第18話【視点別】辺境伯の企み/ミコト、迷う

「なんだと!?やられた!?」

「申し訳ありません」

有り得ない。冒険者で言うとAB辺りだぞ。いくらZランクでも4、5人の相手は負傷しながらだと絶対負けると思ったのに。


「当初の予定が狂い、魔法がカズヤに直撃しました」

「何をやっている!」

「申し訳ありません」

魔法を打つのが余程下手なのか。人選をミスったと悔やんでいる時、


「後、辺境伯様に伝言を」

「なに?伝言?」

伝言を預かるような人物はいないはずだ。

「花曇流師範代、花曇美琴が辺境伯様の首を斬る…と」

「花曇流だと…!」

あの女狐、只者では無いと思っていたが…

なぜ東洋の国で恐れられてるやつがこんなに近くにいたのに気づけなかったのか。失踪しているとは聞いた事があったが…


「何でこんなことに!くそ!」

私は花瓶を放り投げる。

「しっかりあいつらと会わないように適性検査も1ヶ月も早く行なった!適性なしにして追放する理由も作った!」

「あの人達と会わせないために」

「そうだ!野垂れ死にか適当な仕事でもして二度とあいつらに会わせないように仕組んだ!なのに…くそ!」

イライラが治まらない。


「まぁいい。あいつが生きていようと花曇流師範代やZランクがいようと関係ない。計画は遅らせることなく進めろ。王都にいる伯爵や騎爵にも伝えろ」

「承知しました」


「お父様」

「エドワード」

長男のエドワードが来た。彼ももう立派な大人だ。

「カズヤは正直邪魔者でしかありませんでした。そこに邪魔者が4人も増えて私も下手に手出しをすることができませんでした。」

「そうだな」

「でも、今の私ならあいつらを問題なく倒せるでしょう。」

確かにエドワードは剣と魔法の才能がすごく、騎士団長も狙える程だ。これから国は私が支配するからエドワードは騎士団長でもやらせよう。


「お前はカズヤのどこが嫌いだった?」

「貴族らしくなく、努力すれば何とかなると思う下劣なところ…ですかね。

あいつがあの4人の仲が引き裂かれるところを見てみたいですね」


「今のお前ならあのZランクにも勝てるのではないか?」

「互角に渡り合える自信はあります」

「そうか」

息子の成長が見れるのが楽しみだ。


~~~~~~~~~


「ミコト、そんなにくっつくな。一応負傷者だったんだから」

「良いではないか。はぁ、主様の頬っぺ柔らかい〜」

わらわは眠っている主様に抱きつく。

こんなに可愛らしいやつは見たことがない。

愛おしすぎる 。それにです、ます口調は疲れるから今は思う存分愛を伝えられる。


「そんなことしてたらカズヤくん起きちゃうよ」

「いっそお目覚めのキスでもしてやろうかのう?」

「だ、ダメに決まってるじゃない!」

「お主は主様と一緒で初心やのう」

「ち、違うし!」

「う…ん」

「エクシアが大きな声を出すから。起きそうではないか」


「ミコト…?」

しまった。口調そのままだった。

主様はわらわの方に寝転ぶ。

「ミコトそんな口調だったっけ?」

主様の目はぱっちり開いている。 目覚めがいいことが裏目に出た。


「主様の聞き間違いではないですかー?」

「実はちょっと前から意識はあったんだ」

「「え?」」

エクシアとの対話を聞かれていた?

「…!」

わらわは主様の反対を向く。

「ミコトー?そろそろ素の自分を見せたら?」

「う、うるさい!エクシアの秘密もバラすぞ!」

「それは違うでしょ!」


バラすつもりはない。このことは時期になったら自分で言うと聞いておる。


でも、どうしたものか。この口調の方が楽だが人間族に好まれる喋り方ではない。

相手に威圧感を与えてしまうから商売でも使わなかった。


「僕は、ミコト姉さんの喋り方好きなんだけどなー。」

「え?」

「僕の昔の知人にもそういう喋り方する人いたから違和感無いんだけどなー」

「そうなの…か?」

「うん。だからミコト姉さんが喋りやすい方で喋った方がいいと思う。僕はそれでミコト姉さんを嫌ったりはしないし、むしろますます好きになるかもしれない」

「え!?」

エクシアが驚くのか。


でも主様の言葉は純粋無垢な言葉だ。

ならば…


「この方がいいかもしれない…のう」

「うん!今まで変に気を遣わせてごめん」

と手を合わせて謝ってくる。

「そんなことはない。わらわが勝手にやっていたことだ」

と頭を撫でる。


「その喋り方のほうがミコト姉さんにあってるよ」

「…!」

主様はわらわをドキドキさせて…。もう一生主様について行くしかあるまい。一生そばで愛でる!


《後1話出したら申し訳ないですがテストに本気で取り組みたいので月末近くまでおやすみをください( . .)" 頑張ります!》


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