第9話久しぶりに姉さんと夜ご飯

「そういえば、ここに来る間エクシア姉さんを《氷の悪魔》と言っている人がいたんですけど」

「多分それはミドルネームの事じゃないかな?」

「ミドルネーム?」

「Sランク以上の人はある程度有名になるからミドルネームを貰える仕組みなんだよ」

とエクシア姉さんが教えてくれる。


「氷の悪魔より天使の方がいいと思うのにな…」

「はは、面白いこと言うね。エクシアが追い求めてた人なだけに興味深い」

エクシア姉さんを見ると顔が真っ赤だ。熱かな?大丈夫かな?

「追い求めてた人?」

「だって、国王様にこの国にいてくれないか?って頼まれたのに「私は救ってもらった主に従います」ってキッパリ断っちゃったからね」


え、何それ?嬉しい。

「そんなペラペラ話さないでください」

「殺気を飛ばさないで。本当にやられそうだから」

「本当です」

「お、落ち着こう?僕はそれが聞けて嬉しかったからカールさんのせいにしないで」

「…!分かりました。」

「こんなにも素直なんてやっぱりカズヤくんはすごいな」


それから外は暗くなってきたこともあり、後日改めてエクシア姉さんは素材を提出して欲しいという話をされて、お開きになった。


「御食事はどうされますか?VIPルームにお連れしますが」

ギルドの職員に聞かれるけど、VIPルーム?ナニソレオイシイノ?と思ったら

「彼がいるので、今日は普通に食堂を使います」

「畏まりました」

と一礼して退出していった。


「それじゃあ、素材忘れずにね」

「分かってます。行こう?」

「うん!カールさん、失礼します」

「うん、またエクシアと来てね」

と言われた。


「ギルドの食堂は初めて?」

「うん。今日冒険者登録したばかりだから…」

「そうなんだ。よし、今日は私が奢るわ。というかこれから毎日奢る」

「それは流石にダメだよ!?」

ダメ人間まっしぐらじゃん。

どうやらエクシア姉さんはダメ人間を造りやすそう。


「はい、あーん」

「自分で食べられるよ!?それにみんな見てるよ…?」

「別に関係ないよ。早く食べないともっと見られるよ?」

うう確かに。僕は早く終わらすためにエクシア姉さんが頼んだリゾットを食べる。


「おい、氷の悪魔がこんなところになんでこんなところに?」

「隣のあいつは誰だ?氷の悪魔に付き合っている人なんていたのか?」

「俺、ワンチャンあると思ってたのにー」

最後の人はやめてください。


「僕久しぶりに誰かと食べたからいっそう美味しく感じるよ!」

「やっぱり1人にするんじゃなかった…」

「いや、そういう意味で言ってないから気にしないで!?」

久しぶりという言葉はしばらく使わない方が良さそう。


「カズヤくんは冒険者を続けるの?」

「うん、お金が無いしね。もっと領地の経営とか色んな国に行きたいけど」

「私ならお金いっぱいあるよ?カズヤくんは主なんだから使ってもいいんだよ?」

「ダメだよ。主従契約もしっかりやってないから強盗と同じ扱いになっちゃうよ」


この世界には主従契約というのがある。

昔、勇者が信頼出来る仲間だと証明するために行った儀式から始まったものらしい。

ちなみに勇者の話を読んだ時は感動した。

異世界感を感じさせてくれた。


「もし主従契約しても 、僕はエクシア姉さんのお金は使えないよ。」

「何で?確か主と従者の間で財産の共有をできるって本にあったよ?」

「それでも僕は自分のことは自分で何とかしておきたいんだ。姉さんに何もかも助けて貰ってたら成長出来ないから」

「カズヤくん…!」


何故かエクシア姉さんが泣き出してしまった。

「おい、氷の悪魔を泣かしてるぞ」

「別れ話か?」

「あいつ、殺る?」

やめてください。勘違いで死にたくないです。


「エクシア姉さん大丈夫?」

「ありがとう。大丈夫。カズヤくんは頑張ってきたんだなって思っちゃって…」

それを言ったらこの人もだ。2年という間で軽々しくZランクなんて取ってるけど、そこには数々の死線をくぐってきてこそのものがある。


「けど衣食住とかは私が支えるからね?」

「う、うん。じゃあしばらくはお願いしてもいいかな?」

「よし、どうしようかな〜?私の隣の部屋にスイートルーム借りて…」

スイートルームって安い部屋で合ってるよ…ね…?


《次に視点別入って次の章にいきます!

これからテスト勉強になるので投稿頻度が少し落ちるかもしれませんが応援してくれたら嬉しいです(*^^*)》




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