第25話【視点別】過去の過ち


「カズヤくん!」

私は戦闘中のカズヤくんを呼び止める。

「この!」

だけど私のせいでリーダーの男は隙だらけのカズヤくんに攻撃しようとする。

「ぐはぁ!」

それでも素早く男の背後からファイアーボールをぶつける。

近距離であの威力のファイアーボールを食らったらもう息はしていないだろう。


「どうしたの姉さん?僕は今ものすごくいい気分なんだ」

「ごめん…」

私は頭を下げて謝る。

「今までカズヤくんの気持ちも考えずに勝手なことばかりしてごめん。」


「そうだよ…」

カズヤくんは泣きながら声を震わせて言う。

「異世界なんかに転生させられて、努力すれば強くなれると思ったのに、限界があってそれに対して姉さん達はどんどん強くなっていく。」

不可解な言葉も聞こえたけど言っていることは本心なんだと思う。


「姉さん達さ…僕のこといつも下に見てるでしょ?」

「そんなこと」

「そんなことあるよ!僕は対等に見て欲しかった。僕が助けた時から姉さん達は僕を都合のいいように使ったんでしょ?だから僕を捨てたと思ったら今度は絶対的な忠誠を誓うとか言って利用するんでしょ?」


と言って咳き込む。口から血が出ているのが見えた。すかさず私はカズヤくんに近づこうとするが制止させられる。


「マナ姉さんもカーシャ姉さんも僕のことなんてどうでもいいからここに来ないんでしょ?そしてエクシア姉さんもミコト姉さんも元貴族を返り咲かせてそれなりの地位が欲しいから僕を利用してるんでしょ?悪いけど僕にはチートもないから成り上がるとかは無理だよ」

「違う!そんなことのためにカズヤくんと一緒にいるんじゃない!カズヤくんと一緒にいたいからいるの!」


マナもカーシャも連絡が着いていないだけで2人とも心の底からカズヤくんに会いたがっていた。

「僕ってこんなにひねくれている奴なんだよ?どう見損なった?だからもう関わらないでよ…これ以上…僕に優しくさせて勘違いさせないでよ…」


「勘違いなんかじゃない。本当に心の底から1人の男性、もちろん家族としてもカズヤくんが好き。勘違いなんかじゃないように何回でも私は言うよ。」


苦しんでいるカズヤくんを私は助けようとしたらその瞬間、姿が見えなくなった。

「エクシア、後ろ!」

私は咄嗟に反応する。

力が強い。これが身体強化…

「…」

無言で何も喋ってくれない。でも涙は流している。


私は光魔法フラッシュを使う。広範囲に強力な光を発する魔法。カズヤくんが目をくらました隙に私は勢いよく、カズヤくんの剣をはらいのける。


そして強く抱きしめて言う。

「ごめんなさい。少し考えれば分かる事だったよね。なのにミコトと2人だけであれこれやっちゃってた。でも君は私達にとって大切な人だから過保護したくなっちゃうんだ。


それでも君の気持ちを考えなかった場面はいくつもあると思う。それに関しては本当にごめんなさい」


カズヤくんは少し暴れていたけどミコトの妖術眠ってしまった。

「よしよし、少し寝よう。いい夢見てね」

私はそう願った。




《鬱展開はもうないです!後は幸せしかありません(´˘`*)》

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