第二章姉さん達との仲直り

第11話謝ることは大事

「ふふ、おはよう」

「うん、おはよう」

「朝ごはんはどうする?下に降りて食べる?持ってくる?」

「うーん、どうしよう」

「まだ寝ぼけていそうだから持ってくるわね」

「ありがとうー」


エクシア姉さんが部屋を出てから3分くらいして僕はようやく目が覚めた。


うん?さっき適当に返事をしてしまったからよく覚えていない。

何かやらかしてないよね?

前までは好きとか言ってたみたいで恥ずかしさで死にそうになっていたことがある。


「持ってきたよ」

「ありがとう…さっき僕変なこと言ってなかった?」

「ううん、特におかしいこと言ってないよ。普通に可愛かった」

「可愛い…?」

「あ、いや、そろそろかっこいいって言われた方が嬉しい年頃だよね。ごめん」

「別にどっちも嬉しいから大丈夫だよ」

反応にはちょっと困っちゃうけど。


「今日はしたいことある?依頼受けるの?」

「先に武器とか揃えたいかな。昨日痛い目見たから」

「分かった。私も商会長に会う予定があるから一緒に行ってもいいかな?」

「もちろん!」


朝ご飯を食べ終わって着替えをすることになって、ようやく隣の部屋が空いたらしい。

ならこの部屋にいたら邪魔になると移ろうとしたら


「荷物はあっちの部屋に置いていいけど大事な物はこの部屋に残してね?」

「なんで?」

「それは、一緒に過ごすからだけど?」

「え?」

昨日限定じゃないんですか?


「もし、侵入者が来たら対処できるの私くらいしかいないでしょ?」

「そうだけど…ここ3階だよ?」

「それでも。これは衣食住を保障するために必要なことなんだよ?」

「でも、邪魔にならない?」

「なるわけないよ。大好きな人を邪魔なんて思う人いる?」

「いません…」

「じゃあ、行くから準備して」

不意打ちは良くないよ、エクシア姉さん。


それから都市の中を2人で歩く。

「手繋ごう?変な人に絡まれたら面倒だから」

「分かった」

手を握るけど少し熱い。

エクシア姉さん体温高い方だったっけ?


「商会って何があるんだろう?」

「色々なものが売ってるよ。今から行く商会は国の中で1番と言っていいくらい大きな商会だよ」

「そうなんだ。楽しみだな〜」


しばらくすると立派な建物が見えてきた。

「あれがこれから行く商会、カート商会だよ」

「すごく大きいね」

「さぁ、入りましょ。多分出迎えてくれるわ」

「どういうこと?」

出迎え?エクシア姉さんはZランクだから優遇されるかもしれないけど…

そう思いながらドアを開けると、


「いらっしゃいませ。お待ちしておりました主様。」

主様…?懐かしい呼び名が聞こえる。もしかして実はエクシア姉さんが経営しているからそう呼ばれてるってこと…?


名探偵並の推理力で理解したが、

「え?」

エクシア姉さんの隣に立つと

「ミコト姉さん…?」

推理は外れ、そこにはミコト姉さんがいた。

「なんで…?」

「ミコトはここの商会の長だよ。」

「お久しぶりです、主様。」


「う、うん」

あの時のことがフラッシュバックした。

あの言葉を発した時目が合っていたのはミコト姉さんだった。

「エクシアから話は聞きました。次はエクシアと本格的な主従契約を結ぶつもりだと」

「まぁ…そうなるのかな」


エクシアは僕を支えると言ってくれた。

「エクシアがいいと言ってくれるなら、僕は主従関係を結びたいって思ってる」

「そうですか。ですが私はあの日からあなたに少し失望しているところがあります」

「ミコト、話が違うぞ」


エクシア姉さんが喋ろうとするのをミコト姉さんは止める。

「あなたは横暴な人だとは思いませんでした。そこら辺の命令するだけの主とは一緒では無いと思ってました。」

「…!」

「人の事を考えないで発言するのは頭の悪い貴族と同じです。所詮あなたは貴族側だったのですね」

「ミコト…!」

剣を抜こうとするエクシア姉さんを止めて僕は


「あの時は失望させるようなことを言ってすみませんでした」

と頭を下げた。


エクシア姉さんに許してくれる人もいるけど、許さない人だっていると思ってた。

だから僕は姉さん達にしっかり謝ろうと思っていた。


顔を上げようとすると、急に抱きつかれた。

「そんなに泣きそうな顔をしないでください。きちんと謝るかどうかテストしただけなんです。最初から私は主様を許しています。むしろ1人にさせてしまったのは私のせいですから」

「そんなことないよ。僕がどう考えても悪かった。主として失格だった。」


「ならもう一度やり直しませんか?もうずっと一緒にいましょう。旅をするにしても、何かを始めるにしても私たちは常に一緒にいます」

「うん…ありがとう」


ミコト姉さんの久しぶりの温もりを感じた。

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