第14話

放課後、いつも通り4人で集まって漫画の話をすると思っていたカジワラとハタケに対して俺は、「ごめん。中間試験の勉強するから今日から放課後は集まって話はできない。」と宣言した。


「トツカくん、本気だったんだ?冗談だと思ってた。」

ハタケが申し訳なさそうに告げてきた。

カジワラは「ふーん。そうなんだ。」とたいして気にも留めてない感じだった。


「レーちゃん、イチノミヤくん、どうしようか?3人で話す?」


「ごめん。ハタケ。俺もセイと一緒に試験勉強するから放課後に集まって話すことはできない。」


「そっか。どうする?レーちゃん?」


「それならミーちゃん、私たちも試験勉強しようよ。早く始めて悪いことなんてないんだしさ。」


「それもそうだね。じゃあ図書室に行こうか?」


「うん。そうだね。」


カジワラとハタケは図書室へ向かう準備を始めた。

俺とキョウヘイはキョウヘイの家に向かうため昇降口へと向かった。

下駄箱から靴を取り出している時に俺は気になっていることをキョウヘイに尋ねた。


「なあ、やっぱり急に中間試験の勉強をするから放課後集まれないっていうのはカジワラもおかしいと思うかな?カジワラを理由つけて避けているって感じるかな?」


「ナツキのことがあったからか?でも、カジワラには一応中間試験が気になってる的なことを言ってあったし、変には思わないんじゃないかな?それに避けているって思われたくなければ、放課後以外で積極的に話せばいいんだしさ。」


「そう……だよな。分かった。そうする。」


俺はキョウヘイの意見を聞いて少し安心した。靴を履き替えた俺とキョウヘイは校門まで行き、キョウヘイの迎えに来ていたカミオカさんの運転する車に乗り込み、キョウヘイの家へと向かった。


5時前にはキョウヘイの家に着いたので、8時までに俺が家に帰るということを見積もっても2時間半はシュート練習と試験勉強ができそうだった。


「それじゃあ、さっそくシュート練習から始めようか!」


キョウヘイに促されて、まずは30分間のシュート練習を始めた。昨日と同じくゴールの正面からのシュート練習をした。昨日練習したから少しは上達しているかというとそういうこともなくシュートの成功率は3割から4割と言ったぐらいだった。

30分経つと2分間休憩をとって、今度は中間試験の勉強をした。これも昨日と同じく暗記するところから始めた。現代文の漢字の出題範囲は大体覚えられたような気がした。


30分間暗記し終えるとまたシュート練習、それを30分間すると、また試験範囲の暗記、そしてまたシュート練習と繰り返し行った。3回目のシュート練習が終わったころにはもうクタクタでその場に座り込んでしまった。


「セイお疲れ!今日は187本中75本入ってたぞ!疲れているのは分かってるけど家に送るから車まで歩いてくれ。」


キョウヘイが俺に手を伸ばしながらそう言ってきた。俺はキョウヘイの手を取り、立ち上がった。そして車まで歩き、昨日と同じくサンドイッチの包みと水筒を使用人の方から受け取り車に乗り込んだ。受け取ったサンドイッチは俺の家に向かうまでに平らげた。


俺の家に着くとキョウヘイとカミオカさんにお礼を言って車を降りた。玄関のドアを開けると母さんが来て夕飯を食べるか聞いてきたが、疲れていたのでお風呂に入って寝ると答えた。荷物を置くのと着替えを取りに行くため自室へ行くと、ラインのメッセージの着信音が鳴った。


嫌な予感がしたがメッセージを確認するとナツキからで、「窓開けて!」とあった。俺が「ヤダ。」と返信するとすぐに「いいから開けて!」と返信があった。

仕方なく渋々窓を開けると、隣の家の窓からナツキが見ていて、「今日も遅かったね。すごく疲れてるみたいだし何してたの?」と聞いてきた。


昨日「これ以上聞かない。」と言ったわりには、もうそれを破ったことの怒りに加えて、昼休みにキョウヘイから聞いたことの怒りも加わり、俺は強い口調で「中間試験の勉強してただけだよ!これ以上聞かないんじゃなかったのか⁈」と怒鳴りつけた。


「それは……そう言ったけど……。」


「それにキョウヘイに聞いたぞ!『俺の様子がおかしいから何か知らない?』ってキョウヘイに聞いたらしいな⁈何でそこまでするんだよ⁈ほっといてくれよ!」


「だって……心配だったから……。」


「だから心配されるようなことはしてないって!もうこの話は終わり!それじゃ!」


「ちょっとセイ!」


ナツキは何か言いたかったみたいだが、俺は窓とカーテンを閉めて話を終わらせた。その後、ナツキからラインのメッセージが来ていたが俺は無視した。

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