第29話 圭一の受難
◆◆◆ 29話 圭一の受難 ◆◆◆
~~ギャグ、下ネタ回になります~~
9:30
「遅い…………おい!まだなのか!」
「今手配している。地方空港だからな、セスナの練習機じゃ燃料も北京まで持たないだろ。もう少しだ」
「飯はまだかと聞いているんだ!」
「……まだスーパーが空いてないらしい。少し待ってくれ」
確か、日向には24時間営業のスーパーがあったはずだが、黙っておこう。
腹が減ってイライラしてんな。これはチャンスかも!
「なあ、弟にも飯を持ってやって欲しいんだけど」
「パンでも何でも持って行けばいいだろ!」
「場所はどこかな?」
ケントが割って入って来た
「この反対側、左舷だよ。まあ、爆弾を仕掛けてあるからズドンッ!と行かないようにな!ヒヒヒ」
ケントは補佐にその事を連絡する。
肝心の俊仁は真っ暗な中、睡眠薬が切れて目が覚めていた。
そして時間も分からずに二度目を決めていた。
「ああ、腹減った…………」
10:30
サーモグラフィーで左舷のコンテナ内に人影がある事が分かった。
だがそこからが難題だった。
当然ながら温度変化の無い爆弾は、サーモカメラには映らない。
なので、コンテナの横に数ミリの穴を静かに開け、そこから内部の様子を見る為に内視鏡の様な細いカメラを入れていく。
それを繰り返しながら見える範囲を捜索していた。
そして爆発物らしき物を発見!
それはプラスティック爆弾と呼ばれる物で、回りには容器の中に液体らしき物と隣接してあった。
『衝撃型と思うが、中に入らないと解除は出来ない』
爆発物処理担当が判断を行い、何も無い箇所に穴を開け、内部から解除する事になった。
同時刻……
「注文した物が届いた、中に入るぞ」
「随分遅かったな持ってこい!」
ケントはトートバックに入れられたモノを上にあげ、ゆっくりと歩いて来る。
「スーパーの開店時間が遅いんだ。これでも急いだんだ」
「止まれ!そこに置くんだ。これだから田舎は嫌なんだ」
トートバックを横の段ボールの上にゆっくりと置き、段ボールに手を着きながら後ずさって行く。
「取ってこい」
「やだこった!お前が取りに行けば良いだろ」
その時、ケントの目が微かに大きく開く。
だが、それに誰も気が付かなかった。
「弟の命が掛かっているんだぞ。もってこい」
後ろを見ていた俺に銃口を向けてクイクイと指図する。
「しょうがねえな。俺が居ないと何も出来ねえのかよ」
4m程離れた所にあるトートバックの所まで行き、中を開いて確認した。
するとその横、奥からは見えない段ボールの横面に付箋が張ってあった。
【弟を救出中、時間を稼げ】
「むぅッ」
「どうした!」
思わず声が出てしまった。どうする?
「何かあったのか?」
ケントを振り返り見るとポーカーフェイスは変わらないが、こめかみに汗が流れているのが見えた。
「どうした!」
「や…………野菜がしなびれてるじゃねえか!誰だ!こんな見切り品を買ってきた奴は!俺が教えてやる!」
バックの中からキャベツを取り出し少ししなびれている所を金井に見せつける!
そしてそこへ視線が集まった瞬間、付箋を剥してグシャッと握りつぶし、段ボールの隙間に押し込んだ。
「それくらい何でもないでしょ!」
「農家の息子として看過できん!買い直しを要求する!」
「馬鹿じゃないの!それくらい何枚か剥げば食べれるわよ!早く持ってきなさい!」
仕方なくバックにキャベツを入れようとするが、金井の真裏に隠れた所の段ボール横には、もう一つ刃渡り10cm程度のナイフが張られてあった!
「ぬおッ!」
ビビった俺は自然に声が出てしまう!
「何!!」
考えろ!考えるんだ!
「今度は何なの!」
「…………にく……肉が和牛のA5ランクじゃねえか!俺も食った事ねえのにこいつに食わせるのはブタ肉で十分だ!」
「ふざけないで!バカじゃないの!!」
その隙に俺はナイフを剥し、袖の中へと隠してしまう。柄から刃まで艶消しの黒に塗られており、クリップ状になった個所を器用に袖に装着した。
「A5ランクは高いんだぞ!まだ給料も出てない俺には絶対買えない代物だ!豚じゃ無ければ鶏肉で十分だ!税金を何だと思ってる!」
バックの中から肉の入ったトレイを取り出し金井に見せつけ、ケントにも見せつけた。
俺はカッコ良く片方の口角を上げ、ニヒルな笑みをケントに返してやった。
その時のケントは報告書でこう書いてあった。
『思った事を声に出してしまうバカであり、冷や汗が止まらなかった。このタムラと言う人物は手先が器用なので戦場で先陣を切って突貫するのがふさわしい』と。
そして、
『時々見せるジャパニーズスマイルが、不気味でいつ見つかるかと怖かった』
と書かれてあった。
「もう良いから持ってきなさい!」
「チェッ」
漫画の様な舌打ちをして、心の中で安堵した。
「ガスボンベ、卓上コンロ、フライパン、紙皿、フォーク、そして食った事の無いA5ランクの和牛特選ステーキ肉、キャベツ、ニンジン、玉ねぎ、ピーマン、トウモロコシ……うん、これは忘れてたな。まな板、万能包丁、戸村のタレに調味料のマキシマム!また奮発したな。こいつには塩を振り掛けとけばいいんだよ。それによーいお茶二本か」
「さっきから文句ばかりいって。あんたは人質なの!黙ってて!それにあんた料理って言うか肉……焼けれるわよね?」
「農家を舐めんな!牛も馬も飼育してんだぞ!それくらい出来ないで堪るか!(やった事ないけど)」
「なら黙って焼く!」
「その前にションベンしたいんだけど」
「ああもう!少しは我慢しなさい!」
「それだと肉の真ん前で漏れる事になるが、OK?」
「信じらんない!サッサとオムツに吸わせなさい!」
横に置かれてあったオムツパックの中から一枚を投げて来た。
「ここで純情な男の排泄行為を見せろと?」
「そこでするの!」
「そう言う趣味でつか?ショタとか?」
「子供のチンチンに興味はないの!成熟した男が好みなの!早くして!」
「しょうがねえな。恥ずかしいから余り見るなよ」
俺は吸水オムツをへこませ、漏れないようにくぼみを作る。
そこで取り出す自慢のモノ。
でろんッ!
「ふい~漏らす所だったわ……………な?」
じょぼじょぼと真っ最中に金井を見ると、その行為を目を見開いて凝視していた。
「なッ! な、じゃないわよ!早く仕舞いなさい!」
「だってまだ出てるじゃんほらっ…………な?」
「だから!な、じゃないの!」
「俺のズッキーニが見たいんならそう言えば良いのに」
「ああもう!ズッキーニが見れなくなるじゃない!」
微妙に顔を赤くする金井さん。
そしてケントさんを見ると、こっちも俺の凝視していた。
「ケントさんも余り見るなよ。そっちの趣味はないんだけど」
「す、すまん!」
ケントさんは何故か頬を赤らめ顔を背けた。
「ふ~出した出した。さあ!始めようか!」
「ちょっと!手を洗いなさい!そのまま触らないで!」
今度はさっきと違って目を三角にして怒っていた!
「そんなに怒ると皺が寄るぜ」
「うっさい!お茶で手を洗いなさい!」
また銃口をクイクイしてお茶で洗えと言ってきた。
「焼けば大丈夫じゃね?」
「洗うの!」
しょうがなく俺はよーいお茶を開けて手を洗った。
ぶるぶるぶる!
「いやっ! 手を振って飛沫を飛ばさない!犬か!」
「だってタオルないじゃん!戦争じゃ手を洗わないって聞いたぞ」
「ここは紛争地じゃないの!」
「そっか!テロ行為だもんな!」
「……五月蠅いわね。殺すわよ」
「連れて帰らないといけないんだろ。減点になるぞ」
「ならサッサと切って焼く!」
「へいへい」
俺はまずピーマンを真っ二つに切り、種をごそっと取り出し、考えた末にその変にペシッと投げ捨てる!
「ゴミは袋に入れなさい!」
「へいへい」
次にキャベツの葉っぱを何枚も剥ぎ、適当な所でザク切りにしてフライパンにポイッと入れた。
「野菜炒めか!」
「へいへい」
……多い分をフォークでそこら辺にポイポイと捨てた。
「袋に入れる!」
「へいへい」
次に玉ねぎの皮を剥いていきなりみじん切りにする!
「ああ!四等分でいいの!」
「へいへい」
途中で止めて四等分にぶった切る。
「炒め物か!」
「ちゃいまんねん」
次にトウモロコシを半分に切り、タレを垂らしていく…………ついでに垂れたタレを舌で舐め上げるように狂気の目付きで刃物を舐め上げるような真似をしてみせた。
「遊ばない!」
「へいへい」
次にA5ランクのお肉のトレイに被っているラップを剥ぎ…………剥いで…………
「エーゴランク~!」
上に掲げて見せた。
「ドラちゃんじゃないの!」
「へいへい」
ええい!腹いせだ!
ステーキ肉をCランクの速さを使ってサイコロ状に斬る!!
「ああああ!ステーキ肉が!!止めて!止めて!」
「切った方が早く焼けるの!」
「そう言うのは余り火を通さなくてもいいのよ!」
「死んだ爺ちゃんが肉には火を通せ~って言ってたわ!」
「知らないわよ!」
「投下!」
「ああ!せっかくのA5ランクのステーキが!!」
コンロに火を付け強火で一気に焼く!
「ミサイル投下!」
「タレでしょ!食べ物で遊ばない!」
「おふくろか!」
「違うに決まってるでしょ!」
「好きだったのに!」
「え?」
「いや、冗談だけど……」
「死ね!」
「イヤじゃ!」
「あんたは人質なの!」
「断る!」
「撃つわよ!」
また銃口を向けて来た。
「参りました」
素直に負けを認める。
人生長いんだ、一つや二つの負け位、後で何度でも取り返せるわ!
「ふははははは!」
「何の高笑いなのよ!気味が悪いわよ!」
「失礼…………おっ焦げた」
「いやあああああああああ!」
頬を押えてムンクの叫びになっていた。
「反対反対~」
「あんた、料理出来ないでしょ!」
「出来ないのではない!した事が殆どないのだ!」
「それを先に言いなさい!」
「だってママンがしてくれるんだもん」
「だもん、じゃないの!」
「マキシマム投下!」
「いきなり何入れてんのよ!」
「マキシマムを知らないとは、モグリだな?」
「私は少し前まで山口駐屯地に住んでたの!田舎の高千穂の食事情なんて知らないわよ!」
「残念!宮崎名物でした!」
「変なクイズを出さない!田舎者が!」
「あ、焦げた」
「いやあああああああああ!」
「肉は6面焼かないと……ね!」
「ね!じゃないわよ!もう良い!もう良いから!」
「死んだ婆ちゃんが肉は良くやけ~と言ってたからな。これだけは譲れん!」
「止めてええええ!もう良いから!」
「じゃあフライパンを煽ってみる!」
「やっぱり炒め物になってるじゃない!」
「醤油とかもあったら良いかもな。少し味見を…………」
「肉ばっかり食うな!それは味見じゃ無く本気食いだ!」
「今日はこの辺にしてやろう」
紙皿にグチャグチャのカリカリになった物体を注ぐ。
「あんた、最低ね。高級肉が台無しよ」
「胃の中に入れば関係ないから」
「やらせるんじゃなかった…………」
金井は項垂れていた……
肉野菜炒めを持って行ってやると、目を潤ませながらフォークで掻きこんでいた。
「そんなにがっついて。腹減ってたなら言えば良いのに」
「だから嫌な予感がしたのよ!大体こんな雰囲気の流れなら、料理が絶品で信じられない料理が出てくると思うわよ!それが何これ!最悪なんだけど!」
「じゃあ、デザートに俺のモノを食べるって事で挽回しようか?」
「…………童貞が!…………でも悪い気はしないわね」
突然妖艶な雰囲気になり、舌舐めずりをしてきた。
「未成年だけど、やっちゃっても良い?ケントさん」
「
ケントさんは手で×を作って呆れてていた。
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