第27話すれ違いの理由

「僕は前世、どういう人だったか覚えています」

「…!そうだったんだ。つまり転生者という捉え方もできるってことだね」

「転生という言葉を知ってるんですか?」


「過去に出会ったことがあるんだ。遠い昔の話、私がまだ容姿で言えば君くらいの時だよ」

「そうなんですか。」

「ごめんね、話が逸れてしまった。」

「大丈夫です。それで僕は前世では恵まれている方でした。文明も進んでいて、幸せな方だと思います。でも…」

「でも?」

「前世の僕は中途半端な人でした。勉学も何もかも。だからこの世界では一応貴族の地位にいたので一生懸命頑張ろうと思いました」

カールさんは静かに聞いてくれていた。


「けど…姉さん達が家を出てった時、急に

1人取り残されたみたいな感じになって、僕…捨てられちゃったのかなって…」

僕はつい泣き出してしまった。

「辛かったよね。君は良く頑張った。すごいことだと思う」

と背中をさすってくれた。


やっと誰かに自分の思いを打ち明けられたと思う。

「だから…姉さん達に会えなかった2年間、家族に無視されてても必死に努力したのに…今でも足でまといのままで…しかも今みたいに迷惑までかけてしまって…」

その瞬間カールさんに抱きしめられた。


「よしよし。今は沢山泣いていいよ。君は悪くない。私が保証する。」

嗚咽を漏らしながら長い間泣いていた。


「少し収まったかい?」

「すみません、見苦しい所を見せてしまって」

「いやいやそんなことない。それに聞いた限り相当苦労してきたみたいだね」

「自分に出来ることを精一杯やってただけです。それに姉さん達はもっとすごくなってて姉さん達も相当苦労していたと思います。だから…」


「だから、何で捨てたんだって聞きずらかったんだ」

この人はエスパーなんじゃないかと思い始めた。

「1度聞いてみたことはあったんです。その時は僕が自立するとか何とかって言われて…」

「なるほど…。まぁ精神年齢は前世分のはあるけど体はまだ子供だからね」

「その、前世のことはまだ姉さんたちに話してません」


「え!?本当に?」

「本当です」

カールさんは少し考えて


「多分それを言ってないから、すれ違いが起きちゃったんじゃないかな? 」

「…!」

そっか。僕はまだ子供だったから…でも、


「でもそれならあの家に僕を置いていくって…」

「そこはエクシア達の未熟さが出たね。ただこのままだとカズヤくんはエクシア達に頼り切りになると思ったんじゃない?」


僕は何も言えなかった。確かにそうだけど、

それでもあの家に置いていって欲しくはなかった。


「カズヤくんにとってエクシア達はどう見えてるんだい?」

「すごい強くてかっこよくて…」

「確かに強さは世界の中でも指折りの人達だとは思う。でも強さとか関係なしに純粋にエクシア達と話してみたらどうかな?


前世のことを言って、その時の自分の気持ちをしっかり伝えるべきだと思う。」


カールさんはそう言って急に立ち上がってドアを開けて

「え?」

「「「「あ」」」」

「何をしてるんですか君達?私は大人しく部屋で待ってなさいとお伝えしたはずですが?」


そこにはエクシア姉さんとミコト姉さんだけでなく、カーシャ姉さんやマナ姉さんまでいた。



《急ですがついに姉さん達全員集合しました(*^^*)》

追記:冒険者というより今回の章は仲直りがメインな感じがしてきたので勝手ではありますが見出しを変えさせてもらいます

m(*_ _)m




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