わった。

「敵が北門に集まりだした…」

「騎士長」

「この間に民間人を移動させよう。馬車の手配はもう済ませてある」

さすがお偉いさん。ここまで準備万端にしてある。


僕たちは民間人の誘導と護衛に回った。

「お母さん大丈夫かな?」

「大丈夫よ。あなたは強い子だからこんな所で泣かないの」

「うん!僕泣かない!」

見ていると微笑ましく思う。

自分にもあんな時があったのだと。


「後はお願いします」

「了解しました」

カールさんが騎士に馬車を引き渡す。

僕達はまた本部に戻らないといけない。

「そちらの子供は乗せなくていいんですか?」

「え?僕?」

背が小さいからか勘違いされる。一応、戦ってるんだよな…


「大丈夫です。彼は私が保護します」

「あなたはZランクの…!了解しました。では」

「エクシア姉さん、危うく連れていかれそうだったよ。ありがとう」

「カズヤくんを守るのが私の役目だから」

「エクシア、本当カズヤくんのこと好きよね」

とマーレさんが言う。


「は、早く戻りましょう」

少し挙動不審になったけど気にしないでおく。

「そういえば僕がカールさんといる間、何してたの?」


「マナがポーションを作る所見ていたの」

「材料は全部アイテムボックスにあるのでどこでも作ることができますよ」

「私だけまずいやつ飲まされて…」

「カーシャ、あれは試作品だったので許してください」

「元から許してるよ」

そんな他愛の会話はこの時にしか出来なかったのだと後になって気づいた。


「おい!あれは何だ!?」

ゴーンさんが指を指した方向には

「町から火が…」

「まずい。もうあいつが来たのか」

「あいつってあの四天王?四天王かも分からないよ?」

「いやこの青い火はあいつだ。過去にもこのようなことがあった」

と苦虫を噛み潰したように言う。


「隊を送り込んだのではないんですか?」

「そんなので私はあいつを食い止められるとは思っていなかった。封印が解かれる可能性は低いと思ったから了承してしまった」

「我は先に町に行くぞ。お主達も急げ」

とドラゴンの姿になる。

「うん!分かった」


そう言うとレッドは街の方に飛び立って行った。

「カールさん。その悪魔は倒せないんですか?」

「正直な所、ここにいる人で互角だ。必ず1人は死ぬ。これは事実だ」

その場にいる誰もが喋らなくなった。

もしかしたら自分が死ぬかもしれない。

そう思ったら逃げ出したくなってしまう。


けど今の僕はここで逃げ出したりしない。

「姉さん達、僕行くよ。姉さん達の誰かでも支援に…」

もちろん全滅も有り得ると思う。

僕の力不足でみんなを巻き込みたくはないと思った。

「何を言っておる」

「いて」

ミコト姉さんに軽いゲンコツをされる。


「私達もついて行くに決まってるじゃん」

「カズヤくんは行くのに私だけ逃げたりしないよ」

「魔法は任せてください」

「そういうことらしいよ。ゴーン。」

「うーん」

パーティーを背負ってる身なら正解のない問題も対応しないといけない。

ゴーンさんもその一人だ。


「っしゃ!やるしかねぇ!弟が行くのに行かないやつがいるか!」

「マジすか!?」

「サトキチ、あんたもよ」

「…」こくり

「そんな〜!分かりました…。もうこうなったらやりますよ!」

「ふふ、カズヤくんは本当そっくりだ」


僕達は急いで街に向かうのだった。

これから起こることも知らずに。



《やっとカズヤも大人になってきたかな…?》

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