第5話せいちょー

 能力の鑑定を行い。家に帰ってきた。両親が、メイド達に鑑定の結果を教えているようだ。そういえば、訓練をすると言っていたような。


「ようしヴィオ、早速スキルや職業の訓練を・・と言いたい所だが、まずは基礎の訓練をしようか。体力作りや、剣などの武器の使い方、身体を柔らかくしたりする。それが終わってようやくスキルや職業の訓練だ。基礎の訓練は続ける。いついかなる時も、基礎を怠っては行けないからな。」

「まずは、体力作りだ。メイドのロゼと、家の庭で走り込みをしてこい。ロゼー!こっちに来てくれー!」


 すると、メイドのロゼがやってきた。


「ヴィオちゃん!改めてこんにちは!メイドのロゼって言います!これから一緒に体力作りをして!強い身体を目指していきましょーね!!」

 と快活な感じでいう。

 ロゼはオレンジ色の少しウェーブのかかった髪をセンター分けにして、表情、身体、言動 全てから天真爛漫な雰囲気が滲み出ている。八重歯の似合う女性だ。


「早速走り込みしましょう!」


 と庭に行く。自分もそれについて行くと、山が切り開かれ、学校のグラウンド位の広さの庭があった。・・・いや思ったより庭でかいんだけど、父は、メイドもいるし金持ちなのか?


「まずは身体をほぐしましょう!体力をつけても、怪我をしたら意味が無いですからね!!ほぐし方は私の我流を真似して下さい!教えて上げますから!」


 ロゼの動きを真似する。動きとしては、地球のストレッチととても似ている。我流のでこれは凄い気がする。

「さて、早速走り込みです!まずは3時間走っていきましょう!」

「はい!わかりま!え?3時間?」

「はい!3時間です!」

 ロゼに手を引かれ、一緒に走っていく。だが、美しいロゼの、手汗がある手に引かれ走るのは・・・悪くないな。



 3時間50分後

 


「はぁ・・・はぁはぁ・・・」

「ヴィオちゃん!あと10分ですよ!!もうすぐですよ!粘りましょう」


 ロゼのペースに合わせて走っていたんだが、それを見てロゼが余裕と思ったのか、更にペースを上げたのだ。それを見て、まだまだ余裕と思ったのか、ペースを上げ、それに合わせ、またペースを上げる。それを見て、まだまだ余ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ


  !!!( ゜д゜)ハッ!!!!


 やばいやばい取り込まれる所だった。あと10分しか無いのだが、感覚的にはあと30分ぐらいあるような。

 あ、やばい。意識がダメだダメだここで諦めちゃ。

 ロゼからは、これまでの走り込みで感じたのだが、凄い期待されているような気がする。自分の身の丈以上に、その思いを卑下にして良いのか?前世では、兄や姉が期待され、ろくに期待されなかった自分が、期待されているのだぞ。もう一度自分に問う、これで良いのだろうか?否、期待に答え無ければ。


「あと5分です!頑張りましょう!」


 とは言ったものの、やばい。やばいという言葉でしか表現出来ない自分が恨めしい。

 そういえば、スキルで身体能力上昇とか無かったか?それをやるしかない。集中しろ集中しろ集中しろ。

 その瞬間世界が灰色に変わり、動きがゆっくりとなった。いや、ゆっくりというのは間違いだ。ほぼ動きが止まっている。

 自分の胸当たりを見てみると、オレンジ色の炎と、碧色の炎、そして、白色の炎3つが灯っているように見える。それは、炎なのだがどこか、とても大きな、とてもとても大きな力の萌芽のようにもみえる。


 その中の、碧色の炎が体中に広がっていき、血管のようなものを通り、霞のように消えている。どんどんとその炎は無くなっていくが、また、胸当たりでぼうっと燃え、血管の様な物を通り、消え、またぼうっと燃える。


 もしも、この炎が消えずに血管のようなものに滞留させたらどうなるのだろうか?

 意識を集中させると、ちょっとだけ、炎を動かせた。そのままゆっくりと、血管のような物に炎を通らせていく。順調に続け、ついには、身体の全ての血管のようなものに巡らせた。


 その瞬間、灰色の世界が色を取り戻していく。今までほぼ止まった状態だった時がまた、通常通りの流れになる。


「お!ヴィオちゃんもしかして!!」


 体力が戻ってくる。疲労も治り、いや、寧ろ元気になっていく。それに。身体能力も以前よりも上がっているようだ。そして・・・


「4時間経ちました!良く頑張りましたね!ヴィオちゃん!!」


 走り終わった頃には、もう太陽が傾いていた。ん?太陽が傾くのはここだと、5時あたりで、走り込みを始めたのは1時だ。3時間の走り込みだと今はまだ4時のはず。

 てかさっきロゼは4時間って言ってなかったか?


「ロゼさん?3時間じゃなかったんですか?」


 ロゼがはにかみながら言う

「いやぁ、ヴィオちゃんが思ったより頑張ってて、途中からやっぱ4時間しようかなって思ったんですよ。」


 はぁぁ!?


「まぁ………それはともかく!!魔力の使い方が分かって、身体能力を強化出来るようになったんだから、良いではないですか!!」


 すっー・・・それもそうだなぁ。


「さて!そろそろ晩御飯も出来ているでしょうし、訓練は辞めてお家の中に戻りましょう!」


 今日の晩御飯は、獅子豚の肉をじゃが芋や、玉ねぎ、人参と一緒に醤油風味のだしと煮込んだ物と、柔らかいパン、じゃきじゃき草(ほうれん草的な)のお浸し、今日は疲れているだろうからと、用意されたモンエナ的な飲み物だ。

 今日はいつもの2倍はご飯を食べた気がする。

 さて、今日はもう風呂入ったあとに寝るか。




 ヴィオリカ就寝後・・・






「クロードさん!!ご報告があります!!」

 とロゼが言う。


「なんだい?ロゼ」


 ロゼがやたら自信満々に腰に腕を当てたあと、彼女はこう言った。


「体力作りで4時間走り込みしたんですけど、残り5分の所で、ヴィオちゃんが自力で自身の魔力を操作し、身体能力上昇を発動させたんですよ!」


「え、4時間走り込み?3歳のあの子にいきなりそれはキツイ気が・・・」


 クロードの声なんか聞こえてないと言った風にロゼが、

「いきなりなんの教えも無しに発動させたんですよ?あの子は将来は物凄い人になるでしょう!!」


 まるで我が身のように言うロゼを見て、クロードも


「確かにそうだな!あの子は天才かもしれない!」


 その言葉を聞いたロゼが『任務は果たした。』と言ったように自信満々に去っていくところにロザートが一言


「いきなりあの子に休憩もなしに4時間も、その上ものすごいハイペースで走らせた件についてお伺いしたいのだけれど?」


 夜は深くなって行く。

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