第48話2人で話そう
その後僕達はレッドさんが作ってくれた晩御飯を食べた。
「それでな…魔王が…」
「意外と良い人だったんだね」
「まぁな」
「もしかしたら転生しておるかもな」
「ちょっとミコト〜当たってたら怖いよ〜」
「それよりも四天王の1番上が我とタクヤが1番苦戦したのではないか?」
「ああ、魔王を操っていた元凶でもある」
「魔王を操るのですか?」
「まだ未熟だったのだろう。そいつが何もかも進言するから人間達を襲わせたんだ」
「へぇー、その人はお父さんが倒したのですか?」
「いや、封印した」
「我らでは倒せないと思ってな。もう1人の仲間が頑張って封印した」
本に少しは書かれていたけど実際の物語は全て上手くいってはいないのだと感じた。
「あいつは元気にしてるかな…」
「エルフは気ままに人生を過ごす。あいつはそう簡単にへばってはおらん。どこかで活躍してるかもしれないし静かに暮らしておるかもしれん」
「もう1人のお仲間はエルフだったのですか?」
「ああ、そいつも最後には最上級魔法が使えていた。魔導書を持ってる1人でもある。」
「マナと同じで賢者だったな」
「そうだ!」
とお父さんが急に僕の方を見る。
「後でゆっくり話そう2人で」
「?、うん分かった」
美味しいご飯も食べ終わり
「我は寝る。部屋はさっき言った通りな」
「じゃあカズヤちょっとお父さんの部屋に来い」
「うん。エクシア姉さん先寝てて」
「うん。後でね」
少しお父さんの部屋まで歩く。
ここはアリの巣みたいな感じになっている。
部屋と部屋の間に長い通路がある。
迷子になりそうだ。
「それでお前はあの4人の中で誰が好きなんだ?」
「え!?きゅ、急になんでそんなこと…」
「やっぱりエクシアか?それともミコトか?マナもありそうだな…。裏を読んでカーシャも…」
「まだ分からないよ」
誰か1人に絞れと言われたら無理だと思う。
「この世界は基本一夫多妻制だからな。1人に絞る必要はない。」
「そうなの?」
「国によっては一夫一妻なところもあるがこの国は一夫多妻だ。だからお前がこの先ずっと好きで何よりも大切にできるなら俺はありだと思う」
まぁまだ早いかとお父さんは頭を撫でる。
「まだ流石にキスとかはしてないよな…?」
「え!?」
「まさかしたのか…?」
僕は慌てて顔を逸らす。
「まぁあっちで言ったら高校生だ。それで誰とだ?このこの〜」
全員なんて言えるわけない。
半ばされたというのが正しいけど。
「その反応は全員か…?」
「!」
「マジか。俺の息子女たらしなのか」
「女たらしじゃないよ!」
「これ以上は聞かないでおく」
少し弁明したいが諦めた。
「あの人らについて少し言っておくことがある」
「姉さん達について?」
「ああ。あの人達はお前のことは一生かけて大事にするだろう。」
「そこまで…」
「言動を聞けば分かる。大切な弟のように接している。夫になるかもしれんがな」
とニヤニヤしている。
「だからこそだ。あの人達は他の人、特に悪い人は許さないだろう」
「悪い人は別に…」
「お前のためなら殺しも厭わないということだ。意味は分かるか?」
お父さんの言っている意味が少しずつ分かってきた。
「俺がここに来てから、殺しをしていない人にはチャンスを与えていた。それで改心した人も見てきた」
「姉さん達、イースト家は徹底的にやりそうだからなぁ…」
「俺も許せない部分はある。が、チャンスを与えた方がいい。あの人らみたいな地位が高い人の境遇はお前が味わってきたものと違う」
その言葉は少し僕の心に刺さった。
「でも今のお前にはなくてはならない存在だと思う」
「だからそれに見合う男になれってこと?」
「そこまでは言わない。けどもし嫁にするなら貴族とかいう真っ黒いやつらと相対することになる」
「貴族はエルフの人だけでしょ?」
「いや?あいつだけじゃないかもしれないぞ?」
とお父さんは言う。
この人絶対何か知ってるよ。
貴族の人なんて他にいたかな…?
「まぁ困ったら俺の名前を使え。特にエルフの老いてる人はだいたい俺と面識がある」
「でも嘘だと思われるよ」
勇者の息子ですなんて4歳児も言わない。
「はい」
と剣を渡される。
「え?」
「だからお前にやるんだよ」
あの引っこ抜いた時に使ったやつ?お父さんが愛用しているやつ?
「ダメだよ!これはお父さんのものだよ」
「使え。俺の形見だと思って」
と押し付けられる。
「その剣は魔剣だ」
魔剣?
「魔法を込めて戦える。多分古代のやつだから今の世界にはないだろう。魔力の高いお前なら使える」
それものすごく貴重なものでは?
「まぁ一般人は魔剣を見ても分からないからいいとして地位を持つ人に見せるのはある程度選べ」
「勇者だと囃し立てられるってこと?」
僕は快適な異世界ライフをしたいから勇者なんてやりたくないよ…
「ああ、まぁ国王とか信頼できる人とかにしときな」
「分かった」
「後、これとこれとあれと…」
何か色んなものを使った。
「よし!これで俺は身軽だな!」
「僕が重くなったよ…」
魔導書とか瞬間移動できる玉とか古代のアイテムをもらった。
覚えたての中級魔法アイテムボックスに入れる。
お父さんが僕の両手を握る。
「カズヤ、お前は俺の誇りだ。もし辛いことがあったら1人で抱え込むな。お前は絶対するから、誰かに相談しろ。1人でもいい、味方を作れ。そうしたら楽になる。あの人達は俺からも頼んでおく。そばにいれてやれなくてごめん…!」
「お父さん…!」
僕はお父さんの顔が涙のせいであまり見えない。お父さんも多分一緒だ。
「まだ早いな。明日も朝まではいてやるから「姉さん」と安心して寝てなさい」
「ちょっとからかわないでよ〜」
2人で笑ったこの時を僕は一生忘れない。
「お休み、お父さん」
「ああ、お休み。最後に俺と寝るか?」
「流石に寝ないよ〜。お父さん寝相悪いもん」
あのベッドに男二人はきつい。
僕はこんなことで後悔はしないと思う。
「そうだな。それじゃあお休みカズヤ」
「お休み、お父さん」
僕はすぐに姉さん達の部屋に行く。
お父さんに涙を見られないために。
明日までお父さんの前では泣かない。
《ちょっと長くなりました。次で一幕が終わりでその後、視点別があります》
読んでいただきありがとうございました。
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