第9話 そうぞうする二つのスキル
話はあの洞窟に居た時まで遡る。
優樹さんと俺は、探索を終えた後、洞窟で
「スキル【
俺の基本画面のスキル欄に載っているスキルを、つい声に出して読んでしまう。
何故なら、創造の方はまだ分からなくもないが、想像がスキルになっている意味が分からなかったからだ。
正直、なんだ?こんなふざけた能力は、と思ったぐらいだ。
俺は
すると、スキルの説明が出てきて、こんなことが書いていたのだ。
______________________________________________
《スキル【想像】》常時発動型
このスキルは、所持者の想像力によって効果は左右される。
脳内で
また、想像する事で、経験値を獲得、それを反映させる事ができる。
______________________________________________
やはり意味がわからない。
冒険せずとも経験値を獲得できるってのも意味がわからないし、やり方も載ってない。
本当にどうゆう事だ?
取り敢えず、他の欄も確認する。
常時発動型をタップして意味を確認したら、こちらはとてもわかりやすかった。
常に発動しているタイプのスキル、という意味らしい。
ちなみに創造の方の説明も見てみたら、
______________________________________________
《スキル【創造】》任意発動型
ただし、現実世界に干渉するものは作ることができない。(食べ物や武具など)
また、現実世界に存在する物を新たな物質へと変化させることもできる。
______________________________________________
という、無茶苦茶な能力を持っていた。
これから結構お世話になるであろうスキルだな。
ちなみに任意発動型ってのは、自分で発動する瞬間を決めて発動できるものらしい。
…取り敢えず、よく分からない想像の方を試してみるか。
(…どこまでできるか分からないが、何かスキル欲しいし、スキルについて想像してみるか…)
欲しいスキルは沢山あったが、失敗しても嫌なので、取り敢えず何かしらスキルが欲しい、ということを大まかに想像をしてみた。
すると
『スキルの
スキル【創造】を使い、スキルを作成しますか?』
脳内にまた機械音声が響いてきた。
そして目の前には新たな画面が現れ、
《Yes》《No》
という選択ボタンが描かれている。
迷う事なく、俺は《Yes》を押した。
『スキル【
という機械音声を聞き、初めてスキルの創造に成功したことを知る。
大辞典は、世界の全てを記載した辞書なのだが、経験や見た物等、自分が把握している事柄についてしか見ることができないスキルだそうだ。
俺は早速、大辞典を使って、いろいろなことを調べてみた。
ステータス レベル スキル 俺の持つスキルに至るまで、その全ての欄を見た。
大辞典を使用すると、まず画面に確認したい項目を打ち込む画面が出てくる。
俺は打ち込もうと手を出すと、画面の下にキーボードを映した画面が出てきて、それで打ち込むことができた。
書いてあることは、その殆どが分かりやすかったので、確認し終わるまでに、そう時間は要さなかった。
ただ、【想像】【レベルアップ】の2つに関しては、大辞典には載っていなかった。
やはり、想像は本来、この世界になかったスキルなのかもしれない。
レベルアップが載ってなかったのは謎だが…
まぁ、分からないことを考えていても仕方ない。
ここからはできることをやるのみ。
所持スキルを増やそう。
俺はそこから、必死に想像力を膨らませ、できるだけ明確に、欲しい物をイメージする。
そして、それらの情報因子を獲得して、創造で形にする。
大辞典によると、本来スキルを作成するには、スキル言語という難解な言語を理解して、時間をかけてそれらの言語を、正しい順番で正しい言葉をはめていくことで、初めて情報因子を手にすることができるらしいが、俺はイメージするだけでスキルを作れる。
多分、
俺は次々とスキルを作っていった。
・
・
・
・情報秘匿“絶”《じょうほうひとく・ぜつ》(自身の情報を秘匿し、外部に見えにくくする。
ただし、自身を上回る調査能力を持つスキルには、効果は無い)
一つのスキルを作るのに必要な時間はバラバラで、情報秘匿なんかは、ものの数分で作成できたし、完全再生なんかは、10分以上も時間を取られた。
だが、分割思考のおかげで、脳内では色々なことを想像しながらも、少しタイムラグはあるが、問題なく優樹さんとも会話もできている。
何かしながら、スキルを作成できるのは強いな。
分割思考は任意発動型なので、必要な時に使う事になるらしい。
優樹さんと、スキルについての共有を行おうとした時、遠くからクルドー達がやってきた。
あいつらは意味のわからない言語を話し、南京錠を開けて出口の扉を開いてくれた。
どうにか言葉を聞き取り、お礼がしたいという思いが強くなり、自然とイメージもその意思が紛れ込んでいった。
【
この時に、情報秘匿“絶”が“
で、万能言語で話聞こうとしたら、殴られるわ奴隷にされるわって、散々な目にあった。
18歳の純粋な感謝の気持ちを返せよ。
で、そこから獲得したスキルは、大概試すことができなかった。
何故なら…
『スキル【
現在、職業効果による
と、こんな感じに軒並み制限をかけられていたからだ。
超集中というのは、分割思考と対になるスキルのようで、一つのことしか考えられなくなる代わりに、その一つに対する思考力が何倍にもなる、という優れものだ。
だが、制限によりこれを使っても、せいぜい集中力が上がる程度の弱いスキルにされていた。
他にも、獲得するはずだったスキルが獲得失敗になったりもして、
そして最後は、死にかけたところで【
しかしながら、俺は制限解除については想像はしていなかった。
あの時はただ、起死回生の何かが起きればなぁ…という漠然とした想像しかしていなかった。
その時に制限解除を獲得して、想像で溜め込んで、本来獲得できるはずだった
それにより、全ステータス値は数値上でとんでもない事になるわ、獲得できなかったスキルを一気に獲得するわで、これがゲームなら、修正不可避のぶっ壊れになってしまった。
…でも、その事は後悔していない。
この力を手にした事で、奴隷制度をぶっ壊し、救いを求める者に手を差し出すことができるかもしれない。
俺が望んでた勇者像とは、遠くかけ離れたものになるかもしれないが、後悔なんて一つもない。
俺は【
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【基本画面1/3】
[
[
[
※スキルによるステータス補正込
[
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