事情説明……?

「なら、ハナがわざわさ『様』付けして呼んでるのは、この人が恩人だからってこと、かしら?」

「全くもって、その通りです」


 エリアルさんに強く頷く。嘘じゃない。

 あそこで見放されていれば、私は今だに森で彷徨うか、そのまま行き倒れていたか。どっちにしてもここにいないのだから。


「別にさまいらない……」

「そういう訳にはいきません」


 首を横に振ると、イグル様はムッとしてから、少し俯いた。


「……みんなには様つけないのに、ぼくにだけ様つける……」

「う、いや、あの」


 そういう攻め方には弱いんだってば!


「あーあー……じゃ、『さん』で!」


 反応がない。


「どうですか? イグル、さん?」


 様で慣れてきたから、変な感じがするな。


「……」


 反応はあった。ただし、そっぽを向かれるという反応である。


「あーもー……」


 精霊様を呼び捨てなんて、そんな軽く出来ないんだって!


「あのさあ、取り込み中悪いんだけどさあ」

「え?」


 ベティの声に、そっちを向く。


「あんたら、道中何かあったワケじゃないんだよな?」

「へ? 話した通りだけど?」


 どういうこと?


「なんだかいちゃいちゃしてるみたいねえって。そういうこと」


 エリアルさんは微笑ましげにそう言って。


「い……は?!」


 え?! 誰と誰が? 私とイグル様が?


「ないないないないない!! それはない! です!!」


 何言ってんですか?!

 全力で首を振る。……うぇ、やり過ぎてちょっと気持ち悪い。


「まあなあ、ハナがここまで気にかける奴なんて、今までいなかったからなぁ」


 ハリーさんまで何を言う。

 ……おん? 良く見たら、私とイグル様以外みんな呆れ顔になって。


「ええー……別にそんな、そういう風に見えることしてないと思うんですけど……」

「無自覚」

「ハナはこういう所があるからね。だから余計心配なんだ」


 ベティとデイジーさんに立て続けに言われた。

 うそぉ、私そんなにそんな、そんなことしてた?


「……イグル様、気をつけましょう」

「また様にもどってる……」


 こっちもか! こっちの話の決着もつけないとなのか!


「もう!」

「?!」

「それは後々! 追々! 良いですね?」

「ええ……」


 不満そうな顔をしないで!


「良いですね?!」

「…………分かった……」


 よし、ひとまず話は終わった。


「だからハナお前な」

「ん?」


 あれ? なんでまたみんな揃って、私達に呆れてるんです?



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