第10話【視点別】エクシアの思惑
「何で僕、エクシア姉さんと寝ることになってるの!?」
「明日じゃないと隣のスイートルーム開かないみたいだからね」
嘘だ。本当は隣は空いている。
けど、
「今日は一緒に寝よっか?」
「うん、分かった…」
一緒に寝たいからわざと取るのをやめた。
私達はベッドに寝転ぶ。
カズヤくんは昔みたいに抱きつかず、背を向けてくる。
可愛い…♡
私は思わず抱きしめる。2年前より背が伸びたりしてるけどまだ私の体にスッポリ収まる。
「だ、ダメだよ…。もう僕子供じゃないんだよ?」
「私にとってはまだまだ子供だよ?」
「意識してないのかな…(小声)」
小声でも聞こえてます。空間魔法で僅かな空気の振動でも分かります。
今、空間魔法を覚えて1番良かったと思った。
「大人になりたいの?」
「もう成人になったからね。それに…」
チラッと私の方を見てくる。
どういうこと!?これって私とそういうことを…
本当なら今すぐにでも始めたいけど理性で必死に抑え込む。
「そういえば、ミコト達もカズヤくんを心配していたんだよ」
「そうなの?」
「早く会いたいってマナからも手紙が来ていたわ」
「でも、僕に会う資格なんてないよ…」
多分、カズヤくんはあの時に自分が言ったことを2年間悔やんでいたのだろう。
今日あそこで初めて会った時も最初に出た言葉が謝罪だった。
あの時に私がもう少し上手く言えてたら変わってたのかもしれない。
「そんなことない。急に離れた私達が悪いんだし、きっと他の姉さん達も許してくれると思うよ」
私はカズヤくんの顔を胸の中に抱く。
「よしよし、今日は色んなことがあったから疲れちゃったね。もう今日は難しいことを考えるのをやめて寝よう?」
「う、うん」
ちょっと緊張してる。こういううぶなところは昔から変わらない。好き…♡
少しすると、すぐに寝着いてしまった。
「寝たかな…?」
私はカズヤくんが寝たことを確認したら
「光の鳥」
光の鳥を召喚する。これは光魔法の上位魔法だ。これで良くミコトたちと連絡をとっている。
私は3人にそれぞれ手紙を書き鳥たちの足に巻き付ける。
「頼んだ」
鳥たちは羽ばたいていった。
あらかじめ鳥たちにはミコトたちそれぞれの魔力を覚えさせているから、どこにいてもちゃんと本人の元に届く。
私はしばらく剣の手入れをしていると
「来たか」
ミコトから手紙が届いた。
あの人は今この都市にいるから直ぐに返ってくると思った。
ちなみに私は手紙で
・今日カズヤくんが糞どもによって深淵層に落ちて、そこで私と会ったこと
・適性検査で適性はなく、家から追放されたこと
・適性検査の時期が他とは違っているから辺境伯家の身辺を調査して欲しいこと
を綴った。
私はさっきいれた紅茶を飲みながら返事を読む。
《本当ですか!?主様が!?嘘じゃないですよね?それにしても糞どもには罰を与えないと…。早く会いたいです。糞どもとパーティーを組んでってことは冒険者になったってことですよね?
それだったら明日商会に来てください。最強セット一式用意させます。ちなみに会う時、私はテストしますが口を出さないでくださいね?
イースト家については私の部下にやらせます。不正を暴いて潰してもいいかもしれませんね☆》
正直言ってミコトは腹黒くなったのかもしれない。いや、本性を見せてるだけなのか…?
「でもたまにポンコツだし…」
よく分からない人だ。
「テストって何をするんだろう?」
ミコトはカズヤくんにバレないように色々送ってたからな…だから今更あの時のことを許さないなんて言わない…よね?
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