第24話 男の朝発ち


その日王都ネーブルを駆け巡った噂は二つ。


一つは国王ダンテが決闘に敗れたということ。


もう一つは、ダンテを倒した男が西の盗賊団討伐に乗り出したという事。


謎の侠客きょうかく、フェラクリウスに対する国民たちの期待は高まっていた。


ダンテはフェラクリウスを客将に迎え討伐隊を率いてもらうつもりでいた。


だがこの提案はフェラクリウスが断った。


「団体行動が苦手でな」


逆に彼は次のような対案を出した。


「俺が斥候せっこうをやる」


自身は単独で行動し、西の状況を探る。


何かわかればダンテに報告し、自力でどうにか出来そうな問題ならばそのまま解決してしまおうという考えであった。


手掛かりが少ない現状にフェラクリウスの身を案じたダンテも最終的にはこの案を受け入れた。


こうしてフェラクリウスはカートキリア王国の西で起きている異変について調査に向かった。


日の出と同時に、フェラクリウスは“たって”いた。


彼の“朝発ち”から数時間後、一頭の早馬が城門を抜け駆けて行った。

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