第36話勇者の村

「馬車なんて久しぶりですね」

「大丈夫?座りにくくない?」

「何でですか?」

「だって僕姉さんの上に座ってるんだよ?」

15歳の少年が1人で座ってないなんて恥ずかしいよ…


「やっぱり僕…」

抜け出そうとするけどマナ姉さんに捕まる。

「ダメですよ。馬車の中で立ち歩いちゃ」

「だって僕もうあの頃みたいに軽くないよ?」

「大丈夫です」

「カズヤは昔と何も変わってないよ。身長もあんまり伸びてないし」

「わらわから見たら体重もあんまり変わってなさそうじゃぞ?」


そう言われると確かにそうかも身長も2、3cmしか伸びてないし、体重も変わってないような気がしてきた。


「カズヤくんは昔と変わらないままだよ?」

「そう…なんだ」

それでも恥ずかしさから抜け出したくなるがマナ姉さんにはかなわなかった。


馬車での3日間は色々なことを話した。

マナ姉さんの国が上手くいっていることやあの地獄の10日間の間に行った深淵層の話とか。


「そういえば姉さんのなかで誰が1番強いの?」

純粋な疑問を聞いてみたところ、その瞬間空気が変わった。


「それは私ですよカズヤ。魔法で大体の敵は倒せますから」

「わらわの妖術と刀でどれだけ敵が来ても1人で対処できるぞ?」

「それを言ったら私だって剣と魔法で誰でもすぐに倒せる」

「私は魔物を多く従えば世界最強になるよ」


そこから少し言い争いが起きたけど

僕が

「みんな強いってことでいいんじゃないかな?」

と言うと事態は収まった。

危ない。次から1番を決めるなんてことをするのはやめよう。


村に着くと村長が出迎えてくれた。

「冒険者の方々ですか?」

「はい!」

「そうでしたか。どうぞこちらへ。都市からわざわざありがとうございます」

と案内してくれた。


お花が多く咲いていて、見た事があるものや無いものもある。


「あれはすみれですか?」

「知っておられるのですか?」

「私は見た事ないぞあんな花」

カーシャ姉さんがそう言う。

僕も見るのは久しぶりだ。


「とおい昔お母さんが好きだったものなんです」

「そうでしたか。すみれはあの勇者も好きと言われているものです」


とおい昔と言うのは前世のことだ。姉さん達も、とおい昔と聞いて少し理解してくれた思う。


村長の家で話を聞くことにした。


「問題のドラゴンなんですが、いつ頃からこの村に被害を及ぼすようになったのですか?」

「2週間前くらいですかな。最初は作物が荒らされるだけなので我々も魔物かと思ったのですが、夜中にドラゴンを見たという人が何人もいてそこでドラゴンの仕業だと分かりました。その後は作物を荒らすだけでなく家屋を吹き飛ばされたり、あまつさえわしの孫娘が連れ去られて…」


「必ず娘さんは助け出します」

そう言うエクシア姉さんはかっこよく見えた。


「あれは何をやっておるのじゃ?」

窓から見ると村の人がお花畑の中心にある大きな木の元へすみれの花を持って行っている。


「あれはわしの息子です。すみれの花を勇気の大樹にお供えしているみたいですな。」

「勇気の大樹…?というのは何ですか?」

「勇気の大樹の前に、この村は300年前勇者が来たとされています。何でも1年近くこの先の山奥で修行をしていたのだとか。その山奥は神域と言われていて我々は入ることが許されておりません」

「許されていないじゃと?勇者がそんなこと勝手に決めて良いのか?」


「良いのです。その時我々の先祖は魔王軍に攻められ全滅も有り得たのに勇者が1人で魔王軍を追い払ったのです。ですから、我々は勇者を崇め、勇者が良くあの木の下で休憩していたので勇気の大樹とわしの先祖は名付けました」


「勇気の大樹にすみれをお供えしているのは何でですか?」

「それは勇者に想い人がいたらしいのです」

「「「「想い人?」」」」



《毎日投稿したいですね…時間がないですね…頑張ります!明日は投稿できるのでお楽しみに!》

読んでいただきありがとうございます。星☆や応援コメントが励みになるのでお願いしますm(_ _)m


本で読んだことのないエピソードに僕と特に姉さん達は興味津々だった。




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