第13話

 次の日の昼休み、昨日と同じ場所でキョウヘイと話をしていた。


「セイ、カジワラのお前への態度は昨日と変わらないか?」


「ああ、全く変わらない。昨日と同じで、おとといの俺の告白がなかったんじゃないかというぐらいいつもと変わらない。でも昨日ラインで来たメッセージを見ると、全く気にしてないわけじゃなくて全く気にしてないふりをしてくれているみたいだけどな。」


「そうか。少しは気にしているのが良いのか悪いのか、恋愛経験のない俺たちには分からないけどな。」


「恋愛経験もだけど、相手が愛人志望だということも余計に理解を難しくさせてる気がする。」


キョウヘイは俺の言葉に頷きながら、「まったくだな。」と相槌を入れた。

その後、キョウヘイは何かを思い出したような表情をして、「そういえば、今日の朝、ナツキがやってきて、『セイの様子がおかしいんだけど何か知らない?』って聞いてきたぞ。」と教えてくれた。


俺はそれを聞いて、ナツキの野郎、俺には「これ以上聞かない!」と言ったくせして、裏でそんなことしてたのか~!と少しナツキに対して怒りが湧いてきた。


「それで?キョウヘイは何て答えたんだ?」


「『そうか~?俺は特におかしいとは思わないけど。』って答えたら、『絶対おかしいよ!いつも一緒にいるのに気が付かないの⁈』って怒られた。」


「それで終わり?」


「いや、その後、『ごめん。気が付かなかった。』って答えると、『こっちこそごめん。強く言い過ぎた。でもホントに何も聞いてない?』って聞いてきたから、『ホントに何も聞いてないよ。』って答えたら、『分かった。ありがとう。』って言って帰って行った。昨日ナツキと何かあったのか?」


「いや、特には何も。ただ昨日帰りが遅くて、おとといから様子がおかしいから何かあったのか?って聞かれただけ。」


「十分あったじゃないか!それで何て答えたんだ?」


「『中間試験でいい点取りたいって思っているだけだ。』って答えたよ。それでも納得してなかったけど、『今は誰にも話すつもりはない。』って言ったら、渋々納得した様子だったんだ。まさか裏でキョウヘイに問い質すとは思わなかったよ。明日以降も来るかもしれないからその時はよろしくな。」


「分かってるよ。任せとけって。ところで話は変わるんだけど、俺たちが始めた特訓は無駄になるかもしれない。」


「え⁈どういうことだよ⁈キョウヘイ!」


「もしかしたらそうなるかもしれないって話なんだけど。そもそもまだ俺たち球技大会でバスケに出られるって決まってなかったなぁと思ってさ。」


「言われてみればそうだったな。来週だっけ?球技大会で出る種目決めるの?」


「そうそう。それでうちのクラスの男子は全員で17人いるだろ?バスケが5人、バレーが6人、卓球がシングルスとダブルスで合わせて3人必要だから全部で14人。残り3人をそれぞれに補欠として1人ずつ割り振っても、バスケに出場できるのは6人ってことになる。つまり俺たちはこの6人に絶対入らなきゃいけない!」


「6人か……。厳しいかもなぁ。でも、確かうちのクラス、バスケ部が3人いたよな?この3人は外れるとしても……まだ14分の6だから約分すると7分の3か。そう言えば、バレー部で背の高い八木がいたな。背が高いってだけでバスケに選ばれる可能性は高そうだよなぁ。」


「確かにな。まあ、俺たちに出来ることは1つだな!」


「1つ?何だよ、それは?」


「球技大会の出る種目を決める時にバスケに立候補するってことだよ!」


「それは……当たり前すぎて何も言えねぇよ。」

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