第15話

 朝になってスマホを確認するとナツキからメッセージが7,8個来ていた。

内容を見てみると、「ホントにごめん。」、「私が悪かった。」、「許してほしい。」みたいなことがほとんどだったので、強く言い過ぎたかな?と一瞬、自分の言動を反省したが、「でも、心配だったんだ。」というメッセージを見て、何で幼馴染とはいえナツキにそこまで心配されなきゃいけないんだ!心配していたら、俺のことを裏で調べてもいいのかよ⁈と少し怒りがぶり返してきたため謝罪のメッセージを送るのはやめておいた。


放課後4人で集まって話すことが出来ないので、昼休みに4人で集まって漫画の話をした。カジワラの様子は相変わらずだったので、俺もいつも通りに振舞った。あまり時間がなかったので話せたのは最近の「チェン〇ーマン」についてだけだった。でも、昨日だけとはいえ4人で漫画の話をしない日があったのでかなり盛り上がった。


放課後になっても、ナツキは俺に会いに来なかった。俺から謝りに行くのは何か違う気がしたのでこちらからは会いに行かなかった。しかし、さすがにナツキの方から直接謝りに来たら許してあげようと思っていたが、なかなか目論見通りにはいかなかった。


考えてみるとナツキはラインのメッセージとはいえ謝っているわけだから俺が返事をするべきではないか?う~ん、でもなぁ。今更ラインで返事をしてもおかしい気もするし、学校でナツキに直接会いに行くのは何か恥ずかしいし、やっぱりあの手しかないか。


俺なりに最善だと思う解決案を見出したので、もうそれ以上悩むのはやめてやるべきことをやろうと考えた。


昨日と同じく5時前にキョウヘイの家にやってきて、シュート練習と中間試験の勉強を交互に行った。シュートは200本中93本入った。成功率が急激に上がることはなかったが少しずつ着実に上がっていた。問題はシュート練習よりも中間試験の勉強の方にあった。さすがに暗記ばかりではテストでいい点数を取れる気がしなかった。

その疑問をキョウヘイにぶつけると、キョウヘイは、「そうだよな。セイがそう思うのも分かるよ。だから明日は中間試験の勉強時間を1時間にして問題集を解こう!」と返答してきた。


「え⁈いいのか?1時間も時間を取って?」


「大丈夫だよ。明日は何曜日だと思ってるんだよ?」


「え~と、明日は土曜日だよな?……そっか!授業は午前中で終わるのか!」


「そうそう。だから勉強時間を1時間取ってもシュート練習の時間が減ることはないよ。まあ、セイの体力が持ったらの話だけどね。」


「分かってるよ。」


この日も8時までに俺の家に着くように7時半過ぎにはキョウヘイの家を出た。

車の中で俺がサンドイッチを頬張っていると、キョウヘイが、「そういえば今日もナツキが俺のところへ来たぞ。」と話しかけてきた。俺は急に振られた話題が気にかけていたナツキのことで驚き、サンドイッチを喉に詰まらせかけてしまった。

俺がそれをカフェオレで飲み下そうとしているとキョウヘイが、「おいおい。大丈夫か?」と心配そうに声を掛けてきた。何とか飲み下すことが出来た俺は、「ごめんごめん。大丈夫だ。それでナツキは何か聞いて来なかったか?」とキョウヘイに尋ねた。


「昨日聞いてきたセイの様子がおかしいってことについては聞いて来なかったな。なんか『セイ、私のこと怒ってなかった?』って聞いてきたけど、昨日何かあったのか?」


「いや、実はその……。」


俺は昨日のナツキとのやり取りをキョウヘイに説明した。キョウヘイは説明の間、終始無言だったが、俺の説明が終わると、「心配だからって裏で俺に聞いていたナツキも悪いが、セイも少し言い過ぎたな。一応は心配してくれたわけだし。」と忠告してきた。


「分かってるよ!だから今日帰ったら謝ろうと思ってるよ!」


「そっか。ならいいけど。あと……。」


「なんだよ⁈まだあるのかよ⁈」


「あと、ナツキのことだからって気軽にセイに話した俺も悪かったな。あとでナツキに謝っとくよ。」


「うん。その方がいいかもな。」


俺もキョウヘイもお互いにナツキへの罪悪感から気分が落ち込んだため、その後は一切会話しなかった。

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