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誰かの怒鳴り声が聞こえてその声を頼りに歩くと、そこには数名の女子が一人の女子を囲っていた。
「一年のくせに調子に乗んのも良い加減にしな!」
「そーよ!そーよ!」
「え〜?何のことですか〜?」
囲んでいる女子は囲まれてる女子を非難しているのだろう。でも、囲まれている女子は首を傾げて、何のことか知らない素振りをしている。これは助けに行くべきなのか否か決めかねていると、囲ってた女子の一人が一歩前に出た。と思った刹那、パチンと音が聞こえた。叩かれたのだろう。そう自分が認識した時には既に何度か囲まれていた女子が頬を叩かれた後だった。流石にこれは止めなきゃ不味い。そう思い一歩踏み出すが、頬を叩いていた女子が突然お腹を抑えて蹲っている。
「何すんだテメェ!」
「何って〜、正当防衛ですけど〜?ごめんなさ〜い」
とうとう叩かれていた女子が反撃に出たようで楽しそうに笑っている。囲っていた女子はその姿がとてつもなく癪に触ったのだろう。反撃とばかりに攻撃魔法を使うも、全て防がれいた。その技術は一年生のものでは無かった。流石に武が悪いと分かったのか、蹴られた女子を抱えて捨て台詞を吐いて去っていく女子達。
「大丈夫ですか〜?流れ弾とかでお怪我はしてないですか〜?」
「大、丈夫」
「それなら良いで〜す!」
助けに行こうと一歩踏み出していた自分の存在に気付いてたのだろう。彼女たちが去った後、声をかけられた。叩かれて頬が赤くなっている彼女こそ、心配されるべきなのに。
「君こそ大丈夫?頬が赤いけど」
「大丈夫ですよ〜?」
変わらず笑みを浮かべる彼女。本当に大丈夫なのか。そう思ったが、何故か続きの言葉は出なかった。いや、出さしてくれなかったが正解だろうか。挨拶もそこそこに彼女は自分に頭を下げて、赤い頬のまま去っていく。
これが天才と実しやかに囁かれている一年生との出会いだった。
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