第6話:ふたたび及川 美都里。

マカロンが僕の部屋にいることで、プリンちゃんは半分ノイローゼ気味に

なっていた。

イライラして僕にまで八つ当たり・・・僕が何したって言うんだよ。


このさいマカロンには出てってもらったほうが僕の部屋に平和が戻って

きそうだった。


なんて考えてた矢先、恐れていたことが起きたんだ。

それは会社が休みの日だった。


同僚の及川 美都里おいかわ みどりちゃんが、なんの前触れもなく

僕のマンションに突然訪ねてきたんだ。


前触れくらいしろっつうの・・・。


僕は美都里ちゃんが来るなんて知らないもんだから休日を充実したものにしようと

プリンとゲームなんかして楽しんでたんだ。

まあ、マカロンも交えて・・・。


で、ピンポンって玄関のチャイムが鳴ったよね。


で「私がでようか?」ってプリンちゃんが玄関にダッシュ。


「はいっ」ってドアを開けるたら、そこに美都里ちゃんが立ってたわけ・・・。


「対応したプリンを見て美都里ちゃんは誰?この子って、顔にクエスチョンマークを

書いていた」


「あの・・・ここ棚橋さんのお宅でしょうか?」


「そうですけど・・・どちら様ですか?」


「プリンちゃん、誰?」


って僕は玄関に来たであろう客を見た。


「あ、美都里ちゃん・・・」


「棚橋くん・・・」


「え?どうしたの?・・・僕に何か用があって来たの?」


「じゃなくて、遊びに来ちゃった・・・あの〜いけなかったかな?」

「もしかしてこの方、棚橋君の彼女さん?だったりして・・・」


「あ〜え〜と・・・その〜なんだそれ・・・」

「この子はね・・・とにかく・・・ちゃんと説明するから・・・中に入って」


ういちゃん・・・汗いっぱいかいてるよ」


「いいの・・・プリンちゃんは余計なこと言わなくていいからね・・・」


で、とりあえず本当のことを言って信じてくれる訳ないと思って僕は美都里ちゃんに

適当なことを言って誤魔化した。


「あはは、びっくりしたでしょ・・・この子はね・・・彼女?とかじゃなくて・・・いもうと・・・そうだよ・・・僕の妹だよ」

「今ちょうど高校が休みなもんで母親に頼まれて僕の様子を見に来てるんだ」


「初ちゃん・・・何言ってるの?」


「いいの・・・プリンは黙ってな・・・」


「え?・・・いもうと?・・・棚橋君の妹さん?」


「そうなんだよ・・・妹なんだ」


「あ、そうなんだ・・・はじめまして及川 美都里です」


「はい、こんにちわ・・・プリンです」


「プリン?・・・あはは、美味しそうなお名前ね」


「はい、よく言われます」


「妹だからね・・・この子は・・・」


「え〜初ちゃん、そんなこと言っていいの? 」


って横から口を挟んだのが、バカマカロン。


余計なことをしゃべるんじゃんないぞって思ってたら美都里ちゃんが

先にしゃべった。


「この人・・・どなた?」


「あ〜僕の友人のマカロン君・・・偶然、妹と同じ日に遊びに来たんだ」


「マカロン君?・・・・超イケメン・・・」


マカロンを見た美都里ちゃんの瞳は少女漫画になっていた。


その時、僕とプリンの存在は美都里ちゃんの瞳から消えたみたいだ。

なんと美都里ちゃんはイケメン男子マカロンに一目惚れしたんだな、これが。

性悪インコとも知らずに・・・。


「あの、もしよかったら私のお友達になっていただけません?・・・マ、マ」


「マカロンです・・・よろしくね、み、み」


「美都里です・・・マカロンさん」


「お友達って言うなら、さっそく僕、君の部屋にお邪魔したいな?」


「マカロンいきなり何言ってるの?」


「妹は黙っててほしいな・・・いもうともどきは・・・」

「もどきって何よ・・・女たらしマカロン」


「うるさいよ・・・プリンアラモード」


「アラモードだけ余計だよ」


「あのさ・・・ふたりとも揉めるなよ・・・お客さんが来てるんだぞ」

「ごめんね、美都里ちゃ・・・」


「あの・・・あの、いいですよ・・・よかったら今から行きます?、

私のマンションへ?」


およよ、なんて早いテンポ・・・物事はこういうふうにスムーズに運んだら

仕事も政治の世界も、たつくことないのになって思った。


ってことで、マカロンと美都里ちゃんは初お目見えで意気投合してしまったようだ。


なんだかおかしなことになってきたぞ。

まさか、こういう展開になるとは予想してなかったわ。


ただこの時、若干1名だけがマカロンがいなくなることを心の底から

喜んでいた人物がいた・・・僕の妹もどきが・・・。


つづく。

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