第29話過去の精算

「何で僕を置いていったの?普通に考えればあの家に僕を置いていこうと考えないよね…?」

「それは…」

「あの人達からの僕の扱いを知っていたよね?家族として見てくれない、話してくれない。姉さん達しか頼れる人なんていなかったのに…」

「私達の考えが甘かった」


「ねぇ…教えてよ。姉さん達にとって僕は都合のいい人?利用するだけしてまた捨てるの?」

「そんなことない!」

姉さん達がそう言う。

「だってそうしてるからカーシャ姉さんとマナ姉さんは僕に会いに来てくれなかったんじゃないの?」


すると、マナ姉さんが

「私はいつもカズヤのことを考えてた。でも、王国の第三王女の責務があって会いに行けなかった。カズヤが教えてくれたことを取り入れてみたら豊かになっていって嬉しかった。」

と話してくれた。


聞けばカーシャ姉さんも竜騎士として戦っていたと言われた。ドラゴンをテイムしたらしい。

「どこかで顔を出すべきだったけど出来なかったんだ。ごめんなさい」



「あの時は私がカズヤの気持ちを考慮しなかったのがいけませんでした。自立なんてとっくにできていたのに成長が止まるんじゃないかと考えてしまって…」

「でもカズヤくんを今でもずっと大切に思っているのは本当だよ」

「4人ともその気持ちは変わらない」


僕はやっと心のモヤモヤが取れた気がした。

僕はこの言葉を待っていたのかもしれない。


「僕、家にいる間寂しかった、辛かった。」

「もう大丈夫ですよ」

マナ姉さんに抱きしめられる。

「今は気持ちを全部ぶつけちゃってください。」

この人も沢山苦労してきたと思うけど

「姉さんのバカ、大バカだよ」

今までのことをぶつけるかのように言った。


それから姉さん達とは今までの事を話した。

僕が多重詠唱を使えるようになったとウォーターボールを3つ出して遊んでいたら戻ってきたカールさんに

「まだ魔力が回復していないのに使ってはいけません!」

と怒られた。


「す、すみません…」

「カズヤが怒られてる!勝手なことするからだよ〜」

「それはカーシャ姉さんが…」

「私、そんなこと一言も言ってないけど?」

としらばっくれた。


「わらわも止めたんじゃが…」

「カズヤくん?どういうつもりだったのかな?」

意地悪なミコト姉さんに嵌められた。


でも悪いことをしたのは事実だから何も言えずにただ

「すみませんでした!」

としか言えなかった。


夜は僕が教会から出された料理を食べていると帰ったと思った姉さん達が

「買ってきたから一緒に食べよう?」

と久しぶりに5人揃って食べた。


「あー!それは私の!」

「カーシャのはそっちです。」

「ねぇ、マナ姉さん」

「はい、何でしょう?」

「昔よりだいぶ雰囲気変わったけど…」

「あーそれはじゃな、王女をやってたというのもあるらしいが…」

「ダメダメ!それ以上はダメ」

理由は気になるけど、後でこっそり聞いてみよっかな。


久しぶりに楽しい晩御飯を食べたあとは…

「ダメです!カズヤくんは私と寝るのでミコト達は先に戻っててください」

「主様はわらわと添い寝すると既に決まっておる」

「姉さん達…ここは教会だから泊まることは出来ないよ?」

「無理でもカズヤくんと一緒の布団に入れば大丈夫だから、ね?」


結局、今日はエクシア姉さんが泊まって、それからはじゃんけんで勝った人が泊まる権利を得るらしい。


翌朝シスターさんに怒られました。



《次回はマナの視点別を書いて次の章にいきたいと思います!》



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