第44話最上級魔法

「おっと、仲間が退場した瞬間を狙うのは卑怯じゃないか?」

「ちっ!」

「獣人族で召喚魔法を使える人はあまり見てこなかった。それに打撃も優れているから困る。久々に体術もやってみるか」


お父さんがまだ生きていた頃、空手で黒帯を持っていたとお母さんが言っていた。

僕も少しはできる。でも、カーシャ姉さんの体術はそんなのと比べ物にならない。


「さすがに無理なんじゃあ…」

「あいつなら打撃も得意だから」

とレッドさんは笑っている。


「ワオーン!」

「フェンリルちゃんはいい子にしてて」

とお父さんはフェンリルの攻撃を避け、蹴り飛ばす。


僕は目を疑った。

「あんなの…」

「手先に魔力をこめてるみたいじゃのう」

「私もあそこまで緻密なコントロールはできないわ」


「は!」

「お、中々いい筋してるよ」

「人の事バカにして…!」

「バカにはしてないんだ。そう思わせたのなら申し訳ない」


「全く…拳を合わせてる最中に謝るとはあいつらしいな…」


カーシャ姉さんは身体能力が高い。

だから空中で回転蹴りなんかも出来ちゃう。

やっぱりすごいや…

お父さんも負けていない。


僕も素早いのは得意だからああいうのもできるかな…

けど筋力ないからな〜少し微妙。


「ミコト、エクシア、少しカズヤを任せていいか?」

「いいけど、何で?」

「フェンリルを回収してくる」

そう言ってレッドさんはフェンリルのところへ向かった。


「お前はよく頑張った。だがこれではもう戦えん。戻るぞ」

「くおーん」

「大丈夫だ。あいつもやりすぎはしないから安心しろ」


「そろそろ終わりにしないとな」

「くっ!」

カーシャ姉さんの回転蹴りがお父さんに当たらなかった。

「どこに…!」

「後ろ空いてるよ」

お父さんは魔法でカーシャ姉さんを吹き飛ばした。


「レッド、ついでにあの人の回収もよろしく」

「人使いが荒いやつめ」

「さて、もう準備はできたかい?」

「私は簡単に負けませんよ?」

「さすがエルフ族、魔力が高い。しかも質も一流。ちょっとヤバいかもね」


「カーシャが稼いでくれた時間は無駄にしません!」


「あれって…」

「火属性の上級魔法、バーストインフェルノだね。最も覚えるのが難しいっていわれてるものだけど…」

「一発で勝負ってことじゃな?面白い」


「これはすごい。やっぱりいつの時代にも最強はこのくらいのことはやってくれる。でも…相性は考えないと」

とお父さんは巨大なウォーターボールを作る。


「最上級魔法、アクアフラッド」

アクアフラッドなんて聞いたことがない。

ウォーターボールと形は同じなのに、大きさが段違いすぎる。


両者から魔法が放たれる。


「水と火どっちが勝つかな?」

火の灯火は水に飲み込まれ、空気中で爆発した。

水が雨みたいに僕達に降りかかる。


「じゃあそろそろ…!」

「盲点でしたね」

「第二の魔法…?それにフライトバードがまだいたか」


フライトバードが無数の鋭い羽でお父さんに攻撃してる隙に

「フライトバード離れて!フリーズ!」


「これはいったんじゃあ…」

気づけば僕はマナ姉さんのドキドキさせるような戦い方に見入っていた。


「最上級魔法、ブリザード」


辺り一面が凍った…?

気温も北極ぐらいだ。

フライトバードも寒いからか落ちてしまい動けずにいる。


「同じ魔法の属性だったら打ち消し合うんじゃあ…」

「もうこれ以上時間かけたくないから、威力で君の魔法をねじ伏せた」

何その暴論。


お父さんは魔法を解除し、

「終わり終わり、早く洞窟に戻ろう。マナだっけ?治療手伝ってくれるかい?」

とニコリ笑ってマナ姉さんの方を見る。


お父さん…何でこんなに強いの…?










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