第40話え…?何でここに…?

「さぁもうそろそろ着くぞ」

レッドさんと長い洞窟を歩き、出口には…

「ここは森…?」

「カズヤ達が最初訪れた森からここまで続いておる。」

そこまで大きいとは思わなかった。


「でも、ここだけは切り開けていますね」

「邪魔な木は我が根っこごと引っこ抜いた」

「根っこごと!?」

さすが竜人族。パワーがおかしいくらいある。


「あれが勇者の墓なのか?」

「ああ」

ミコト姉さんが指さしたものは、墓石の上に剣が地面に刺さっているものだった。

「もしかしてあれ伝説の剣だったりする?」

と冗談交じりでカーシャ姉さんが言う。


「勇者が使っていたものだから伝説の剣ではないか?」

マジか。本当にそんな伝説の剣なんてあるんだ。地面に刺さっていて抜けないていうまでがお決まりだけどさすがにそこまでは…


「地面に刺さっている剣は我でも抜けん」

「え!?」

お決まりでした。


僕達はすみれの花とレッドさんが持っていたお酒をお供えする。

「これしかお前の口に合うやつがなかったんだよな…」

切なそうに言うレッドさんに感情移入してしまいそうになる。


僕は目を閉じ手を合わせる。

前世でも良くお父さんのお墓の前でお母さんとやってたな〜。そういえばお母さんは元気にしているかな?父さんが僕が小さい頃に死んでから女手一つで育ててくれたお母さんには申し訳ない。


「カズヤくん…?」

勝手にいなくなってごめん…。もう会えることが出来ないと改めて思うと涙が出てきてしまう。

もうここに来て15年、あっという間だった。ここまでお母さんのことを考えたことはなかった。考えないようにしてた。辛いだけだから。


「勇者様、お母さんが元気でいますように」

勇者をお願いするなんておかしいことだけど、少し気持ちが楽になれた。


「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫、ちょっとお母さんとお墓参りに来た時のことを思い出して…お母さん元気かなって…」


「おい、。カズヤのお母さんは元気にしてるか見守れよ。我からの命令だ」

「勇者に命令なんてレッド何言ってるんだよ〜」

とカーシャ姉さんはゲラゲラ笑う。

いつもカーシャ姉さんは明るくてこっちまで明るくいられる。


「勇者の名前っていうの?」

エクシア姉さんが聞く。

「ああ、だ」



「は?」



え…?まさかそんなはずない。

シラトリタクヤ…?

同性同名なだけだよね。この世界でも同じような名前の人いるんだ…


そして不意に僕は墓石に刻まれている文字を見る。


タクヤ・シラトリ

白鳥拓也


「お父さん…?」

「お父さん?カズヤどうかしたか?」

漢字なんてじゃないと書けないはず、本にも漢字なんてなかった。

基本カタカナだったから…書いたのは…


みんなが困惑してる中僕はレッドさんに聞く。

「レッドさん。この文字は読めないですよね?」

「なんかの暗号だと思ってるのだが中々解読出来んくてな。こいつも教えてくれなかったんだよ。それがどうかしたか?」

「これ僕のお父さんが刻んだと思います」

「うん!?」

「じゃあ勇者がカズヤのお父さん!?」

「ど、どういうこと!?」


間違いない、白鳥拓也は僕のお父さんだ。

そしてお父さんはこの世界で勇者をやっていた。

この墓石に刻まれた名前がそれを証明している。





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