第56話戦場は僕らを待たないようで

「結構やるんだぜ、こいつは」

「わらわのいない所でそんなことがあったのか?」

「まぁちょっとね」

馬車も詰め終わり、いよいよ出発する。

「ここで改めて目的について話しておきたい」

馬車の中では今後の動きについて会議する。


「まず、第一は革新連合軍が攻めようとしている、サバントの防衛だ」

「今の敵の状況は?」

「最新だと、軍1500名のうちそれぞれ四方に均等になるよう配備したらしいがそのうち、北と東側が突破されそうな状況にあるらしい。それ以外詳しく分からない。敵は当初の人数から増えているみたいだ」


「私達はどうするの?四方の門で交戦しているなら中に入れないよ?」

とエクシア姉さんが聞く。

「私達は北の門で交戦している敵の間を何とか道を作って馬車で駆け抜け、その後我々も中に入る」

「それはちょっと厳しくないですか?」

とサトキチさんが言う。


「そうじゃないと、今夜の寝泊まりが敵の近くになってしまう」

「それは嫌ね。絶対奇襲かけてくるだろうし」

「俺はいけるぞ!どこからでもかかってこい!」

賑やかな人たちだ。


「そして戦略なんだが…敵は多いから囲まれる可能性が高い」

と洋紙にペンで丸を描く。

「外側に剣、斧などで戦う前衛、内側に魔法使いである後衛を置く。それで徐々に門の方に向かっていく作戦だ」

「でも、それだともし範囲攻撃の魔法を使われたみんな受けちゃうよ?」

「あくまでこれは理想に過ぎない。でも範囲魔法を使えるのは敵の中でも少数だろう。が、再現はほぼ不可能だと思う。そこで無理だと判断したら”自由な紀行団”は私と固まり、エクシア達はその4人で固まりながら敵を殲滅していくことになる」

「我は?」

「レッドは最初からドラゴンになって空から攻撃してくれ。昔もそうだっただろ?」

「昔から我の扱いは変わらないな」


「馬車は誰が引くの?矢に刺さったらまずいし、遠いところから一気に中に入らないといけなくない?」

「私がウッドナイトを作って指示する」

「木属性は使い道が多いな」

上級魔法。木で生成された言うことを聞く人形らしい。結構すごいよねそれ。


数時間、中継地点で休憩を取る。

仮眠する人もいれば、道具の点検をしている人もいる。僕は仮眠をとった。

「見えてきたぞ」

「だいぶやり合ってそうだね。遠くからでも分かるよ」

「うう〜僕、緊張してきたよ」

「大丈夫ですよサトキチさん!みんなで支え合えばきっと上手くいきますから!」

「ありがとうカズヤくん。そうだね、みんな頑張ろう!」

「そうだ!それでこそ俺の弟だ!」

「弟って…」

ちょっと嬉しいから否定はしないでおこう。


「全員、構え!突撃!」

「何だ!?あれは!?」

「10人くらいとドラゴン!?」

レッドが先行して火を吹く。

それで20人くらいは倒している。

「あれは我々の味方か!?」

「もしかしてあれって、さっき情報が来た冒険者の最強パーティーなんじゃないか!?」


「全員、円になるように陣形を…」

横から大きいな音ともに火が燃え上がる。

「範囲魔法か…」

「カールさん!もう最初から二手に別れた方がいいかもしれません!」

「分かった。カズヤくんそっちは任せたよ」

「了解です!」

どうやら戦場は僕達を待ってはくれない見たい。



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