戸波大和の視点と危機
驚いている余裕は無かった。
7712番……車人間……獄卒……、
その見開いた両目が、ビカビカと眩しく、激しく光を放ち、点滅を繰り返している。
ぐぎ……ぎ……ぎぃ……ぎぃ……ぐぎ……ぎぃ……
まるで次の目標を探しているかのようにゆっくり顏を振っている。
そして、
ぎゅうるるるるぅぅるるるぅぅぅぅるるるぅううぅ
車輪(?)が再び勢いよく回転し始めた!!
「に、逃げろ!!」
皮肉なことに、何もしないことを提案していた丹澤が、真っ先に叫んだ。
どっ、と方々に逃げ出す参加者。
「うわっ……うわぁ……」
俺は……、
推進力を溜めている様な動き7712番、その視線を感じた。
というより、さっき、目が合った……?
あれは、目だよな……。
もしかしたら、俺が狙われているのか……と、感じて、
バッ!!
立ち上がり、必死に足を動かして、逃げ出した。
ぎゅるるるぅぅぅきゅるるるるるるるぅぅるぅるぅうぅぅぅ
床を削る音と共に、7712番、車人間が動き始めた。
……音が一瞬で近くなる。次の瞬間、
バーーン
突然の衝撃音、走りながら、一瞬、様子を確認すると、
車人間が柱に衝突していた。
きゅるるるるるるぅぅぅうううぅううぅううぅううぅううぅううぅうう
車輪がカラ回りしている音。
今の内に、逃げろ!走れ!出来るだけ!走れ!!
「はっ、はっ……はっ、はっ……」
恐怖と興奮で息がすぐにあがる。自分でも、情けないレベルだ。
きゅるるぅぅぅぅぅ……
車人間は素早く走るが、どうやら、小回りが利かないのか、
壁や柱にぶつかり続けている。
そのおかげで、なんとか追いつかれずに済んでいたが……、
ぎゅるるぅぅぅぅぅきゅるるうぅぅぅううう!!
もう、それも終わりの様だ。
どうしてそうなったのかは分からない。
俺の進行方向の先に車人間が待ち構えていた。
回り込まれた!?
そして、動きを止めて、推進力を溜めている。
7712番?、車人間?、
それとも……獄卒?、車獄卒?
一瞬の内に思考がぐるぐると回る。恐怖と興奮と疑問で。
何だあれは!?何だあれは!?どうしよう!どうしようもない!!
生気を失ったその顔は、目だけがチカチカと光り続けている。
ぎゅううぅぅぅぅんんうぅんうぅんぎゅるるるるぅぅぅぎゅるるるるぅうぅ!!
そして、異様なスピードで、今、まさに、俺を跳ね飛ばそうと、来たッ!!
俺は反応が遅れた。さようなら、俺の人生。
ザッ!
横から、ネットが投げられた。
車人間の手足にネットが絡み付く。
そして、転倒し、仰向けになった。
「こっちだ!今の内に!」
二人で、階段の方へ駆け出す。
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