第7話:帰ってこないマカロン。
美都里ちゃんがマカロンを自分のマンションに招待したのはいいんだけど、あれ以来
マカロンは僕んちに帰ってこない。
そのことを一番喜んでるのはプリンちゃん。
で、僕は会社に出勤した時、さりげなく美都里ちゃんに聞いてみた。
「マカロンって・・・どうしてる?」
「ああ、彼、まだ私の部屋にいるわよ」
「え?そうなんだ・・・図々しいやつだな」
「そうじゃなくて私が引き止めたの」
「まじで?・・・」
「マカロンとうまくやれてる?」
「うん、やれてるよ彼、優しいし」
「家事全般、マカロンがやってくれるから、私、楽ちん」
(あのやろう・・・僕んちにいる時はなにもしなかったくせに・・・)
「あのさ・・こんなこと言いたくないけど、たぶんマカロン猫被ってると
思うよ・・・ 」
「大丈夫・・・全部マカロンから聞いてるから」
「でもね、私マカロンみたいな性格の男子ありかな」
「けっこうわがままで、自己中で、甘えん坊で、ちょっとエッチだし・・・
だけどどこか憎めない」
「へ〜そうなんだ・・・まあタデ食う虫も好きずきっていうからな・・・」
「相性が合えばいいってことなのかな?」
「棚橋君みたいな男子もいいけど、マカロン君は、まじで私のタイプだし・・・
この人だって人を見つけたって感じ 」
「まあ美都里ちゃんがいいなら、僕はなにも言うことないかな」
「そんなにマカロンのことが気になるの?」
「棚橋君、もしかしてマカロンにヤキモチ焼いてる?」
「なわけないだろ・・・論外論外」
「僕にはプリンが・・・」
「妹さんが、どうかしたの?」
「いや・・・なんて言うか、僕に彼女がいなくてもプリンが、妹が、俺の
身の回りの世話してくれるからいいんだ、とか言おうと思って・・・あはは 」
「可愛い妹さんだよね・・・でも棚橋君とは似てないよね」
「あ〜それは・・・その〜・・・あ、プリンは養女だからだよ」
「養女?・・・ああ実の妹さんじゃないんだ」
「そうなんだよ・・・あはは」
「と、とにかくマカロンは、もう僕んちには帰ってこないつもりなんだよね?」
「たぶん・・・帰らないと思うけど」
「私と一緒に暮らしたいって言ってるしね」
マカロンを気に入ってしまってる美都里ちゃんに、僕はマカロンの本当の
正体はインコなんだよってことは言えなかった。
マカロンが帰ってこないならプリンとも誰にも邪魔されずに仲良く過ごせそうだ。
プリンの言ってたエッチだって・・・できるじゃん。
でも、それってタイミングだよな。
いきなりエッチさせて?なんて言ったら、逆にえ〜って引かれちゃうと
困るし・・・。
・・・つうか、よく考えたらプリンはインコだからね。
インコとエッチするのかって話だけど・・・できないだろ、インコとなんか・・・。
いやいやインコとエッチするんじゃなくて、人間のプリンとするんだから・・・
なんの問題もないんだよ。
でもな〜なんか想像しちゃうな、エッチしてる最中にプリンの顔みたら
インコだって思いだしちゃいそうだよ。
って僕は、仕事をしながら、そんなアホな妄想をしてたんだ。
ま、なにわともあれマカロンがいなくなって僕とプリンは仲良く楽しく過ごせる
ってのがなによりだった。
だからそのまま平々凡々な日々が続いてくれたら万々歳って思ってたんだけど・・。
だけど、はたまた予期せぬ出来事が向こうからやってきたんだな、これが。
つづく。
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